ゆうがたヒーロー

日曜の朝でなくても誰だってヒーローに憧れてる

機界戦隊ゼンカイジャー。香村さんが描く悪の組織トジテンド。ゲゲは今日も溺愛される。

機界戦隊ゼンカイジャー オリジナル・サウンドトラック サウンドギア1

 

油断するとすぐステイシー君に注目してしまう。あぶないあぶない。

なんだよ、さとしって。素直になれないステイシーくん、応援してあげたくなる。

先週の次回予告&今週のOP時点でカラフルにステイシーにばったり対面なのはわかっていた(むしろココ見どころですよ〜ばりにアピールされてた)から、カイト視点じゃなくてステイシー視点でのご対面を見たかった気がする。

 

カイト視点でのご対面だと、なにも知らないカイトが「ただいま〜」って帰ってくるとステイシーがいる状況になる。極力彼を映さないような演出をしていたけど、さんざん宣伝されたご対面はすでに周知の事実なわけですよ。

その反面ステイシー視点でのご対面を想像してみてほしい。物憂げに地球を散歩しているとばったりヤツデに遭遇するわけだ。簡単な問答をして半ば強制的にカラフルに連れてこられる。いま用意するからね、とスイーツを準備してもらっている間、ソワソワしながら周囲を見渡すステイシー。色とりどりの装飾とおかし、子供のころに憧れたキラキラしたなにかをぼんやりと思い出す。一生懸命話しかけてくれるヤツデ。ほらお待たせ、と差し出されたカラフルサンデーにステイシーは目を輝かせる。いざ、食べようとした、その瞬間「ただいま〜」の声に反応して入り口をみるとそこにはカイトが・・・。

 

カイト視点での「家に帰ったらステイシー」は予告されていたので、ステイシー視点での「ヤツデについていったらカイト登場」のほうがステイシーの愛くるしい魅力を高めてくれるんじゃないかなぁ、と素人ながらに思ってしまった。そういう4コマ漫画かいてくれる人もいそうだけど、僕にはそんなスキルがない笑

 

 

香村さんの描く敵組織

香村さんがメインで手掛けた戦隊ヒーロー。敵組織にはデスガリアンとギャングラーとトジテンドががある。彼女が描く悪の組織には一定の構造がありそうだ。

 

まずはトップ。ジニス&ドグラニオ&ボッコワス。

彼らは組織の絶対的な君臨者だ。威厳と余裕があり、その姿のままですでに完全体である。(ジニスはさらなる強化を求めたが。)敵組織あるあるパターンのラスボス復活のために幹部が奔走する、という系譜ではない。

ジニスとドグラニオの余興的な侵略だったのに対して、ボッコワスは明確に地球支配を目論んでいる点がすこしだけ毛色が違いそうだ。

ただ、弱者であるコンプレックスや老化による負い目を感じていたりするため、ボッコワスも絶対君主であればあるほど、1点だけ弱さを隠し持っている可能性もある。ちなみに脚本は違うがヨドン皇帝もコンプレックスタイプのラスボスだった。

 

そして、特徴的なのは愛人枠(?)心酔枠とでもいうのかな。ナリア&ゴーシュ&ゲゲ。この3人は君主の寵愛を受けておりなんでも自由を許されている。彼女らもそれを自覚しつつも、心の底からボスへの愛情や忠誠心をもっている。そして、最終決戦で見限られて失意の中で敗北するパターンが多い。脚本は違うがヨドンナも忠誠心があったのに見限られて消滅した。ヨドンナ自身が皇帝なので寵愛を受けることすらなかったわけだが。

 

 

アザルド&クバル、デストラ、バラシタラ&イジルデの脳筋&インテリ幹部

ギャングラーにはインテリ幹部はいないし、そもそも敵組織に限らずありがちな組み合わせのため、香村さんに特徴的かといわれるとたぶん違う。そこは特別なことをせずに組織の「型」に忠実なのかもしれない。どちらかといえば脳筋幹部は体育会系というより軍事的な作戦立案が得意で力技の正攻法で戦隊を苦しめる。インテリ幹部は裏でなにかをやろうとして失敗してしまうイメージがある。敵幹部内で対立する二組をみるのも楽しみの一つだ。

 

 

バングレイ&ザミーゴ&ステイシー

組織の指揮系統外で活動する第三勢力。なにかしら因縁があったりするが、ストーリー上やや持て余しがち。ちょっとまだ頭の整理が追いついていないからまた比較してみよう。こういう立ち位置で他に頭に浮かぶのはバスコなんだよなぁ。

 

 

今回のゲゲの腹黒さをみて、改めてボスの愛人(愛鳥)だなぁ、と思った。香村さんの悪のイメージなんだろうな、ボスの寵愛を一心に受けるキャラクターの存在。

ラスボスになりそう、という意見もあったけどいつものパターンなら「もう用済みだ」とされるイメージのほうが強い。愛人は愛人だからこそ輝くものだと思う。その分をわきまえずにでしゃばってトップに躍り出ると大抵ろくなことにならない。

キカイトピアを支配した張本人絶対帝王のボッコワスはジュランらキカイノイドと因縁がある。最後に倒すべきラスボスは成り上がりゲゲではなく、ボッコワスであってほしい。

 

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感想『きみと、波にのれたら』わさび君がかわいい!伊藤健太郎の声、けっこうイケるんじゃないか

きみと、波にのれたら DVD通常版

 

なかなかの秀作。恋愛映画なのに、嫌な奴が出てこない。男二人出てくるのに、王子様&王子様ってのが珍しい。片方(主人公)は嫌な俺様系なのがありがちなパターンなのにね。なんでもできるイケメン努力家港くんがメインだけども、ゆるふわ系の川村山葵(わさび)くんがひたすらにかわいい。ファッションとか雰囲気とか全体的にかわいい。いつもワサビ色がメインカラーなのも芸が細かい。

 

構成は90分の尺のうち出会いラブラブパートと喪失再会パートと再出発の3パートで大別できる。完全なファンタジーを謳っているから多少の無茶な展開も許される。全体的にテンポもいいしギスギスするすれ違いもないからストレスなく見ることができる。

港が爽やか好青年すぎる。あんなイケメン努力家消防士で彼女思いのロマンチスト彼氏、世の女性の理想すぎる。意地悪するような場面すらないのは画期的じゃないすか。

 

港との出会いからトントン拍子での交際していくうえにラブラブパートも濃厚だから、事故までのショックの大きさもわかる。直後からひなこにだけ見える水みなととのイチャラブは周りから見たら相当やばい精神状態にしか映らないのがまたいい。ここで心配してつけちゃうわさび君かわいい。

