ゆうがたヒーロー

日曜の朝でなくても誰だってヒーローに憧れてる

感想『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』庵野監督の自意識と独白。ろくな考察のない感想。一応ネタバレ注意

エヴァンゲリオン シン・エヴァンゲリオン劇場版 さらば、全てのエヴァンゲリオン ジグソーパズル ラージピース 500ピース 50cm×75cm 05-2014

 

 

1995年に放映された『新世紀エヴァンゲリオン』から26年。

例えばあの当時に20歳の大学生だった人は今や46歳。

名探偵コナンは1994年、ワンピースは1997年から続いている。つまり2021年時点でそれぞれ27年と24年のベテラン作品だ。それぞれに長い間応援しているファンがいて、新作を常に心待ちにしている。こういうロングヒットのストーリー作品のファンはエヴァの完結によって「次は自分たちの番」であることを自覚しなければならない。

 

26年。これだけ長い年月をかけた代わりにきちんと決着をつけた本作。放映当時からのエヴァファンの人たちはどんな心境なんだろうか。

まるで小さい頃大好きだった駄菓子屋が店じまいする感覚だろうか、それとも大学から連れ添っていた遊び仲間との離別だろうか。シリーズの完結というのは待ち望む絶望である。長編になればなるほど、続きが気になる反面「これ、いつ終わるんだろう」という不安が常につきまとう。監督や作者が不慮の事故があったらどうなるんだろう、そもそもエヴァは本当につくられるのだろうか。完結したとしても、本当に心の底から納得できる終わりになっていてくれるだろうか。考えるほどに期待値よりもマイナスな気持ちがどんどん高まる。

 

それでも僕らは「エヴァンゲリオン」の新作発表に心を踊らせ、度重なる延期発表に悲しむ反面、「まだ終わらなくて済む」ことに安堵する。

 

エヴァンゲリオンの主人公、碇シンジくんは14歳の中学生だ。それも快活なタイプではない。ロボットに乗り込む主人公は熱血であったことが多かった時代においてシンジ君はちょっと異質だったのではないだろうか。謎がなかなか解き明かされない独特の世界感でちょっとウジウジするタイプや周りの理不尽に憤りを感じていた人たちは自然と自己投影していき、たちまちエヴァンゲリオンの魅力に取り憑かれていった。

いわゆる陰キャラな主人公は無口でミステリアスなヒロイン綾波レイと、明るくグイグイくるアスカの二人に揺れる。

当時からのファンはまさにエヴァンゲリオンは青春だったのかもしれない。エヴァンゲリオンの終わりとは「青春の精算」的な側面があり、その喪失感は計り知れない。

 

 

 

本作の感想をひとことで言ってしまえば「よくわからなかったけど紛れもなくエヴァンゲリオンだった」という感想に集約される。

完結編で出てくる数々の新しい用語やそれらを使いこなすミサトさん達。あの世界の人たちの「私は世界を理解していますよ」感と反比例する視聴者の置いてきぼり感。(これの真骨頂は紛れもなくQなんだけども)

例えて言うならば、専門用語だらけの新しい会社、あるいは新しい部署でいきなりめちゃくちゃ忙しく働くことになるような感覚とでもいうのだろうか。理解できている周りの人たちに置いていかれないよう、ぼんやりと大枠を理解しながらとにかくついていくことで精一杯走り抜ける感覚だ。

過去作を見ておくことは流れを知るために最低限の条件。最大限に楽しむためには、きちんと過去を分析して1点1点用語や用法・意味を理解していなけばならない。こうした細かい部分まで気を配ることができるようにあって、仕事あるいはエヴァンゲリオンの楽しみを実感することができる。ある意味では楽しむためのハードルがめちゃくちゃ高いのがエヴァンゲリオンだ。

 

ここからはネタバレ込で書いていきます。ネタバレ回避派の方はご注意ください。 

 

 

 

 

 

 

専門用語は全くわからない。大まかなストーリーはなんとなく把握。そんなエヴァンゲリオン

 

 

 

見ていて強く感じたのは、庵野監督はゲンドウでありシンジなんだろうな。インタビュー等を全く見ていないので、ただ特撮好きということしか知らないけども、この完結編は彼の独白の側面を担っているように感じた。完全に邪推だが、彼は無垢でピュアな綾波のような人間が好き「だった」のだろう。都度新鮮なリアクションをとってくれる彼女は自分の「教えたい欲」を掻き立てる存在だったはずだ。アスカのような引っ張ってくれる友人に恵まれながらも、最後に落ち着くのはマリというところが長年作品を作り続けた彼の心の変化と時間の流れを感じる。

それはともかくゲンドウが急激にラスボスムーブしてきたのはおもしろかった。人外になってめっちゃ悪役やるじゃん。壮大な親子喧嘩ははじめてシンジが面と向かって向き合ったいいシーンなんだけど、点々とイメージ風景が変わる取っ組み合いがシリアスなギャグなように見えてしまった笑

その割に人類補完計画・ユイ風味がちょっと気持ち悪い感じが独善的な悪役っぽくていいなぁ。

 

監督はかつてないくらいピュアで可愛らしい綾波を書ききった。その代償として今作の出番はそこで力尽きてしまう。対象的にシンジが眠っている間も戦い続けたアスカは今作も身を削って戦い続ける。今作一番割を食った存在な気すらする。お辛い立場になってしまった。ただただ愛されたいアスカはケンケンに出会って距離を縮めてちゃんと居場所ができたのかな。ケンケンのメンタルが達観しすぎて、ニアサードインパクトから14年という年月を感じた。彼も多分いろいろ大切なものを失って、それでも生きてきたんだろうな。

 

にしてもみんながみんな「ニアサー」と親しみやすい略語で呼んでるのがちょっと笑っちゃった。でもそんなものなのかな。世界を一変させた大災害は「911」「311」みたいな日付で呼ぶように、エヴァの世界の「ニアサー」は日付代わりの記号的象徴なんだろうな。

同級生との再会や綾波萌えの日常パートは、最終決戦前、嵐の前の静けさみたいなほのぼのさを感じる。同時にQの尻拭いというか、全く描かれなかった14年での世界のあり方の説明パートだった。元々こういう構成であったのかもしれないけど、破からQの世界となった整合性をとるために丁寧に掘り下げたのが伝わってくる。Qで出なかった加持さんのその後やミサトさんたちについての説明だった。

「破」のQ予告がまったくQ本編になかった。憶測で「破からQの間のエピソードのカットなのではないか」と言われていたが、その信ぴょう性が高まる結果になった。集められる子どもたち等からアスカやマリは真実を知ったのだろう。

