カラオケのアニソンランキングをみると、上位にある曲はほぼ変動していない。
例えば残酷な天使のテーゼ、例えばタッチ、そんな中にButter-Flyという曲がある。
今回のテーマでは説明不要。我らが選ばれし子どもだった時代のテーマソングである。
僕はこの曲とbrave hartが鉄板だ。
デジモンアドベンチャー。1999年3月から放送されていた、当時の日曜朝の顔だ。
ひょんなことからデジタルワールドに飛ばされてしまった子ども達の成長する冒険ストーリー。
当時もハマっていたが、僕の場合動画サイト創世記にデジモンに再開し改めて全話を見直したものだ。
カラオケも定期的に歌いたくなるし、セイバーズやクロスウォーズ、アプモンらも軽くチェックをしている。(tri6部作は劇場と時間に恵まれず断念・・)
考えてみればデジモンとの付き合いは長い。
そんなデジモンも今年2020年に成人式を迎え、20周年になった。
triに引き続き、その成長した太一の最後の物語が本作。
率直に言って、僕はこの映画が好きだ。
僕としてはこんな簡単な言葉で片付けるのは少し違うのだが、いわゆる「エモい」
スタッフの気合が感じとれる。
概要
大学の卒業が迫った太一やヤマトはその先の進路に迷いがあった。そんな中選ばれし子ども達を狙ったデジモン絡みの事件が発生する。解決に奔走してる最中、大人に近づいてきた太一とヤマトはデジモンとの別れが迫っていることを知る。無理な戦闘は別れを早めるのだが、太一たちは戦うことを決意をする。
選ばれし「子ども」ということに焦点を当てた本作。
当時視聴者だった子ども達は、すでに何かしらの決意を固め、ひとつの結論を出し、大人としていまを生活している。
小学生だった太一たちも02では中学生になり、triを経て大学生、大人となっていく。
世界を守る使命や責任感、自分の生活への迷いや恋心、それぞれにさまざまなドラマがある。複数いたメインのキャラクターも最終的には主人公である太一にエピソードが集約され、今でも太一と交友が多いヤマトや光子郎、妹のヒカリと友達のタケルが目立つ。
僕個人としては、ここがすごくリアルなんですよ。
小学校のときの友達が大学生のときまであの頃のまま仲良くつるんでいるってことがない。それぞれの生活や価値観から、少しずつ少しずつ道が分かれていくもんなんだよね。
小学生のときの大冒険を共にした仲間でさえ、距離が空いてしまう。それは嫌いになったとかそういうわけじゃなく、なんとなく疎遠になる、他に優先すべきことができる。
そもそもグループでいるときっては普通なのに、何故か二人になると気まずいみたいな関係の人いません?この場合気まずいとかは違うんだけど、デジモンアドベンチャーの時間が進むたびに、人間関係の濃淡が色濃く出ているなぁと、密かに感じていた。
小学生のときからの親友の太一とヤマト。もやっとして話を聞いてもらう仲は健在。
ビールを飲みながらの会話なのが月日の流れを感じる。
成長する大人になるっていうのはどういうことなのか。そんな何気ない生活を切り取ることで小学生からの成長を感じ取れる。ともに月日を歩んできた視聴者からしても小学生だった太一らがお酒飲めるようになったのか。と親戚の子の成長を見守るくらいの勢いで感動する。
ここからはネタバレ込で思いを書き綴りたいと思う。
スタッフさん、本当に初代デジモン大好きだなってのが伝わった。
まず、耳から感動させる手法。まず開幕ボレロでスタートダッシュを切る。
そして突如現れたパロットモンに太一とヒカリ・タケルが応戦する。パロットモンとグレイモンのチョイスにW天使の戦闘、さらにダメ押しのButter-Flyとbrave hartが流れればそりゃあテンションも上がりますよ!