 

後半にはそれぞれ自分の進みたい道をみつけ前を向いて歩いていく。

ここでのわさび君は黒タンクトップの肩出しのオーバーサイズのトップスファッションがかわいい。こんなかわいいのに告白して撃沈しちゃうのもこの服だ。

ひなこはライフセイバーの道を見つけ、わさびも消防士としてがんばっていく。港の妹のようこもカフェをつくる夢を目指す。みんなが目標に向かっていくのは前向きになれていい。

最後はどんな展開で締めるのかと思ったら序盤の花火事件の再来ときた。無駄のない展開かつラストにふさわしい派手な展開だ。これで水みなとはきれいに成仏していく。

これでたったの90分、なかなか濃いしおもしろい。

コーヒーや花火、クリスマス。これらの要素を効果的に配置して90分でリフレインさせながら進むから唐突さがない。脚本展開が素晴らしい。

 

 

波乗りや消防士という水がテーマの映画。

水は死の世界とむすびつけるという話もある。消防士からすれば水は人の命をまもる大切な生命線だ。掴みどころのない、実態を持たないような演出ができる。どんなに抱きしめたくても触れることさえできない二人。たぶんここで触れることができるようになるのがバッドエンドへのキーだ。あくまでも水の中の存在として認めていたから水みなとと長く過ごすことができた。触れたいと強く願ったらきっと水中で同化できるようにどこかのタイミングであの世に連れて行かれたかもしれない。完全な憶測ですけど。

もしかしたら、制作はそれなりに深い考えがあるのかもしれないけども、そんな考察を抜きにして普通にエンタメとしておもしろい。いい映画だった。

よかったからここはひとつわさび君メインでスピンオフなんてどうでしょう 笑

 

 

きみと、波にのれたら

きみと、波にのれたら

  • 発売日: 2019/12/04
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機界戦隊ゼンカイジャーを見て過去を懐かしむ。だが、タイムレンジャーに時間操作能力はない!

機界戦隊ゼンカイジャー ミニアルバム1

 

我々は何を見せられているのだろうか。昭和レトロ回。

しかしいまは過去=昭和くらいの認識で番組構成されることがおおい(昭和生まれをメインターゲットとしている)が、やがて90年代の平成初期や00年代の平成中期を懐かしさの象徴とする時代が訪れるだろう。この年代生まれの人が「うわ、懐かしい〜」とノスタルジーを感じるものってなんだろうね。

 

でも少なくとも消費してきたコンテンツは僕らをターゲットにすでにリバイバルは始まっている。ポケモン登場の絶頂期、人気ゲームだった「ポケモンスナップ」がスイッチ新作で蘇っている。デジモンアドベンチャーシリーズもTriを経てラストエボリューションで僕らのハートをガッチリ掴んでいる。(今のデジモンは現代の子どもたちをターゲットにしたいハズなんだけど、どうも中途半端な印象が拭えない)おジャ魔女も「魔女見習いをさがして」という形で復活した。

 

30年前の時点で「番組終了10周年アニバーサリー記念復活」(現代でいう40周年)なんてものはなかったと思う。あの頃はコンテンツを無限に作っていけるという自信があっただろうし、どんどん新しいものを作っては消費していく時代だった。コンテンツをつくる人も予算もアイディアも先細りしていく中で、昔の作品に再登板してもらう必要が出てきたのは実は由々しき状況だと思う。

バブル崩壊後も世界は進歩し続けて我々の生活は格段に進化を遂げた。その進化の過程にアマゾンの台頭やネット環境の整備が行われた。たまには「昔はよかった」と懐かしがりたい。過去に浸ることは気持ちがいい。だからといって過去に戻ろう、醜い平成をやり直そう、と言われたら僕は首を横に降るだろう。

過去に浸ることは悪いことではないけれども、過去に戻ることは僕としては「ない」かなぁ。

 

 

ゼンカイジャー自体が過去のヒーローを再登板させる節があるから、なんとも言い難いんだけれども、あくまでも主役は現代のゼンカイジャーだ。ゴーカイジャーでもジオウでも、主役を食わないような絶妙な配慮はさすがだなぁと毎度感心する。

ただ、タイムレンジャーは時間操作できないぞ?時間保護法とかいう結構ガチガチに厳しい規定があるよ?時間操作はダイレンジャーだっけ。ゴーカイでみたな。

最近は過去の技・武器を使う路線をやめて、すっかりとゼンカイジャーなりの拡大解釈路線で効果が発揮されるようになったな。まぁそっちのほうがゼンカイジャーの世界観との相性がいいのも事実だ。そういう再解釈の方針はジオウと似ている気もする。さすがさすが白倉氏。

 

来週は磁石回。それ自体はよくあるテーマであるけれども、これまた不思議展開になるんだろうな。ゼンカイジャーだし。。。。

 

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『機界戦隊ゼンカイジャー』14話 不憫なステイシーくんとピザすき焼きを囲う日は訪れるのか

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ステイシー君の取引って「ゼンカイジャーを倒せ」「ゼンカイザーを倒せ」のどっちだっけ?

対峙したのは介人だけだからゼンカイザーだったのかな。

 

仲間外れステイシーくん。泣いてもいいよ

前回、まるで正義の追加ヒーローのように、ゼンカイジャーのピンチにさっそうと現れかっこよくワルドを薙ぎ払ったステイシー君。秘密裏にゾックスに取引をもちかける。

 

ステイシー「ゼンカイザーじゃなくて僕と仲良くしてよ!」

ステイシー「ほら!君が欲しがってたおもちゃあげるからさ!」

ゾックス「だったらお前の家連れてってよ。」

ステイシー「わかった!約束だからね!」

 

あぁ、健気だ。実に健気だ。

せっかく約束したのに「介人のほうがおもしろい」という理由で裏切られてしまうステイシーくん。

せっかくいうことを聞く人形兵の「ジャッカー電撃隊」を召喚するもビッグワンの能力で裏切られてしまうステイシーくん。

せっかく前回大活躍したバトルシーザーロボで反撃するも呆気なく撃沈されてしまうステイシーくん。

 

せっかくモノでお友達増やそうとしたのに暗に「お前じゃつまらない」と言われちゃう。完全に仲間外れじゃん。活躍した自慢のおもちゃも壊れちゃう。泣いていいんだよステイシー。世界がどんなに辛くあたってきても、テレビの前の視聴者だけは君のことが大好きだから!むしろ思う存分、ワンワンと泣きじゃくってくれ(鬼畜の所業)