あと、カヲル君が残機いっぱいな使徒なのは知ってたけど、加持さんの上司なのはマジか。このあたりの解説はもうちょっと漁っておかないといけないけど予想できたひといるの??そもそもシリーズ通してカヲル君は意味深な役割しかないから考察不能でしょ。

 

最後に本作で一番好きなのは強キャラ感あふれる冬月さんの戦闘シーン。微動だにせず時間稼ぎと割り切る姿がめちゃくちゃかっこいい。

 

 

何はともあれ、庵野監督、長い間お疲れ様でした。

ウルトラマン頑張ってください。

 

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『機界戦隊ゼンカイジャー』第2話 戦隊あるあるをねじ込んだ、戦隊シリーズの傾向と対策

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仲間集め回。次回はマジーヌを仲間にするのはわかるけど、5人目まで走り抜けるのか、一瞬タメをつくるのか、どっちだろうか。ブルーン、ずっとキカイトピアの清掃員をやってるからゼンカイジャーサイドと接点ないし、せっかく敵組織からの脱走ヒーローになれるんだから前後編くらいでタメてからの5人揃い踏みにしてもよさそうではある。

とはいえライブ感やスピード重視の現代だと、そういったタメや余韻を犠牲にして最短でインパクトある展開を連打しがちなんだけどもね。

今回は敵怪人の成り立ちや合体ロボも登場することで世界観をより戦隊らしく掘り下げていく。「敵を倒せば大抵の問題は解決できる」というめちゃくちゃメタをぶっこんでくるセッちゃん。戦隊あるあるを公式にすることでうるさい「ご都合主義論」を一蹴する力技。ここ10年くらいの戦隊はこうしたお約束を逆手に取ったり理屈付けたりして本当に丁寧な設定づくりを心がけてるなぁと頭が下がる。

設定が「戦隊ヒーローをもとに作られた戦隊ヒーロー」だから「戦隊の定義」「傾向と対策」がしっかり練り込まれた戦隊ガチ勢の気合を感じるぞ。

 

さて、仲間集めということで、ジュランにつづきガオーンがパーティ入り。猫なで声(?)の甘い言葉がウラタロスを思い出させる。ジュランをガン無視するあたりからして早くもキカイノイドコントが期待できるぞ。

ガオーンが劇場版でなんかカイトに優しいっていうか惚れているような雰囲気があった理由がなんとなくわかった。助けられたとかそういうのではなく、純粋に生き物が好きなのね。そういう意味では「百獣パワー」で変身できるのは本望なんじゃないかな。他の戦隊パワーをどう扱うのかはまだまだ気になるところだけれども「動物パワー」は先週使ったから当面なさそうだ。

 

ゴーグルファイブは新体操

この過去戦隊パワーは毎週何が使われるのか、という楽しみ方はゴーカイチェンジのワクワクと似ている。あの頃のヒーローが一瞬出てくるだけでも脳汁が出てきてしまう体質になってしまった。

ゴーグルファイブは新体操」とゴーカイEDでバッチリ特徴を覚えていたので、昭和戦隊だけどもバッチリ認知できた。勉強成果はいつ発揮されるかわからない。こうして10年越しに活きることだってあるんだよ。

当時は「新体操」ブームかなにかあったのだろうか。ネットで「80年代 新体操」と検索してもそれらしき記述はない。Wikipediaを読むと「アクロバティックな動きの追求による派手な画面づくり」による採用だという。実際、剣や銃に弓、必殺バズーカでの戦闘が多い昨今の特撮の中でも「リボン」で敵と戦うのは妙に印象に残る。予算的にも扱いやすい可能性もある。ゴーカイジャーでもなんだかいっぱい変身していたような気がしたけども、調べてみたら全員で11回しか変身していなかった。EDの効果による錯覚だった笑 おのれゴーカイジャー

 

 

忍びの風吹けハリケンジャー

世代的な問題か、SNSでは「ゴーグルファイブ」よりも「ハリケンジャー」のほうが盛り上がっていた。ガオーンによる「ガオレンジャー」からの「ハリケンジャー」。この2作品ドンピシャ世代にはたまらない配列だろう。ガオレンジャーが2001年でありちょうど20周年となる。ガオレン世代が当時5歳であれば25歳となりSNSとの親和性が高いし、人によっては子供と一緒にゼンカイジャーを楽しんでいるかもしれない。

 

前回のニンニン&ジュウオウの能力を使ったときの戦隊ホログラムに追加戦士がいなかった。ハリケンジャーのときも同様でゴウライジャーの姿は見えなかった。実際ハリケンとゴウライは別戦隊扱いだから厳密には追加戦士ではない、そういう意味では今回ゴウライの姿が見えないのは正しいのだけども、どのように調理するつもりなんだろう。

やっぱり別のセンタイギアを用意して追加戦士が扱うのかな。じゃあ、シュリケンジャーはどうするのか。さらに言えばセンタイギアにはナンバリングまでしちゃってある。彼らの番号はどうなる?ルパパトはどうなっている?

なんとなくキカイトピア側のアイテムとして出てきそうだけど、どうかなぁ…。

 

 

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『機界戦隊ゼンカイジャー』第1話「キカイ世界はキキカイカイ! 」迫る!過去最強トジテンドの脅威

機界戦隊ゼンカイジャー主題歌 〔通常盤〕

 

ついにはじまった。機界戦隊ゼンカイジャー。

ディケイド&ジオウにゴーカイジャーを加えて電王風味を隠し味にトッピングした作品になると思っている。

アニバーサリーで過去を絡めるとしたらどうするのか、という問いのわかりやすい答えは「過去ヒーローを出す」(ジオウ&ゴーカイジャー)である。しかし、これは劇薬であり過去ヒーローが出るとどうしても主役が食われかねない。そのため、あくまでも過去のヒーローには戦闘力を失わせておかなければならない。そうしたバランスが非常に難しい。

 

一方で、もう一つの答えはディケイドのように「平行世界説」を打ち出すことだ。

そうやって世界を守った別世界がある、と定義づけることで過去ヒーローを落とさずにゼンカイジャーの物語を紡ぐことができる。

 

にしても、キカイトピアのトジテンド、とんでもない能力だな。

世界まるごと閉じ込めて残りはゼンカイジャー世界だけって純粋にやばい。

過去に地球を侵略したマシン帝国バラノイア(オーレンジャー)や199ヒーローが全能力を結集して追い払ったザンギャック(ゴーカイジャー)より遥かに凶悪な能力をもっている。彼らの世界ですら抵抗の余地なく吸収してしまうのは過去最大級の脅威ではないだろうか。

とはいえ、このゼンカイジャー世界だけは吸収できない謎仕様、力の一部が奪われた(ゼンタイギアとして使われている?)こともあり、世界に関する謎を散りばめてある。両親がなにをしようとしていたのか、なぜキカイトピアの存在を発見できたのか、平行世界に気づけてその能力を拝借できたのかが、物語が進むにつれて今後明らかになっていくことだろう。全貌を語る・考察するにはまだまだ情報が足りなさすぎる。