この2曲に関して、パブロフの犬なんですよ我々は。もう条件反射といっても過言ではない。幼い頃にきちんと体に教え込まれてる。
さらに物語が進むと「エオスモン」という敵を追い込んでいくシーン。
向かい打つはアグモン・ガブモン・パタモン・テントモン。このシーン、完全にウォーゲームのオマージュですよね???ケラモンがインフェルモンに進化するあの流れですよね。もう「お前らこれ好きだろ?」とここぞとばかりにぶち込んでくる。
開始早々、感動でお腹いっぱいですよ。
さらにtri.では出番がなかった(らしい)大輔ら02組も登場。バランスの取れた仲の良さが微笑ましい。
というかデジタルゲートつかって飛行機代浮かせたってのはどうなんだろ・・?笑
出番は少ないながらも終盤に戦闘もしてくれた。欲を言えばパイルドラモンくらいにはなってほしかったのがちょっと残念
今回のテーマの「成長」
太一とヤマトもお互いそれぞれ「変わっていく」ことに寂しさを感じつつも受け入れている。そしてあの頃から全く「変わらない」デジモンたちには安心感がある。
「お前大学に連れてってやれよ笑」「俺にも生活があるんだよ」というやり取りは少々生々しい。
安心感があるんだけど、その無邪気さに少しだけ邪険に扱いたくなる。そんなところだろうか。
一人暮らししている太一の部屋にアグモンを入れたことがない。そんな実情も浮かび上がった。
小学生のころから「変わらない」アグモンなんかは今の太一からすれば小学生同然。ベッドの下のグラビアを無邪気に「これなに?」と尋ねられれば慌てて隠すのも無理はない。(そもそもそういうのを発見されれば慌てるのも普通だけどもw)
ポイントはここで思わず「これは大人の」と口走ってハッとするところだ。
この小さな距離感が後半の「子どもじゃなくなるからパートナー解消」にジワジワと効いてくる。
どんなに成長していてもデジモンたちは太一たちの本質の部分はきちんと理解している。ガブモンの「変わっていくヤマトたちを見るのが好きだった」なんかは成長に対するアンサーとして最高だ。
そして太一とヤマトは突きつけられる。
現実でパートナーと別れるか夢の国であの頃のままずっとパートナーといるか。
損得勘定もできる大人には辛い現実だ。だけどあの頃から何も「変わっていない」アグモンとガブモンは戦うことを促す。一度はくじけるが太一たちも覚悟を決めて最後の戦いをする
最後にして新しい進化をし、エオスモンをやっつけてめでたし。
そして、パートナーと分かれ、それでも前に進んで未来に向かって生きる。
この別れのシーンがいいんだよね。アグモンのかき氷の好みを理解してたり、ガブモンが好きだったハーモニカを吹いたり。太一らはアグモンと「明日」なにを提案しようとしていたんだろうか。消える瞬間、消えたことを理解した瞬間、ひとつひとつがたまらない。
正直なとこ、アグモンたちは消えないと思ってた。消える詐欺系の演出ですぐに再会できるもんだと思ってた。だって、02の最終回で太一とアグモンがデジタルワールドをつなぐ外交官になってるって言ってたじゃん・・。
アグモンたち、最終決戦で新しい進化したじゃんか。あれって太一たちの新しい可能性の芽生えだと思ったんだよね。まだまだ無限の未来を選択できるぞって表れと思ってただけに、最後に再会を想起させるカットが入るのかと信じたのに。
・・・・まぁある意味、きちんと覚悟したんだからキッチリ別れるさせてやるのも正しいのかな。
・・・きれいに風呂敷を畳んだところで4月から日曜9時からリブート版が開始なんだよな。何だこれ無限ループなのか?また20年後に新作出るのか?出ちゃうのか?笑
仮面ライダーと時間かぶってるのは痛い。どうしようかなぁ・・
映画は全体的にエモさ溢れ、ファンサービスに溢れ、しっかり風呂敷を畳んだ。
終わったあとの喪失感がすごい。
きっとこうして喪失感を溜め込みながら大人になっていくんだよね。。。
仕事頑張ろ。。