 

いや割とまじでひとりだけ世界線間違えてるんだよね。様々な並行世界を認める世界観で、いろいろな世界にいけるトジテンドにいるんだから、自分らしく居られる世界を探してもいいんじゃないかな。叔父上やヨドンナとも君ならうまくやれるよ、ナチュラルに下に扱われちゃいそうだけど今の世界観よりは居心地よく悪役できるよ。

リュウソウ世界は・・・ワイズルー様に呆れてクレオンにいびられそうだ。ルパパト世界でギャングラーの仲間入りすれば自由に悪役ができそうだけども、相談相手が居なくてひとりで抱えて病んじゃいそう。あの組織はギャングだし楽しく悪役できないと居づらそう。やっぱりステイシーくんにはイジルデみたいな話し相手大事。

 

光堕ちしてみんなでピザすき焼きを囲める日は来るのか。それとも不憫な悪役を全うできるか。ゼンカイジャーファン一番の注目は君だ。

 

 

イジルデとバラシタラ

機械メーカーの技術部長と営業部長みたいな感じになってきた。

先週のリサイクル回なんて技術部が開発途中で手放した製品を営業部で勝手に再利用、苦言を呈する、と解釈してしまった。

今週は営業部に好き勝手させないぞ、と技術部主導でのゼンカイツーカイ仲違い大作戦。技術部の若手のエース・ステイシーくんはまだまだ成長途上だけども。

営業部隊は戦力の多さが武器となる。毎週ワルドを派遣してローラー作戦で市場制圧に取り組む。

 

悪の組織はどんなに有利な状況になっても最終的に敗北することは既定路線だ。

技術部がどんなメカを開発しようが、戦隊側がすぐにそれを上回る技術をぶつけてきて、「んなもん市場じゃ役にたたねぇんだよ」と一蹴されてしまう悲しき運命。

だから大体の悪の組織は、研究者や開発者よりも単細胞武人型幹部が幅を利かせがち。

 

今年は先に悪の華を咲かせて散るのはどちらの部門だろうか。

 

 

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感想『魔進戦隊キラメイジャー』ファイナライブツアー。コロナ禍での1年間キラメキをありがとう。

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今日は1日キラメイジャーDay

なんと、ファイナライブツアー生配信3本立てすべてのチケットを買わせていただきました。

特撮ファンでありながら実は初めてのファイナルライブツアーがこの魔進戦隊キラメイジャーでした。今までもルパパトやジオウ等、ファイナルをみたいなーと思うことは何度かあった。けれども、毎度見送ってしまっていた。でもキラメイジャーはこんなに「みたい」「応援したい」と思わせてもらえた。

 

もう、うまく言葉にできる自信がない。

だけども今の僕にはこの気持ちを昇華させる方法はここのブログしかない。拙い感想ではあるけれども、どこかの誰かと共感できたら幸いです。

 

大千秋楽でのエピソード。

ゲストなしの6人でのキラトーク。僕らの感想をまとめた冊子を読み上げて、エピソードについて語ってくれる。観客や声援という形で応援することのできないこのご時世、僕らの応援の声をひとつひとつを直接届けてくれる企画は本当にありがたい。

僕は「相棒」回が好きなのでたぶん多くの感想があったんだと思っている。第1回声優陣を交えたキラトークでの話題になっていたので、大千秋楽では取り上げられなかった。だけども冊子で直接キャスト陣の目に触れたかと思うと、それだけで嬉しい。

 

1年を振り返ると、やはり中盤以降の脚本スタッフキャスト陣の脂の乗ったエピソードが印象に残りやすい。

いや、たしかにコロナ休止前の万力邪面回や昭和特訓回みたいな印象的・象徴的なエピソードもある。だけども、コロナ以後のエピソードはより一層かがやいて見える話が多かった。

2020年4月期の緊急事態宣言下、特撮・朝ドラ・大河は長編シリーズだけあって、ストックもあり、放送がすぐに止まることはなかった。

個人的にはコレが結構大きくて、最も世界が混沌としていた時期、つまりニュース以外のあらゆる番組が再放送になっていた時期に、最新エピソードが供給されることがどれだけ心強かったことだろうか。加えて、キラメイジャーは「キラキラと輝く」をテーマにしている。そんな時期になんて明るく希望があるテーマだろう。さらにまだ日本での感染者数もそれほど多くないタイミングでの、充瑠役の小宮くんが新型コロナ感染のニュースもあった。だけども無事に現場復帰をして最終回まで完走し、最後だけ無観客にはなったものの7都市でのファイナルライブツアーをこなし、見事に地球を守るために走りきった。

数々の困難を乗り越えてきたキラメイジャーは、世間に先立って新型コロナウイスに打ち勝ったヒーローであることに異論はないだろう。

 

 

大千秋楽では時間なので次の企画(キラメイ音楽祭)に移ろうとする場面で、充瑠が「ちょっと待った」をかけた。そして素面での新体操名乗りをしてくれた。「やろうよ」という軽いノリでできる名乗りではない。事故怪我のないように指導もしてもらっただろうし、練習をしただろう。この名乗りをしてからのシームレスでの音楽祭でのキャラソンメドレー。からのまさかの新曲発表と「勇気を奏でて」6人ver。

音楽祭を終え、進行を忘れた充瑠はひとりだけ棒立ちで立ちすくむ。つっこまれて「感傷に浸ってた」というのも納得できる。そんなちょっとほっこりする天然充瑠を支える為朝と宝路のチームワークの良い進行。ここまでの流れが怒涛だった。

 

終始楽しく視聴していた僕自身がぶわっとしてしまったのはこのあとだ。大西さんのオープニングを聴いていたら、涙が止まらなくなってしまった。ほんとにふと去年の4月を思い出し、キラメイジャーに支えられたことが走馬灯のように蘇ってきた。この明るくて前向きでキラメイている曲でどれだけ救われていたんだろうか。OPED曲で涙し、キャストへの花束贈呈で涙し、全国のキラメイファンの写真集で涙し、終始涙が止まらなかった。自分がこんなにもひと作品に入れ込んでいたとは思いもしなかった。

 

出口さんの挨拶の「よく頑張ったね」コレに尽きる。そして付け加えるのならば「ありがとう」である。本当にスタッフキャスト陣を労いたいし、感謝の気持ちを伝えていきたい。本当にありがとうございました。

キャストそれぞれに感想とお礼を書きたいくらいだけども、全く文章がまとまらない・・・。これ以上言葉にならない。全然書ききれない感謝、制作・キャスト陣に伝わればいいな。