 

 

ジュランはジュウレンジャーの「恐竜パワー」によって変身していた。アバレンジャーキョウリュウジャーの力にあやかる場合は「爆竜」「獣電」とそれぞれの冠部分が採用されるのだろうか。そもそも45バリエーションの変身を用意するのだろうか。普通はしないと思うけれども、しない場合はその理由付けが必要な気もする・・・。

 

ジュウオウジャーの能力を借りるとジュウオウイーグルの空中戦ができるようになる。そのあたりの過去ヒーロー能力の使い方は、ゴーカイジャーでの実績があるから安心ができる。ライダーにように一度途切れた歴史がない45作品作り続けたノウハウを信頼している。

「戦隊の概念をぶち壊す」白倉氏。彼は必ず「そもそも戦隊とは何なのか」「何を壊して何を崩して何を作るのか」こういった分解と再構築を理論的に考えているはずだ。(最終的にライブ感のノリで全然ちがう何かになってしまうこともあるけれども)

ゴーカイジャーの「大いなるちから」ではないけれども、戦隊を見つめ直すと同時にその戦隊の特色を抽出してくれるだろう。過去ヒーローを直接出すことはなくても、うまくそのエッセンスを入れ込んでくれると信じている。

 

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書評『NO RULES(ノー・ルールズ)世界一「自由」な会社、NETFLIX』

 

NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX (日本経済新聞出版)

『NO RULES(ノー・ルールズ)世界一「自由」な会社、NETFLIX』(日本経済新聞出版)

 

本は色々読んでるんだけどなかなか感想を文章化して保存するまでの癖がつかない・・。

読んでる間は「なるほどなぁ〜」って感心するんだけどね。

まぁ、頭の片隅に考え方がインプットされてばわざわざ書くこともないといえばそうなんだけども。

 

というわけでネットフリックスについての本。GAFAと同格クラスにまで勢いを伸ばしているこの会社はどんな会社なのか。

とにかく目につくのは「休日から経費まで完全自由裁量」の「成果主義」。

究極のアメとムチなような印象だけど、これが運用できるのはほんとにさすがNetflixって感想。少なくとも弊社じゃ難しいね笑

超特殊な企業体質だから生半可な会社では安易には真似できない、それだけにほとんど異文化理解みたいな感じでおもしろかった。

 

 

社員を信じぬきコントロールを排除する風土

ネットフリックスは社員を徹底的に信じることができる会社だ。

採用する人間は「超優秀」であることを前提にしている。超優秀な人間は自己裁量で仕事をすると恐ろしく効率的にしかも積極的に働いてくれる。責任感があり自分の仕事をきちんとこなす。だからこそ予算や休暇や面倒な決裁プロセスはすべて省いて一般社員に任せられる。

『社員に・・・自由を与えれば、質の高い判断ができるようになり、説明責任を果たすようになる。』そのために「能力密度を高め」つつ「素直さを認める」必要がある。

優秀な社員は互いに「あのやり方はどうなの」とフィードバックをしあって互いのパフォーマンスを引き上げていく。

 

「ネットフリックスに利益をもたらす」ことが社内精神として浸透している。

経費の使い方、例えば「出張予算は5000円まで」など細かいルールがあるとする。すると自分の手出しにならないように個人がコントロールしながら過ごすようになる。突然決まった出張で、5000円以内のホテルが空いていなければ3000円のカプセルホテルや2000円の漫画喫茶に泊まったりする。結果として疲れが取れずに翌日万全な状態で仕事に挑めなくなる。出張が大口の取引のプレゼン発表だとしたら?もし仮に自己裁量で7000円のホテルを取り、安眠していればプレゼン発表の質が向上していたかもしれない。会社の予算である5000円は守られたのと引き換えにより大きな利益を失う可能性があるわけだ。

 

より利益をだせるように経費を使う。どのような選択をするのが会社として利があるかを判断するのは個人にまかせている。個人が無駄遣いをしないということを大前提としているのが非常に象徴的だ。しかも、経費を自由に使えると承認プロセスがなくなり個人の仕事のスピードがぐんと向上するし、事業にプラスになるかどうかの判断スピードも迅速になる。

 

 

優秀な人間に淘汰される凡人

色々書かれていて印象的なエピソードが多いが、読めば読むほど「優秀な人間」を集めた結果であることがわかる。優秀な人間は怠けない。働き蟻は全体の2割しか働いていない、みたいなことをよく言われているが、実は交代で全員がめちゃくちゃに働いている理論だ。働くときは全力で働き、全力で休暇を作る。自らを律して動ける人間ばかりだから成立する働き方だ。

 

辞められては困る社員には他社より高い報酬を払う。プロジェクトで成果が出せず、今後も「会社に利益をあげられそうもない」と判断されれば辞めてもらう。ただし突然の解雇にならないように改善通告をきちんとするし、解雇となっても充分な退職金を払う。このあたりの仕組みづくりが絶妙だ。

しかも、ネットフリックスは前身の会社での大規模リストラで社員を減らしたときの経験から「頭数のためだけの社員はいなくなっても仕事は回る」という残酷な事実を知っている。元々優秀な人は仕事のスピードも早くて1人前以上の処理をする。その能力を、手戻りやミスのフォローなどに回さなくなる分効率的になるんだとか。

 

 

あ〜、この事実は非常に残酷だ。わかる、すごくよくわかるよ。いわゆる極端にミスの多い人間や仕事の遅い人間であればいないほがマシってやつだよね。能力重視の資本主義社会だからまったく否定できないけど、世の中がすべて実力社会になってしまったら、「本物の無能」の居場所が社会になくなっちゃうのが問題だよね。そういう無能だけ集めて仕事を斡旋するのが国の役割になるんだけども、、、

 

機械化、そしてコンピューター化によって世の中の仕事はどんどん複雑になる。そして使いこなせば使いこなすほど簡単な仕事は消えてなくなる。たかだか数年前だが、引き継いだ仕事に「社用メールの転送」があった。イレギュラーなアドレスからの問い合わせ系はともかく、毎日来るような通達メールも「A社からのメールはXさん」「B社からのメールはXさんとYさん」に転送という風に決まっていた。自動転送設定をしたらこの仕事はなくなった。

引き継がれて代々誰も疑問に思わなかったのかと思うけど、新人向けの日課としてはちょうどよかった節もある。簡単な仕事は消えていくので新人が取り組む仕事の難易度はぐんぐんあがっていく。

 

