先日、『小説 仮面ライダーゴースト〜未来への記憶〜』を読み終えた。
まずAmazonから届いたそれを手に取った感想が「え、分厚くない?」
他の小説仮面ライダーシリーズを読んでいただけに、その重量感に圧倒された。
仮面ライダーシリーズを一生懸命追っかけている僕ですが、正直なところ『仮面ライダーゴースト』はあまりハマらなかった。
なんというか設定が活かせていないのか、主人公のタケルが(放送枠の都合もあるけど)なかなか生き返らない。設定としてのリミットだけが迫っているのにストーリーもなかなか進まず、最終回も近いというのにいつまで英雄と心を通わせてるんだろ・・なんて当時は思ってた。デミアプロジェクトもよくわからず、怪人スーツの節約かなと思う同じ敵の無限ループ。
自分としては本当に退屈で、終わってみると満足度がとても低いものだった。
小説仮面ライダーシリーズもゴーストは気が進まず、なかなか手を出せずにズルズル先送りしてしまっていた。
Amazonで買い物するついでにふと思い立ってほしいものリストからカートに入れ、いざ読んでみようと思った矢先のその重量感。
一瞬心が折れかけるが、勇気を出してページをめくる。
ページを開くと意外な展開で一気に興味を惹き付ける。
ほうグレートアイ視点。あのモノリスの視点で描くのか。
冒頭から感心してしまう。
そして本編を見ていた人からしたら、読み進めていくたびに本編の説明不足だと感じた部分が「あれってそういうことなのか」と感動すら覚える怒涛の伏線回収の連続。
ぼんやりとしか理解できていなかったガンマ世界についての設定がスッと入ってくる。
ゴーストにあまり好意的な印象がなかった僕ですら読む手がとまらなく、あっという間に読了してしまった。
読了後は、あれこれが理解できた気持ちいい爽快感と謎の疲労感に襲われたのを覚えている。
本書は大きく三章で構成されている。ひとつはガンマ世界誕生の歴史、ひとつはテレビ本編の過去編、ひとつは本編の後日談。
何より特に一章のガンマ世界誕生の歴史がすごくおもしろかった。次々と伏線回収されていく気持ちよさもあるけれども、そもそもの人間ドラマがおもしろくて僕好みの展開だった。
成し遂げたい目標は同じなのに、やり方考え方が違うがゆえにすれ違っていく。
自信や妬み、野望に愛情、それぞれの思惑が交錯し悲劇へと突き進んでいく。
この流れが秀逸で歯車が少しずつ噛み合わなくなっていく様は読んでいて辛いものがある。
日本史や世界史といった歴史の授業を思い起こすと、人間同士の思想の違いが引き起こした大事件なんて山ほどある。ガンマ世界の歴史も同じような構造となっているため、一章を読み終えたときまるで「ガンマ世界の歴史」という講義をひとつ履修したかのような満足感を得ることができた。
それも単に本編の設定を羅列をしているわけではなく、この歴史背景があったからこそ本編で事件が起きた、といった形でテレビの設定を強く補強・裏付けしてくれている。
すべて読み終えたあと、思わず『劇場版 仮面ライダーゴースト 100の眼魂とゴースト運命の瞬間』(2016)と『ゴースト RE:BIRTH 仮面ライダースペクター』(2017)を連続で見てしまった。
小説で予習復習(?)していうから1度見た内容も新鮮な気持ちでみることができる。
小説のほうが後に発表されているのに、小説原作の実写スピンオフを見ているかのような不思議な感覚で楽しむことができた。