 

あぁ、これを書きながら流している千秋楽キラトークアーカイブでの2周目も終わりそうだ。本当に楽しかった。ありがとうございました。

 

 

好きなことを信じるチカラ

キラキラ輝くために

僕らはめぐり逢ったと思うから

傷つき 磨き上げ

魔進戦隊キラメイジャー

 

本当にいい歌詞だ。大好きなんだよね、この前向きで明るい音楽。

魔進戦隊キラメイジャー、長い間僕らに煌めきをありがとう。

 

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感想『機界戦隊ゼンカイジャー』第12話 バトルシーザーロボ初登場もステイシー君涙の敗走

機界戦隊ゼンカイジャー主題歌 [通常盤]

 

12話。1クール作品だとまさに最終回で、それ以上でも一旦区切りをつけることが多い印象。ゼンカイジャーはそんなことお構いなく全速全力で駆け抜けている。

ツッコミどころしかない展開の連続で完全に何かがマヒしてしまっているような気もする。いや、今までもツッコミながら楽しく見ていたんだけれどもなんだろう、何がマヒしているんだ???

 

 

タツムリにも強いツーカイザー

タツムリワルドって要はカタツムリの世界だよね?今までのワルドの中で一番世界観がイメージしやすいんじゃない?今年は例年より早く梅雨入りしたからなんともタイミングがいい。

タツムリワルドによって、特定範囲内をノロノロにされてしまう。このノロノロ範囲ではボールも弾丸もすべての動きがどんよりとノロマになる。

攻撃判定も時間差になることを利用したツーカイザーの「仕込み」は流石である。やはり海賊は頭がキレて臨機応変に対応できないと生き残っていけないのかもしれない。フォームチェンジやロボお披露目などなど見せ場が盛りだくさんのうちには追加戦士補正は有効だ。一緒に変身するが「名乗り」はしない、絶妙な距離感の頼れる戦士。6人揃ってゼンカイジャーと名乗る日はいつになることやら。

今回、これまで積み上げてきたカイトと兄妹の交流から一歩幅を広げ、ベタベタとならないくらいに自然にジュラン&マジーヌとゾックスを交流させていた。ゼンカイジャーはお約束を崩すことが多いからすっかり忘れていたが、いわゆる追加戦士との交流当番回である。ガオーン&ブルーンとの交流も近いうちに描かれるに違いない。

 

そして!技術者であるフリントが状況を分析して説明してくれるのが地味に助かる。

なんだろう、この為朝のような安定感。そう、ゼンカイジャーメンバーの中で随一の偏差値を誇るキャラクターはフリントだったのだ。ヨホホイの兄貴ゾックスも頭はキレるが頭おかしいからな…。きちんと物語を牽引してくれそうで助かる。ゼンカイジャーではフリントがいなければ全滅していた、くらいの状況が度々起こってもおかしくない笑

 

 

ひとりシリアス ステイシー

フリント以前からひとりで一生懸命ゼンカイジャーを盛り上げてくれた立役者、ステイシー君。今日もひとりだけ終始シリアスなオーラを出しつつ奮闘してくれる。この健気さに視聴者は「ステイシー君、今日もがんばれ!」と応援したくなる。でも、彼が頑張れば頑張るほどに、彼の思い描いた展開から逸れていくのがお約束。どうしてせっかくの「バトルシーザーロボ」のお披露目回でツーカイジャーのクロコダイオーが出てきちゃうかね。しかもシンケンフォームで、烈火大斬刀でサイキックラバーですよ。かわいそうにまたも話題はツーカイザーに持っていかれてしまうのであった。

そもそもステイシー君がひとり熱くなりすぎて、このままだとゼンカイザーに固執するストーカーキャラになりかねない。本来ゼンカイジャーに存在しなかったキャラクターであるがゆえにどう転ぶかわからない。ただ、みんなステイシー君が大好きだ。

 

バトルシーザーロボが格納庫に収まっているのいいよね。最近の戦隊ロボは変形するから格納庫にいない。こういうのはゴーバスターズ以来だっけ?機械世界の怪人だからオイル補充やボルトチェックなんかもきちんとこなして、事故の無いように万全な状態で整備するんだろうな、と思うと胸が熱くなる。何気ない会話の裏でそういう描写してくれないかなぁ。

 

 

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『魔進戦隊キラメイジャー』初心者におすすめエピソード4選。映画1本分2時間でキラメイジャーを楽しもう!

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魔進戦隊キラメイジャー

放送終了からすでに2ヶ月が経とうとしている。

機界戦隊ゼンカイジャーもおもしろいし、毎週トレンドになるくらいには勢いはある。

しかし、なぜか僕の心は未だにキラメイロスが癒えない。

ちょっとロスがあるかな、とおもっていたドライブやエグゼイド、ジオウにルパパトはさすがに2ヶ月も経過すれば新しい生活へ気持ちを切り替えることができていた。

しかし、キラメイジャーに関しては未だに名残惜しい気持ちが大きい。コロナ禍という特殊な世界環境において「キラキラと輝く」を貫き通したテーマ性が心に刺さったんだろう。

 

今回は「キラメイジャーってのがおもしろいらしい」「でも特撮って話数多いしちょっと見てられない」という人向けに個人的にキラメイジャー傑作選を紹介したいと思う。

本当に良エピソード揃いなので、色々選ぶと結局「全部見て!」と言いたくなってしまう。

ここではあえて、1本30分番組と仮定して、2時間の映画1本見るのと同じ時間でキラメイジャーを把握することをテーマに120分のボリュームで4本を選んでみた。

せめて8本にしようかとも悩んだけれども映画1本分にこだわったので、まずこの4本を見てほしい。ちなみにTTFC(東映特撮ファンクラブ)に入会すれば980円(多分初月半額)だ。Google Play経由での支払いはとても簡単なので、よければぜひ一緒にキラメこうぜ!