ネットフリックスってのは新卒採用することはあるのかな。他社で能力を開花させた実力者を集めたとしたら、その教育コストさえもカットしていることになる。まぁ、ネットフリックスで新卒採用されるような人間はそもそも教育コストがかからない人材の可能性もたかいけども。

 

興味深いし、もう少し関連書籍を読んでみようとは思うけども全く真似ができる気がしない唯一無二の会社だなぁ、という印象。この本自体は勉強になったしおもしろかった。

 

最後に本書のすきな言葉を。

『柔軟性よりミス防止を優先するやつがあるか。そんなのは完全な時間の無駄だ。正確な計画を立てることなど不可能だ。』

『長期計画によってミスを防止したり経費を節約したりすることが、私たちの最大の目標ではない』

(第9章:コントロールではなくコンテキストを〜ともに北極星を目指す〜より) 

※当然だけど、ミスをしてもいいという文脈ではない

 

ミスをしないように時間を割きすぎるのはバカバカしい。

何事も柔軟に対応できるようにありたいものだ。

 

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感想『魔進戦隊キラメイジャー』最終回。エピソードFINAL「君たちがいて輝いた」。人が輝くとき、そこに奇跡が生まれる!輝き、それは未来を変える戦士の証!限界を超えないキラメイジャーが見せてくれた1年間。

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魔進戦隊キラメイジャーもついに最終回を迎えた。

新型コロナの影響もあり、撮影がストップしたり制限されたりで相当な苦労があったことだろう。キャストやスタッフの皆様の努力のおかげでこういうご時世に楽しい気持ちになれる作品を毎週みることができた。本当に感謝の言葉しかない。

 

 

戦隊恒例のマスクオフでの名乗りも見れて満足。僕らは単なる「恒例の素面名乗りだ!」と思っていた。でも、今回は「素面」で登場することに意味を持たせてくれた。明かされたヨドン皇帝の「仮面は弱者の証」という発想。皇帝は仮面をつけることで自分を隠して強くなった気がしていた。そんな皇帝に対するカウンターが「マスクをせずとも輝いている」キラメイジャーの面々だ。素面での名乗りを、ただ「かっこいいから」「恒例だから」で片付けない、キラメイジャーが積み重ねてきた視聴者への誠実さが端的に顕れている。

 

最終決戦はマブシーナがそれぞれの良いところを回想し、それに呼応するよう実戦闘でもみんなが自分の能力を活かした活躍をする。為朝の作戦指揮を執る姿は見慣れたものだけども、考えてみれば年長者が仕切るわけでないというのも珍しいのかもしれない。得意分野を任せる年長組の懐の深さがキラメイジャーらしい。ついでに為朝は「参謀」と「射撃」という2つの長所を持っている分活躍度合いが高い。最後までかっこいい男だった。

 

最後はオンライン集会でほのぼのした締めだった。

キラメイジャーは仲間内・あるいは相棒ストーンとの絡みがあるからおもしろい。寂しいから隊員服を着ちゃう時雨が愛おしい。はじめて心を開いた仲間たちなんだもんな。仲の良さがしみじみと伝わる。

ガルザも本当に退場しちゃったし、ヨドンナも生き残れなかった。とても残念だった。生き残ったクランチュラはいいキャラしてるけど、彼も大概極悪卑劣だったぞ。それはそうと多分地球の黒電話がお気に召したようで充瑠と電話する友達になった。なんで電話が通じるんだ・・・?キラメイストーンの思念通信みたいなのをカラットが応用して新システムを開発したのかな。あの企業ならありうる。

最近は「帰ってきた」シリーズのVシネもないから、本当に終わりかな、と思っていたら「VSリュウソウ」が発表されて思わず歓喜した。実現できてよかったね、絶対にないと思っていたよ。これもキラメイジャーもリュウソウジャーも愛されている証だ。

シリアスなリュウソウジャーがキラメイ世界観でめちゃくちゃやるのが今から楽しみで仕方ない。

 

キラキラするを突き通した1年

キラメイジャーはいろいろなジャンルのスペシャリストが集結している。そんなスペシャリスト集団にも関わらず、いわゆる職人気質のキャラクターがいないことが特徴的だった。それぞれが最前線で活躍しながら、「俺は俺の道をゆく」ということをせずに周りの意見にもきちんと耳を傾ける。ある意味で「できすぎている」人間たちの集まりだから戦隊活動は恐ろしくスムーズで効率的だった。それぞれが自分に課せられた役割をきっちりこなすことでキラメキを保ちつづけたから安心してみていられる。

「なにか一芸に秀でている人物は人間性に問題がある場合がある」あまりにもできすぎてるキャラクターをみてしまうと、何かしらのあら探しをしてしまうのは人間の性だろうか。キラメイジャーのメンバー達は優れた協調性をもちながら、皆マイペースで個性的な性格をしている。互いの存在を認めているからそれぞれの個性を受け入れてマイナスイメージなく関係性を構築しているのは純粋にすごい。 

 

 

令和におけるヒーローのあり方の模索

印象的なのは2つ。

・熱田充瑠というクリエイターレッド

・限界は超えないためにある

 

どちらも以前に記事にしてみたけれども、やはりキラメイジャーが今どき戦隊ヒーローとして特徴的なのはこの2つだと思う。

充瑠は近年のレッド達同様、戦隊の方向性を定める象徴的レッド像を持っている。

この象徴的レッドは、方向性を定めるときには「いいじゃん、やろうよ」と周囲と協調しがらもポジティブな発想で前に進んでいく。充瑠は為朝のように適切な判断を下しながら効果的に問題点を整理して作戦を立案するタイプではない。けれども充瑠は要所要所で前向き発想をしながらキラメイジャーを引っ張っていった。方向性を定める能力を有していたのだ。

もし充瑠がレッドではない色、例えば為朝とカラーリングが違っていれば、キラメイジャーはまるで違う作品になったはずだ。黄色版充瑠は「時々」ピンチを逆転させる発想をするし、「時々」彼の発する前向きな言葉で戦隊のやるべき方向性が定まっていたはずだ。基本的には赤版為朝が司令塔となり良い意味で組織的な戦隊活動をしていたと思う。

この為朝ではなく、充瑠がレッドとなっていることに「令和における戦隊像」が見えてくる。誰もがキラキラと輝いていることを主題としているキラメイジャーだからこそ、従来のレッドのイメージと合わないような人材でも主役になれることを証明してくれた。シンケンジャーの姫レッドも当時世間をざわつかせたようだが、これまでの色や性別と性格をリンクさせた戦隊像はこれから通用しなくなっていく。おそらく制作の東映側も強く感じているはずだ。だからこそ、ヒロインカラーでなかった緑にもヒロインが生まれたり、女性だけど腕っぷしが強かったり、無骨で男前な警察官だったり試行錯誤が見られる。一見おどおどしたような頼りのない最年少でもキラメキを活かしながら主役になれるのは令和らしい戦隊構成だと思った。