 

尚、大前提としてのキラメイジャー概略

宝石の国クリスタリアを征服したヨドン軍が次に目をつけたのは地球だった。なんとか地球に逃げてきたクリスタリアの王女マブシーナとその仲間の意思ある宝石キラメイストーンらは、キラキラと輝いているキラメンタルの持ち主を集め、キラメイジャーを発足してヨドン軍から地球を守る。

途中地球人でありながらクリスタリア王家へ養子となった、マブシーナの兄・宝路も合流し、激化するヨドン軍との戦いに臨む。

 

 

 

エピソード2「リーダーの証明」

第1話もいいんだけども、個人的にはこの第2話を推したい。

充瑠も戦隊に加わり5人体制で物語がスタートする、事実上の第1話なのだ。クランチュラのキャラクターや闇の保険や代役ンなど設定が紹介され、世界観の奥行きが広がる。そして、キラメイジャーのメインテーマである「キラキラと輝く」ことについて触れられる。それぞれの世界のトップで活躍するメンバー達での戦隊活動はいろいろな制約がともなう。その中で戦隊活動よりもアスリート活動を推奨する、キラメイジャー独自のルールが展開されたのには度肝を抜いた。そのロジックも「瀬奈がキラキラしていないとキラメイジャーとしての活動に支障が出る」といったもので、キラメイジャーのコンセプトに真正面から向き合っているのが印象的なエピソードだ。

キラメイジャーを見る上の導入としては絶対に欠かすことが出来ない。

 

エピソード19「相棒」

戦隊モノでよくあるお約束のシリーズ「入れ替わり」。このエピソードでは石である魔心とキラメイジャーメンバーとの交流を描く。戦隊慣れしていなければ、そもそも「喋る石が相棒でロボットになる」という状況が不可解に見えるらしい。(へー今回は意思ある宝石が相棒ねくらいにおもった僕)

石は石でも意思はあるわけで、その意識だけが入れ替わるというカオス回と言ってもいい。キラメイストーンの仲間たちはそもそも自由な感性の持ち主だ。入れ替わり人間の体になるだけでおもしろい。

話の主軸は充瑠とファイアであるが、相棒がキラキラ輝くためにはどうすればいいのか、さらに言えば相棒に限らず「輝く」ためにはどうすればいいのかについてひとつの解をだしたエピソードである。

 

 

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エピソード26「アローな武器にしてくれ」

キラメイジャーを語る上でおそらく絶対に外せないエピソードが26話だ。コレに関しては異論はないと思う。25話で新敵幹部であるヨドンナが登場し、キラメイジャーにもさらなる強化が必要になっている状態での物語だ。令和の戦隊として話題になった(話題にした)「限界を超えない」条件での強化形態を選択した屈指の激アツ展開。

これまでのようなヒーローの自己犠牲精神にストップをかけ、本当に身を滅ぼしてまで力を得ないといけないのかを考える。トップアスリートは自分の限界を知った上でコントロールしながら記録を目指すという。地球を守る戦隊にもその理屈を当てはめ、ここぞという勝負時で全速力を出すという戦い方を編み出した。前年のリュウソウジャーは「限界は超えるためにある」と語り、その前の「パトレンジャー」では市民を守るためには体内に毒が回っても戦い続ける姿勢が見られた。こうした気合や根性とは一線を画したキラメイジャーの象徴的な話が26話だ。25話と合わせた前後編でありながらこの1話でも十分に高いクオリティで楽しむことができる。

 

エピソード44「君たちがいて輝いた」

最終回であり、いわゆるキラメイジャーの終着点である。これまでキラキラと輝くことに終始してきたキラメイジャー。ラスボスですら努力して強くなりたいと願った存在だと明かされつつも、強い自分を演じるために身につけたマスクが打ち砕かれる。キラメイジャーの面々はマスクなどしなくても強くキラメイている、とある意味では残酷にも受け取れるメッセージを残しつつラスボスを撃破する。誰でも素面の自分でいいんだよというメッセージでもあるんだけれど、ラスボスにとってはあまりにも眩しすぎる酷な現実だった。相棒であるキラメイストーンからみた仲間たちからの声援もあり、一生懸命に輝くことを最大限に活かした、キラメキを追求したキラメイジャーという物語の着地点だ。

 

 

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いかがでしょうか。44話のうち4話だけを抽出してキラメイジャーを語るなんておこがましいのは承知しています。とはいえ、「興味はあるけど話数がネックで手が出ない」そういう人は一定数いるはず。そんなあなたが映画1本をみるくらい気軽な気持ちでこの4つのエピソードを見てキラメイジャーの概略を掴むきっかけになれたら幸いです。

気に入ってもらえれば最終回を経て改めて1話から順に見ればどっぷりとキラメイ沼の仲間入りですから(ウォイ)

 

番外編

ギリギリの4本に選べなったエピソード。これを含めた8本…とか思っていたらもう4本足して1クール12話分、とか紹介にも欲がでてしまうね。。。それだと絞る意味がなくなっちゃう笑

 

エピソード4「亡国のプリンス」

因縁のガルザがキラメイジャーの前に初登場。充瑠のリーダーとしての素質がきらめく。加えてキラメイレッドとのアクションは必見だ。

エピソード8「エクスプレス電光石火」

根性でどうにかする、ただ詰め込んでトレーニングすることへのカウンター回

7話との前後編だけどこれまたキラメイジャーらしいエピソードだ。

エピソード33「巨獣パニック大激突」

これまた32話との前後編。戦隊ものらしさと戦隊っぽくなさが言語化出来ない表現で入り交じる。巨大戦をしつつの等身戦が非常に迫力がある。

エピソード41「ありのままでいたい」

仕事のあり方が目的か成果かを問われる。キラリュウの映画監督邪面にも通づる組織論的な教訓を得られそうな話だ。ふざけた話なのに物語としてはラストへ向けた分岐点のひとつとなる。

 

 

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感想『青のフラッグ』桃真から見た太一と最終回の賛否の理由

青のフラッグ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

『青のフラッグ』KAITO 集英社(2017-2020) 全8巻

 

 

一言でいえば、「思い思われ、振り振られ」って表現になる(このタイトルが汎用性高すぎる)

思う相手と思われる相手がなかなか一致しないもどかしさによって胸がきゅっと苦しくなる一作。なにか書き起こしたいと思って筆を執ってみた(厳密にはキーボードを叩いた)が、思った以上にうまく言語化できない。苦戦を強いられるほど胸に来る作品だ。

  

まず挙げられるのは描写がきれいだということ。コマ割りというか間のとり方というか、表情の付け方というか、無言の登場人物の心がすっと入り込んでくる。登場人物みんないい人揃いだから、気持ちを推し測ると本当に苦しい。一見すると完璧で悩みなんかなさそうな人でも、内心はぐちゃぐちゃだし、表に出さないように苦しんでいることもある。ほんの軽はずみな一言が決定的に傷つけてしまう地雷な可能性もある。あぁ、生きていくって難しいよな……。そうジーンと噛み締めていくタイプの漫画だ。うまく言語化しづらい感情が多いのに、とにかく多くの人に読んでほしいし、このなんともいえない感情をみんなと共感・共有したい。

 

 

 

桃真の視点で物語を読み解く

青のフラッグの主人公は一ノ瀬太一だ。彼は世間で言う模範的一般人である。特別に秀でたものがないため、幼馴染で才能のある桃真と一緒にいることで自分に劣等感を感じ、次第に桃真との距離を置いていた。そしてそんな太一のヒロインは空勢二葉だ。彼女は太一と鏡写しの存在。彼女も太一同様自分に自信がないが、太一とは対象的になんでもできる桃真に憧れ近づこうとする。

 

桃真は、太一と二葉のふたりから見ると自分にないものを持っている憧れの対象である。桃真との向き合い方は太一と二葉は真逆だった。太一は自分を守るために距離をおいたのに対し、二葉は自分を変えるために近づいた。受動的な太一は二葉に巻き込まれる形で桃真と関わっていく。

青のフラッグは凡人・太一の物語であり、桃真は親友の超人として描かれる。

この物語は太一と二葉(とマミ)の心情描写はあれど、桃真と真澄については基本的に彼らが口にする以外の心情は表現されない。繊細で機敏な心の変化や大きな出来事に直面した際の決断の過程は表情と間だけで読み解く必要がある。この漫画、リズムを損なわない「間」の使い方が絶妙なのだ。

 

 

「好きになった理由を考えるのはいつだって好きになった後だ」

桃真の気持ちが知れ渡った第7巻48話、数少ない彼の回想が入る。太一の回想にもあった小学校のころからの記憶だ。桃真は、教室で迷路を書いていた太一に声をかけるところから思い出す。続いて次の記憶ではバトエンブームに乗れない太一の姿と、バトエンを自作していた太一の姿を見ている。桃真は自作バトエンを見つけるや「それ何スッゲェ!」目を輝かせて「会ってきた人の中でいっちゃんすげー人」と感動する。この感動が桃真の人生に大きな衝撃を与えたことは間違いない。

 

二人はやがて桃真の兄貴を含めた家族ぐるみの仲となる。が、両親を事故で亡くす。桃真の視点でみる兄貴の背中はとても小さくなっていた。少しでも役に立ちたい、そんな気持ちから兄貴に代わって洗濯機をまわす家事をするもうまくいかずに怒られてしまう。明希子さんが面倒をみてくれ、兄貴は六法全書を処分し弁護士の夢を諦めた。二人が結婚することで桃真は自分が邪魔になるんじゃないかと不安になって家を飛び出した。行き先は太一のところだった。その頃には桃真が不安を打ち明けられるのは家族でなく太一になっていた。

 

太一は連れ戻そうとやってきた兄貴をはねのけ、手を取って一緒に逃げてくれた。

桃真はこの出来事を「空っぽになりそうで怖くて仕方がなかった」「でも太一手を取っててくれたから(ふんばれた)」と病室で太一に語っている。加えて回想では「単純に嬉しくて、なぜか恥ずかしくて苦しくなって、手を離したくない」と一歩踏み込んだ気持ちを独白している。この気持ちは太一には伝えておらず、桃真の胸のうちの秘密だ。

好きになった後に、好きの理由を考える。太一はあの時から桃真の不安と孤独を救ったヒーローであった。

 

 

太一に隣にいてほしかった。隣で笑ってほしかった。

それなのに、ある頃から太一は隣で笑わなくなった。太一は完璧な桃真と一緒にいることが辛かった、太一が好きな女性がずっと桃真を見ていたことに傷ついてしまっていた。

だけども桃真は自分から離れていく太一に気付かないフリをして優しい太一を離さない。離れていく心と繋ぎ止めたいエゴ。太一が桃真には見せなくなった笑顔を見るたびに、桃真が苦しい気持ちになっていったのがよくわかる。桃真はみんなと一緒に太一と笑い合いたいわけじゃない。あの頃のようにふたりで笑い合いたかった。ただそれだけ。

ここに、完璧超人のいい人桃真のさり気ないエゴが垣間見える。頭のいい桃真は、太一に対する気持ちは誰にも言ってはいけないと悟っていたはずだ。だから気持ちは口にしないままに、自分のために太一の隣を死守していた。

 太一と桃真は互いに胸のうちは話さなくなった。進路のことも悩みのことも。不安を口にできる相手だったはずなのに、気づいたときには、何も話さずどんどんと溝は深まってしまっていた。

 

 

「自由に生きたい」

4巻22話。桃真は太一に「自由に生きたい」と語っている。好きなことを好きなだけ好きって言えて、誰からも否定されないで、誰もキズ付けず誰にもキズ付けられない。それが桃真の夢だ。いままで好意を持ってくれた数々の女子をフリ、どれだけキズつけてきたか、太一への思いを封印し、どれだけキズついてきたか。桃真はそんな世界からの開放を願っていた。

 

太一には好きなことをしろよ、と言われ、二葉にはどんな人間になりたいのか聞かれて桃真は困惑をする。他の誰かから見た桃真は理想のひとであっても、本人は自分の無力さを呪い自己否定を繰り返し、ただひたすらに自由を求めていた。自分でない他のだれかであれば自由だと信じ、自分が別の自分に変わることなんて考えたこともなかった。

 

8巻で二葉は桃真に「私の大好きな人達が笑ってて幸せでって願っている。」と吐露する。桃真は少し切ない表情をしつつも二葉の意見に同意をした。桃真は太一の幸せを願っている。その幸せには太一の隣にいるのは自分じゃないと認めてしまったのではないか。桃真は二葉は同じ気持ちなのに、好きな人が笑顔でいるためには身を引く覚悟をせざるを得なかった。

その後桃真は太一と二葉に告げないままひとり遠くに就職した。追いかけた太一は「自分が願う幸せには一緒に二葉がいて、親友として桃真がいる」と告白した。桃真は勘違いしていた。桃真の思う太一の幸せには自分はいなかった、でも太一の思う自分の幸せには桃真がいる。ふたりの幸せは違うものだった。

「オレ一人で考えても結局オレの考えなだけだったから、ちゃんと話そう」この太一の言葉に桃真はどれだけ救われただろうか。これまで桃真は決して自分のことを話してこなかった。話してもいいんだ、という心持ちはこれまでの重荷をグッと楽にしたことだろう。自分の気持ちを話す「自由」。桃真がずっと求めていたものを手にした瞬間だ。

 

 