 

「限界は超えない」。キラメイジャーらしいキャッチフレーズなのに、一度だけしか話題にならなかったのは非常に惜しい。現代の歪な社会構造では誰かが限界以上に働くことで、維持しているような気がする。キラメイジャーのようなどんなに優秀な人物の集まりでも、その能力以上を求められれば潰れてしまう。往々にして優秀な人物というのは常識レベル・あるいはそれ以上の責任感を有していると僕は思っている。その責任感から自発的に能力を超えた限界以上を目指してしまうのではないか。地球を守るという究極的なミッションを与えられている彼らは、当然のごとく限界以上の力を手にしようとした。このときに「限界は超えちゃいけない」とブレーキをかける発想はマネジメントとして絶対に必要だ。自分も含めたみんなでドツボにハマっていく選択は決してしてはいけない。放送当時も話題になったこの「限界を超えない」選択は、キラメイジャーの象徴だと思う。

「本当に限界を超える必要がある場合はどう向き合うのか」が気になっていた。部分的にキラフルゴーアローの能力を強化したり、何かしらの裏技を使って強化時間を伸ばしたりするのかとおもったが、そもそもそんな事態に陥ることはなかった。良く言えば「限界を超えなくても課題は解決できる」だし、欲を言えば「限界を超えるような場面の向き合い方」を見たかった。強化100秒ルールがあったから、初手強化形態で臨むことがなく、とどめを刺すようなところでしかパワーアップをしていなかった印象がある。100秒ルールは最後まで生きていたのだろうか。

 

 

本当に楽しい1年だった。毎年ロスしてんな、って思うくらいには単純だけど、キラメイジャーの面白さは本物だ。面白いがゆえにこうして毎週なにかしらの感想・備忘録を誰かと共有したいと思えた作品だ。心から感謝と労いの言葉を伝えたい。

 

最終回、充瑠が髪あげててイケメン度高すぎ。おしゃれしちゃって、絶対これから柿原さんとデートだろ笑

 

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感想『機界戦隊ゼンカイジャー 赤い戦い!オール戦隊大集会!!』結局ピザすき焼きって何なんだ・・。明るいアニバーサリー作品の幕開け。

スーパー戦隊大図鑑デラックス

 

『機界戦隊ゼンカイジャー 赤い戦い!オール戦隊大集会!!』

ついに始まるアニバーサリー作品。顔出し俳優1人だけという意欲作。

どんな感じになるのかな、という雰囲気がよくわかる先行公開だった。

 

キラメイジャーも明るくわかりやすい作風だったけど、ゼンカイジャーはそれ以上だな。これ絶対に「イマジンコント」になるだろw

主役のきいた君がインタビューで「キカイノイドの皆さんの個性が強すぎて主役が食われる」と語ってくれていた。すげーわかる。制作発表から片鱗が見えていたキカイノイドのキャラの濃さがすごい。ガチャガチャと画がにぎやかすぎる。

イマジンやバディノイド、キュウレンメンツといい、これまでさまざまな種族(?)が地球を守る仲間として頑張ってくれていた。これまで戦隊では(ジューマンだとか未来人とかバリエーションはあるものの)基本的には人間>人外だった。その構成比が大きく変わることとなる。そういう人外が増えると人間の文化との違いを強調するような奇々怪々な行動をして人間サイドを困らせることが多々ある。キカイノイドも度々驚くような行動をとってくれるであろう。

まぁ、大きくまとめれば楽しい系の戦隊だということです。笑

 

主人公もピザすき焼き食べたい、みたいな

 

あとはネタバレありで感想を書きましょうか。

 


『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』ゼンカイジャー単独予告

 

久しぶりのオール戦隊モノ

両親が開発したプロトタイプ(?)のゼンタイギアには、なぜかスーパー戦隊のレッドの顔が刻まれていた。これを使うことであらゆるレッドが具現化した。

ゴーカイのナビィみたいな鳥が一応早口で全戦隊を紹介してくれる。最初はまだ聞き取れるけど短い時間で全戦隊を紹介する都合上二次関数ばりにどんどん早口になる。僕のドンピシャ世代の紹介になる頃にはもう聞き取れなかった笑

ルパンレンジャーとパトレンジャーが別戦隊として紹介されてるのがプチ感動。当たり前といえば当たり前なんだけど、どうしてもセットで見てしまうから。。。

 

現れたオールレッドたち。全体的に棒立ちなんだけど、ルパンレッドは佇まいがスタイリッシュだった上に、消えるときもアデューしてくれてルパンへの理解度が高い。アカニンジャーも忍者一番刀を首の後ろで組む動作が天晴感があってよかった。

せっかくバスコやザミーゴらが出てくるけど、オールレッドたちとの戦闘も全然描写されなかった。時間が限られてるのはわかるけど、そこは見どころでしょ〜。確かに過去のヒーロー&怪人との戦いよりもこれからの戦隊の戦いをじっくり見せることのほうが大事なのはわかるけど、これで客寄せしたんだからもうちょっとくらいファンサービスしてくれてもいいじゃん。

それとキラメイレッドとリュウソウレッドくらいセリフがあってほしかったな。無言どころかスポットすら当たらないw 目立つ場所に配置されてるわけでもない。

このムビレン冒頭で一瞬絡んだだけで、ぜんぜん掛け合いしてくれんかったわ。。

 

 

スーパー戦隊ヴィラン

バスコ、全く老けないね。10年前でしょ。5年前にもキュウレンのVシネで復活してたよね。まるで変わらない。明るく個性的で強くていい悪役なんだよな。

ザミーゴは正直キャラをあまり覚えてないや。ことあることに「さぶ」って冷笑してるイメージだけだ。にしても入江さんはキカイに縁があるというか東映に紐付けられてるな。

九衛門はキャラデザインがかっこいい。声が好き。キャラも好き。もう少し復活を見たかった。畏れを集めさせてもらうよ、が九衛門らしいなと思う。

バングレイはまぁ、ハンターだな。というか実はスーパー戦隊の天敵なんじゃね?いくらでも過去の強敵を蘇らせることができちゃいますけど・・・。

 

怪人勢が並び立ったときにバスコの後ろにダマラス、バングレイの後ろにクバルなんかがいるのがおもしろかった。おまえら意識があるのならば今どんな心境で後ろの部下みたいな面して立っているんだ。意識がないのならそれはそれで皮肉なもんだ。

再生怪人は弱いの法則があるから、本編でどんなに戦隊を苦しめてても復活しちゃうと拍子抜けしちゃうんだけども。

 

 

ゼンカイジャーは十中八九、過去戦隊のロボに力をかけてくる。たまには過去ボスなんかも出てくるといいな。

 

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感想『騎士竜戦隊リュウソウジャー 特別編 メモリーオブソウルメイツ』ケボーンな蛮族リュウソウ族の魅力凝縮版

スーパー戦隊シリーズ 騎士竜戦隊リュウソウジャー Blu-ray COLLECTION 2

 

『騎士竜戦隊リュウソウジャー 特別編 メモリーオブソウルメイツ』

久しぶりにケボーンな気持ちを取り戻した。短編なんだけど、リュウソウジャーを凝縮してて、まるで学生時代のお気に入りの定食の味を思い出すかのような安定感。

リュウソウジャーを凝縮しすぎて「あれ、リュウソウジャーってこんなにおもしろかったっけ?」なるくらいに良かった。

物語におけるカナロがあまりにも便利すぎる。もうカナロだけで笑える。やっぱカナロ好きだわ。こんなにもお約束が求められる人物ってのも羨ましい。

ワイズルー&クレオンも相変わらずで。クレオンの弱者に強いクズっぷり。

ナダの立ち位置に悩むメルト。悩むポイントがちょっと抜けてるけどくすっとしたよ。 

 

 

尺も短いし、これはさっそくネタバレ感想ありで、この気持ちを共有したい。

 


『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』リュウソウジャー単独予告

 

短い時間ながらほんとよく詰め込んだと思う。ナダが仲間になった直後だよってわかりやすく回想して、卓球チケットをオチにつけて本編へ橋渡しする。エンディングで本編全体の印象的な場面をまとめ上げてリュウソウジャーそのものを追想させる。これだけナダ編を見返したくなるだけでなく、リュウソウ全体をもっかい見たくなる。

 

尺の都合だとおもうけど、今回ほぼほぼ変身しません。「変身できない」能力の人型マイナソーが敵です。

宝箱とか実態のないガス状の変な姿のマイナソーとかがいっぱいいたから人型がいても設定上の違和感はない。本編もいたんだっけ?とりあえずこの短編のための怪人はつくれないんだな、って感じだった。でも短い時間で「いつもの戦隊」をしてなかったのは逆に人間ドラマに時間を使えるメリットが大きい。リュウソウチェンジできない分、やたらと生身のアクションやるなーなんて思ってた。そうか、なるほど坂本監督だったのか。そう思えば人型マイナソーもやたらと腹チラするキレキレの女性だったな。

坂本監督だけあってアクションの見どころが大きい。変身してなくてもガッツリヒーローやってるように見える。

 

しかしだな。リュウソウ族は人間と文化が違う蛮族だ。「人間相手じゃ戦えない」とならずに、「殺さないように倒せばいいんでしょ」で解決できちゃうあたり頭ケボーンだと思ったよ。発想が初期のちょっと尖ってる頃のトワっぽかった。コウのアクションもよかったし、蛮族の戦いは見ごたえがある。

最後変身したときの久々にリュウソウの名乗りバンク見たけど、やっぱり映像がめちゃくちゃかっこいい。夏映画のときも感じたけど、劇場映えするんだよね。これは劇場で見るに限る。鬼気迫る迫力はキラメイのバンクにはない魅力があって「おぉ!」って興奮した。リュウソウレッドしか見れなかったのが残念だ。仕方ないけども。

 

 

今回はナダに着目したエピソードだ。結局、それまで強敵として立ちはだかっていたナダが仲間になった直後に敗北したことに関する補強ってことでいいのかな。憎しみのエネルギーが開放されてしまったから、ガイソーグにはもう大した力がありませんよーって。律儀だな。笑

視聴者かどこかからツッコミがあったのだろうか。でも敵が味方になると弱体化するのはもはや常識だし、ツッコむだけ野暮な気もしないでもない。まぁ、敵組織が巨大獣を一気に投入しない理由とか、変身モーション中と名乗り中の攻撃を控えるとか、そういったお約束へのツッコミが厳しくなっているのはあるんだろうな。だから作中で「エネルギーがめちゃくちゃいる」とか「名乗り中の攻撃は卑怯だぞ」的な理由を差し込んだりしているのも増えた。何事も整合性・合理性が重視されたキッチリしたものを作るのが時代の流れなんだろう。

本編で謎に卓球大会してたのもきちんと理由をつけてたし、いや真面目か!笑

いや、作中の理由はともかく実際なんで卓球だったんだろ・・・。

 

本当はキラメイとVS枠になるはずだったんだよな。リュウソウ単体っていえば喜ばしいけど、キラメイとの絡みも見てみたかったのも本音。どうせカナロが小夜をナンパするんだろ。メルトと為朝が作戦を考えるし、バンバと時雨がいい感じにギャグをしつつイイ仕事をする(なんだイイ仕事って)。戦闘ではトワと瀬奈がスピードで敵を圧倒する。アスナ・・宝路とうまくやれそう(?)

限界に関する論争を巻き起こしてもいいし、リュウソウ族のキラメンタルにインスピレーションもらってもいいし、この2戦隊ってだいぶ合わせやすいんじゃないかな。

というか、キラメイ組が有能すぎてどの戦隊とも大人の対応ができるのか笑

やっぱりVSが見れなかったのは本当に残念でしかない。

 

 

 

 

 

最後にウイ役の金城茉奈さんのご冥福をお祈りします。

 

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感想『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』典型的な夏映画。キラメイダンスが楽しい

ミニアルバム 魔進戦隊キラメイジャー2

 

『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』

まさにキラメイジャーの夏映画だった。事情を知らない後年の人たちは「え、公開日2月!?最終回直前???」と困惑すること間違いなし。紛れもない夏映画だ。

 

なぜ夏映画なのか。コロナによって撮影ができず例年通りの夏に公開できなかったのが原因だ。おかげで夏感満載の映画に仕上がっている。

最もわかりやすいところでいくと、夢の世界で「夏祭り」が行われることだろうか。瀬奈&小夜が浴衣に身を包み、時雨がお面と法被でかき氷に頭を包まれる。

あぁ・・・夏映画だ・・・。僕はキラメイジャーの夏映画を見ている・・。と安心感が半端ない。

ストーリーは、街の人が夢の世界に囚われてしまう事件が発生。充瑠と為朝とも連絡が取れない。夢の中に潜入して夢の持ち主を探すという物語だ。

 

今回のボスは壇蜜さんが演じるヌマージョの妹「ミンジョ」だ。このチョイスも夏感がある。ヌマージョは8月末と9月に放送されたエピソード21・22で登場した、呪いによってマバユイネを失わせた魔女だ。そのエピソード中に一瞬だけ妹のミンジョが助太刀をしている。本編ではその後姿を見せなかった。このヌマージョ編のクオリティや話運びが放送当時から「元々夏映画用の話をテレビ用に脚本編集したのでは?」とも言われていた。実際は映画を楽しんでもらうための前日談的なエピソードであったことは間違いない。