「 オレの気持ちも知らないでさ」

8巻49話、桃真と二葉の会話から。桃真は太一の思惑に気づいていた。桃真と二葉がくっつくように仕向けられていることを気づいていて、二葉の気持ちにも気づいていた。桃真は自分のエゴで気づかないふりをしていた。気づいている自分と気づかないふりをする自分、そして気づいていない周りの人達。自分は気づいているのに、周りには気づいてもらえないことにストレスをためて苦しんでいた桃真。でも、周りの人は本当に気づいていなかったのか、それとも桃真と同様に気づかないふりをしているのか。

 

みんなそれぞれの悩みはある。僕らは相手の悩みを聞けば、それがツライ・きついことが「わかる」と気軽に共感する。だが作中ではマミが真澄に対して「(気持ち)わかる」と放ったのに対して「解るわけないでしょ」と反論した。

ここで、マミの「わかる」という語に対して真澄にはあえて「解る」という漢字を当てていることに気づいた。

調べてみると「解る」とは、「物事の意味・内容・価値などを理解できる」という意味を内包しているらしい。

真澄はさらに「一緒にしないで」「言えない人間の気持ちなんて解かんないでしょ」と畳み掛ける。マミは「わかろうとしてないのはアンタ(真澄)じゃん」「わからせる気もねぇくせに」と語り、最後には「気付きたかった」「わかりたい」という気持ちを打ち明けた。真澄は理解を求めた。しかし理解させる気がないことを言われてしまう。

 

桃真の兄も「てめぇからは何も話さねぇくせに解ってくださいってか?」「アレは何を考えている」と言っている。

僕らは、相手に話さなければ理解が出来ないのだ。相手が理解してくれるとは限らない。むしろ相手の理解を得られないかもしれない。それでもコミュニケーションを取り続けることが大切だ。人間は相手の気持ちを推し量れることが他の動物より優れているのだから。

誰かに語らないままだと、自分の気持ちは脳内で堂々巡りをする。そして自分の中で問題が大きくなり、問題そのものが大きくなりすぎてしまう。

自分の中で自分だけで完結させた答えは、それが最善だと思いこむ。しかし、誰かを頼り、思いを吐き出すだけでも新しい価値観が入り込み、より生きやすい、最善の道を選べるかもしれない。

真澄も桃真も自分の問題を肥大化しすぎた。自分の内側ばかり見ずに、視野を広げて周囲を眺めてみるといい。周りには「解りたい」と思っていたり、解ってくれる大人や友人もいる。理想論であるが、自分の中に閉じ込めておかずに互いに気持ちを伝えあって少しずつ歩み寄ることが大切なのだと、僕は思う。

 

 

結末と賛否

そんな甘酸っぱくて濃厚な高3を過ごした桃真ら。そして太一は二葉と別れた。

最終話の一人称視点はすっかり騙された。いま読み返してみても、二葉からの結婚式の案内を受け取る太一のカットで終わり、誰かの一人称視点で最終話が始まる。参列者として「一ノ瀬」と記名しているカットもある。読者としては太一視点だと思わざるを得ない。これは作者の狙い通りだったんだろう。

 

そして、最終話に太一と桃真が一緒になったエンドは波紋を呼んだ。ざっくりとその賛否を見てみた個人的なイメージでは、主に男性が否定的、女性は肯定的な意見をもっているようにみえる。

肯定的な意見ではハッピーエンド主義で、それまで報われそうもなかった桃真がついに結ばれたことを祝福している。どちらかいえば桃真の気持ちに寄り添う意見だ。

否定的な意見では過程重視な人が多く、ストレート男性であったはずの太一が桃真と交際・結婚する描写がまるっとカットされていることに納得がいかないようだ。つまりは太一の気持ちに寄り添えないことにモヤっとしたのだろう。おそらくであるが、読者が「青のラッグ」を誰に重きをおいて読んでいたのかが、この賛否の分かれ目だったのではないだろうか。

 

冒頭でも書いたとおり、「青のフラッグ」そのものは太一を主人公においた物語だ。だから普通であれば太一の動向や気持ちを追うような読み方になる。最終回直前、太一は桃真に対し「親友として」隣に桃真がいる未来を願っていた。それなのに、未来ではお揃いの指輪をして同じ部屋に帰る、親友とは違う関係性となった生活をしていた。この突然の描写に「親友としての桃真を願ったんじゃないんかい」と、ツッコミを入れたくもなる。高3の太一が一生懸命悩んだ答えを、無神経にコロッとひっくり返されたような、一番デリケートで描写が難しい葛藤の部分を作者が放棄してしまったかのような、それくらいにとってつけた風にふたりを結びつけたように見えてしまうのだ。これまで時間をかけて形成した太一の芯の部分がぶれてしまったその経緯が見えないままに、桃真の思いが通じたことは手放しでは喜べない、というのが僕の本音だ。

それまでの描写が丁寧だっただけに、その「唐突感」だけが残念でならない。

 

 

とはいえ、(言葉にしていない分多少ぼかされてはいるが、)どちらともとれる曖昧な関係で終わらせるのではなく、二人の関係にきちんと決着をつけた点は評価できる。

 

「青のフラッグ」が繊細で苦しい、胸に刺さる名作であることは間違いない。

 

 

ugatak514.hateblo.jp 

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感想『機界戦隊ゼンカイジャー』11話リアル鬼ごっこ回??追加戦士と番外戦士とは

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11話。まだワンクール目なの・・。仲間も揃ってライバル出現からの追加戦士と、こんなに怒涛の展開なのに1クール目なの???バグってない??

そして相変わらず発想が斜め上すぎてどうコメントしたらいいかわからん。

鬼が増えるタイプの鬼ごっこ、増え鬼とでもいうのかな。で地球侵略を企てるトジテンド。まぁ、たしかに鬼が増えていくから侵略度はどんどん加速していくけども、どうしてこうなった。。。

 

というか、オニゴッコトピアってのががあるんだよね。どんな世界なんだろうか。

少し思ったのは、トジルギアってのはその世界の一番象徴的な文化を曲解・凝縮して能力化している可能性はないだろうか。

例えばオニゴッコトピアはこの世界と同様の経済活動を行いながら、その世界のローカルルールみたいな感じで、特定の1時間だけ名字が「佐藤」さんを全員でつかまえるオニゴッコを行う社会。対象が佐藤なのか鈴木なのかはその時々で変わる。

トジルギアを使うとその独特なオニゴッコ文化だけを抜き出したワルドが生まれる、と。

あるいは仮面ライダーキカイ世界やジオウ×ゼロワン世界のような、2項対立で片側陣営が捕まらないように反撃のキカイを探りながら逃げ続けている世界とか?