 

と、いうわけで時系列はエピソード22のあととなる。ヨドンナもまだ登場してないし、オラディン王も復活していない。宝路なんか出番少なくない、とか思ったけど、例年夏映画は追加戦士の出番が少ないんだった。合流して6人で変身・名乗り・ボス戦参加してる夏映画のほうが珍しいの忘れてた。撮影スケジュールなのか登場タイミングの都合なのか、カナロといいノエルといい、映画だと独自行動している印象が強い。

 

変身シーンで思ったのは、変身バンクを画面縦6分割にしないで3分割で2組に分けて尺を割いていたのが珍しいな思った。スクリーン映えしてて結構よかった。映画ということで名乗りも久しぶりにフル尺で楽しめた。

 

 

あとは大したことないネタバレ?込みで語ろうか。

 

 


ついに物語が明らかに!映画『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』予告編

 

 

これ、タイミング次第では充瑠と為朝もろともガルザやられてたよね??

ミンジョ、ガルザのこと嫌いなの???外様のくせに幹部待遇の中途採用にご立腹なの?

わざわざ地球の廃工場にガルザを呼び出して、眠らせて夢を共有させる、謎作戦。

もはやガルザをいいように使って最後に始末しようとしてるじゃないすか。

そもそもの作戦の最終終着点がよくわからないけど。闇エナジー集めが目的だったのかな。

それにしても都合よく使われた上に殺されかけたガルザ、ミンジョを許すチャンスを与えるなんて実は仏なんじゃない?

「ガルザの夢だからオラディン王がちょっとおかしい」なんて言われたら恥ずかしすぎる。

あと、マブシーナの回想で「昔は時々ガルザを含めた家族で夢を共有した」「あのころはガルザはまだ裏切ってなかった」って言ってたけど、バリバリ嫉妬心植え付けられてる時代だったのおもしろすぎる。内心は「オラディン憎し」なのにああやって猫かぶって仲良し家族やってたのか。その心境を思うとやっぱガルザがかわいそうだ。

 

 

エンディングでキラメイダンスを踊りたくてうずうずしてるガルザほんとにかわいい。マイペースに楽しそうに踊るクランチュラも好きだ。この隣にヨドンナがいてほしかったな。

6人で踊ってるキラメイダンスを見てなぜかちょっとうるっとしちゃった。コロナのせいで5人+1人って構図でしかなかったのに、ついに6人揃って踊れたんだって感動した。

劇場版のエンディングダンスってTHEハッピーエンドって感じがして好きだ。エンディングもっかい見たいわ。

あ、PPAPもガッツリ流れて楽しい雰囲気がしてよかった。

 

 

ところで、ミンジョと一緒にいたあのモンスターはなんだったんだ?邪面獣なのか?

 

魔進戦隊キラメイジャー 全曲集 めっちゃ輝煌ぜ!

魔進戦隊キラメイジャー 全曲集 めっちゃ輝煌ぜ!

  • アーティスト:V.A.
  • 発売日: 2021/02/10
  • メディア: CD
 

 

『魔進戦隊キラメイジャー』ヨドン皇帝さすがラスボス。ヘイトを集約することで他の幹部生存への希望

スーパー戦隊シリーズ 魔進戦隊キラメイジャー Blu-ray COLLECTION 2

 

魔進戦隊キラメイジャーも最終回を残すだけになってしまった。

色々と麻痺しているので「石がしゃべる」って設定も「そっかー。今回はしゃべる宝石なんだ」くらいにしか思ってなかったけど、世の中的には「石がしゃべる!?なにそれ??」ってなるらしいね。作中のビジュアルは完全に石だったけど、紛れもなく意思がある存在だった。

魔進とメンバーの熱い信頼関係がキラメイジャーのおもしろさを加速させていたのは言うまでもない。

 

 

充瑠を救えずに沈み込んでしまう為朝たち。しかし、落ち込んでいても仕方がない、今は地球を守らなければならない。と自らを奮い立たせて戦いに臨む。こういった「やるべきことの優先付け」ができるのがプロだなぁと思う。どんなに感情的に苦しい状況であっても、やらないといけないタスクは待ってくれない。切り替えろとは言わないけどもできる最善を尽くすのは本当に「できるオトナ」だ。それぞれが最前線で活躍するプロの成熟した精神が発揮されていた。

 

作戦参謀で実質のリーダーである為朝がまたもや輝いた回でもある。落ち込んでいるようで頭の中で皇帝を撃破する作戦をシュミレーションしていた。カナエマストーンを有効活用して能力増強して皇帝に挑む。

リバーシアで皇帝をある時間軸の姿に戻すという発想はなかなかおもしろかった。

しかし、結果としてヨドン皇帝を封印したのではなく、ヨドン皇帝を内在したヨドンナを封印することになってしまう。皇帝も一瞬でそのことを理解し、ヨドンナを切り捨てることによって巻き添えでやられてしまうのを回避するのもなかなかやるな。地球に闇のエナジーが充満していなければ分離した皇帝の逃げ場がなくなるところだった。

 

 

渾身の作戦が破られて絶体絶命のキラメイジャー。そこに魔進ジョーキーが充瑠を乗せてやってくる。

そうか〜、ガルザ散ったかぁ〜。別の場所に精神を移す、って発想は合ってたけど遅かったか。魔進ジョーキーとしていきていくのいいじゃん!なんて思ったのに滅んでしまった。ジョーキーに「これからは充瑠らの仲間となってやれ」というの、本当にジョーキーが好きなんだなと思う。恐竜でチェンソーなんてかっこいいもんね。というか、ジョーキーって意思あったんだ。

やっぱりガルザの存在が皇帝に一矢報いるキーになった。充瑠も合流し、本当の最終決戦。帰ってきた充瑠にじゃれる為朝が尊いぞ。為朝は充瑠のことを本当に弟のように可愛がってるな。時雨小夜宝路の年長組も、彼らを微笑ましく見守ってる関係性もたまらん。こういう日常をもっと見たいけど、次回で最終回か。どんな戦いを見せてくれるだろうか。

 

Twitterのクランクアップの報告ではみんなスーツをきた集合写真があった。次回予告みると現場で素面名乗りやってくれてるっぽい。現場で素面名乗りするの久しぶりじゃない?最近は被せ?みたいな感じでスーツ姿の自分と隊員服で横並びの特殊変身バンクで済まされてるイメージだった。撮影スケジュールの問題とかもあると思うけど、最後にメットなしのスーツ姿で決めポーズ決めてくれるのすごい好きだからめちゃくちゃ楽しみ。

 

 

 

あ〜、皇帝撃破後ってどうなるんだろ。カラットは解散するのか?クリスタリア復興の支援企業となるかな?マブシーナや魔進たちはクリスタリアへ帰るのがオーソドックスな展開とはいえ、充瑠大好きファイアはずっと充瑠と一緒にいたがってるから普通に地球に残るエンドもありうるか。

 

ヨドンナ生存の可能性も残っている。ほぼ生存確定のクランチュラとどういう扱いにするのかも見どころだ。クランチュラは地球文明大好きだから、地球に残ってエンジョイしてほしいけどな。ヨドンナは為朝とうまくやってくれ。為朝にわざと嫌味なことをいって「うぉい」って愛のあるツッコミをもらって自然にニコッとしててくれ。為朝は「笑うところわかってるじゃん」って言ってもいいし、あえて口に出さずに微笑んでもいい。とにかくふたりの掛け合いがみたいんだ。

 

妄想が膨らむ…。いろいろとひらめきーングしてるぞ。笑

 

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感想『LOVE,サイモン 17歳の告白』繊細で平凡な高校生の恋物語

Love, サイモン 17歳の告白 (字幕版)

 

 

やっぱ海外作品はその国の文化的背景をよく勉強しておいたほうが楽しめそうだよな。

向こうは何歳から車に乗ってよくて、何歳からお酒が合法なんだっけ。高校まで距離があるとはいえ日本の感覚だと車通学ってちょっと違和感あるわ。向こうのハイスクール文化がかっこよすぎる。あと出てくる映画や音楽の固有名詞のほとんどが分からなかった。ダニエル・ラドクリフジョン・レノンワンダーウーマンくらい。あとビヨンセ

 

サイモンはゲイをカミングアウトしていない以外は普通の高校生。ひょんなことから同じ高校内に自分の他にゲイがいることを知る。専用にGメールアドレスを作り、コンタクトをとり秘密のメル友になる。サイモンはその謎の彼とメールを交わしていくにつれて、相手に惹かれていく。しかし、うっかり図書館のパソコンでメールをしたばかりに厄介な相手にメールを見られてしまう。このことがサイモンの生活を一変させた。

 

 

 気恥ずかしくなる青春

青春映画なんだけど、見ていて恥ずかしくなる。サイモンがメールを送ってから返信を待ち続けてソワソワしている感じなんか初々しい。インターネット上の見知らぬ相手も含めて初めて自分がゲイであることを公表して話をした。今まで誰にも話していないことを話したんだ。この開放感がサイモンをのめり込ませていった。

「このメールの相手は誰なんだろう」とちょっとしたことから「もしかしてあいつかな」と探してしまうのがかわいい。期待しちゃうと世界が輝かしく見える。するとちょっと背伸びして飲めないお酒を飲んでみたり、バイト休憩の相手に声をかけてみたり。そして勝手に期待して、勝手に失望するを繰り返してしまう。期待だけは膨らんでいくのに、女性の影を感じた瞬間に風船がしぼんでしまう。この繰り返しが結構しんどいんだよね。だけど、相手のことを思っている表情が嬉しそうで微笑ましい。

 

 

サイモンは本当に平凡なのか?

サイモンはこれまで自分のことをほとんど話してこなかった。対抗試合の前、アビーと好みの男性について話をしたとき「こんなときどう話したらいいかわからない」と言った。それまで自分の欲望を語ったことがなかったのだ。普通の高校生である一方で普通の高校生にはないくらい自分を抑圧している。

 

ハロウィンパーティーの夜の会話が印象的だ。

「時々自分だけが世界が違う。楽しいパーティも自分が部屋の向こうから見ている感じ。すべての一部になるためには見えない線を超えないといけない。」

サイモンはこれに共感しつつ「楽しくなるようにトライしていた。」と返した。

多分サイモンはどんなに楽しい空間でもいつもどこか遠くから俯瞰してたんだと思う。周りのように好みの相手に自分をアピールすることもできない。ゲイだと疑われる言動をしないようにきちんと心をセーブしておかないといけない。そうなると本気で楽しめない。サイモンの心は孤独だ。

 

メル友ブルーに出会えたことがそんな孤独からの開放につながった。ダニエル・ラドクリフのことや日頃思っていること、今まで話したことのない自分のことをはじめて語ることができた。そしてアビーへの初のカミングアウト。ブルーが親にカミングアウトをする流れに影響を受けたものだ。カミングアウトにアビーは驚いたけど冷静だった。このときサイモンはアビーに驚いてほしいけど驚かないでほしいと思っていたに違いない。これはサイモンの強い自意識だ。彼にとってはゲイであるカミングアウトはあまりに大きすぎる難問であって、周りにも相当インパクトを与えるものだと思い込んだ。これまで誰にも話さなかったため問題は頭の中で無限に膨れ上がっていたのだろう。一人で抱え込んでしまうことがよくないとされる所以だ。

 

 

サイモンの失敗と成功

サイモンはメールの暴露というアウティング危機に遭遇し、これまで以上に自分の問題にかかりきりになってしまった。アウティングを恐れ、自分の身を守るためなら何でも正当化されるんではないかというくらいに、他人に鈍感になった。多くの仲間を傷つけた。サイモンがその場しのぎの嘘をついていくのは見ていてしんどかった。そして何よりきついのが、問題が表面化したのがアウティングされた後だったというところ。「ゲイだから」ではなく完全にサイモンの自爆で見放されてしまったのは痛い。

アウティングによって、周りの人の視線がすべて自分に向いているかのような気分になる。友達もいない、メールフレンドとも連絡が取れなくなった。状況は最悪だ。

ところでアウティングされた後、カミングアウトについて「どのタイミングでどこでどうやってどんな人に伝えるのを決めるのは僕の仕事だ。決めるのは君じゃない」とまくし立てた。これ、ちょっと感心したわ。すごくいいセリフだと思う。

 

 

サイモンは周りに歩み寄る努力をした。友達にも声をかけ、掲示板で改めて自分の声を伝えた。こういう逆境に際したときに勇気ある行動ができるかどうかがその人の人生を大きく変えるんだと思う。サイモンの勇気に周りも同調し、結果としてメール相手のブルーとの対面を果たすシーンは思わずうるっとした。お前だったのか。完全に候補から外してた。「そこ空いてる?」「待ってる人がいるんだ」「知ってる」この流れが最高すぎた。

 

このハッピーエンドがあったからこそ、途中の気恥ずかしい気持ちや見ていてキツイような場面を帳消しにできる。LGBTを題材にしつつも説教臭くなく辛気臭くもなく見ていて楽しい爽やかな青春映画だった。なによりサイモンがイケメンでかわいい。

ブルーにメールでの別れを告げられたときの涙は『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメのラストシーンと並ぶくらい好きなシーンだ。こっちもぜひ見てほしい。

 

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