まぁ、自分の知っている世界の範疇で未知の世界を語ろうとするから無茶苦茶なんだけど、実は想像が出来ないくらいの仕組みで成り立っている世界なのかもしれない。

 

 

追加戦士と番外戦士

ゴールドツイカーがゲキレンジャーハリケンジャーのセンタイギアを使用して能力を発揮した。ゴーカイジャー同様、やはり追加戦士分を補うこととなった。一番はじめのジュウオウジャーニンニンジャーのセンタイギアを使ったときから5人だけしか出ていなかったから、これは既定路線だろう。

レンジャーキーと違って物理的にその追加戦士のキーがあるわけではなく、ゲキレンジャーハリケンジャーのセンタイギアを使うため、公式にゼンカイジャー側とアイテムダブリしている。さすがバンダイやり方が汚い

 

しかし、フリントが持っていたセンタイギアに、カクレンジャーがあることを指摘している人がみられた。確認するとたしかにカクレンジャーのギアを手にしている。

ここで(僕もそうだが)戦隊オタク達がザワザワしてしまった。

ニンジャマンは追加戦士かどうか問題。

 

今回、ゴールドツイカーがセンタイギアを使ってシュリケンジャーの能力を使った時に、セッチャンが「あれはハリケンジャーの追加戦士の技」と発言している。

ゼンカイジャー世界において「追加戦士」という概念を観測していることが分かる。

そして、歴史ある戦隊シリーズでは同じくアニバーサリー作品であるゴーカイジャーにおいて「追加戦士」「番外戦士」という括りがあることが判明した。

追加戦士にはタイムファイヤーやシュリケンジャー、番外戦士には黒騎士やシグナルマンなどが当てられる。明確な定義が見つからないから混乱してしまうが、ざっくりいえば戦隊風のスーツは追加戦士で、ゴテゴテしているスーツは番外戦士なことが多い。

ただし、戦隊風のスーツでも終盤に仲間になると番外扱いされがち。だからその戦隊に詳しくないと加入時期がわからないため追加/番外の判別は困難を極める。でも、ゴテゴテしていれば番外戦士でほぼ間違いない。

仮にその理屈が正しければゴテゴテしているニンジャマンは番外戦士に該当する。というかグレーゾーンなキャラも多い中、ニンジャマンは少なくとも追加戦士ではないはずだ。

 

となると、「追加戦士」の技を使えるセンタイギア、カクレンジャーは不発に終わるのでは・・・?

ゼンカイジャーだし「そんなこまけぇことはいいんだよ!」と、ノリと勢いで流される可能性もあるけどもね。あるいはゴーカイジャーのときにわざわざスーツ新調しているし、番外戦士は召喚系みたいな謎ルールで出てくるかもしれん。

 

キョウリュウジャーって追加戦士はキョウリュウゴールドだけど、シアンやバイオレット、グレーにシルバーは番外戦士なんだろうか。出るのかな?これだけで1戦隊分の人数揃っちゃってるし、ゼンカイジャー側のセンタイギアと同じ演出になるか?

 

ugatak514.hateblo.jp

 

感想『機界戦隊ゼンカイジャー』第10話 不眠は泥酔。眠りたいのに眠れないの最凶な作戦

機界戦隊ゼンカイジャー主題歌 [全力全開! 盤]

 

このゼンカイジャー世界の住人、怪人の襲撃慣れしてない?世の中の変化を受け入れる柔軟性高すぎやしませんか?ある意味で従順無垢というか…

 

今回は「太陽は沈まない」作戦を決行したトジテンド。太陽を沈ませずにひたすらに昼・昼・昼。そして時計も操っているのかひたすらに12時。

従順なこの世界の人々は疑問に思いつつも「交代まだかなぁ〜」「まだ12時だぁ」と状況を受け入れる。

宇宙で過ごしていたゾックスが「地球は3日ぶりか」というので、3日間も時間が動くのをおとなしく待っていたことになる。

いや、すげぇわ。いくら時計が動かなくても、太陽は沈まなくても、お腹は減るし眠たくもなるよ。

 

戦隊やライダーの敵に時々現れる「不眠」による支配。個人的に印象に残っているのは仮面ライダーオーズの「睡眠欲求」を刺激するヤミーだ。街の人々を一時的に不眠にした後、一斉に心置きなく眠りへいざなう。これにより皆眠りから覚めなくなる、という展開だ。このとき街の人々の「眠りたいのに寝れない」苦痛が実に痛々しかった。

ショートスリーパーロングスリーパーレム睡眠とノンレム睡眠、眠りに関する研究は数あるが、睡眠が不足すると脳の働きは泥酔状態と同様レベルにまで機能が落ちるという発表も目にする。睡眠欲は人間の3大欲求とも言われるものであるが、きちんと眠らないと脳が正常に機能しないとなれば、やはり本能レベルで必要な処理であることは間違いない。

 

ゼンカイジャー世界ではひたすら昼間である間は一生懸命はたらき、太陽が沈んだら皆一斉に眠りにつく。狩猟採集民みたいな世界だな笑

いつでも仕事ができる複雑なネットワーク社会、夜でも明るい現代。太陽の動きで生活を変えようという東映からのメッセージなのかもしれない。(深読みしすぎ)

 

 

ところでゾックスの目的は弟ふたりをもとの身体に戻すことだと判明した。

人間体がある・・・だと??意外と展開が読めない。最後には弟たちの意思で身体を取り戻さないエンドもあり得る気がするけど・・。わからん。

SDトピアで気づいたら身体がこんなになっていた、というのも謎っぽい。黒幕がいるんじゃないかとも思うが、それこそ深読みかもしれない。やたらとTwitterで「SDガンダム」と書かれていたけど、ブルーンの「スーパーデフォルメの略」と言われてやっとSDを理解できた。なるほど、SDガンダムはスーパーデフォルメされてるガンダムだもんな。たしかにデフォルメ・・・いや人間の原型がないからデフォルメとは言わない気もするけど。そんなデフォルメされた弟を変身フォームに組み込んじゃうの若干のサイコみがるね。

 

たださ、「この姿で兄弟っておかしいだり」というノッキーの言葉に「いや、そういう世界もあるのかな」って返すカイトがナイスだった。まぁ、しゃべる宝石や恐竜とかいろんなの見てきたからね。戦隊慣れしすぎて視聴者共々すんなりと「そういう弟の設定なのかな」とか受け入れてしまっていた。逆に人間だったことに驚く始末。

結局我々も従順でなんでも受け入れてしまう側の人間だったということか・・・・。

 

 

賢い子は1歳までの眠りで決まる

賢い子は1歳までの眠りで決まる