『未来戦隊タイムレンジャー』(2000~2001)
大昔、いわゆる20年ほど前に見たハズのスーパー戦隊。レッドがふたりという衝撃ばかりが記憶に残り大方のストーリーは忘却の彼方へ飛んでいってしまった。
ゴーカイジャーを通じて僕の記憶と再会して初めてドモン関連のストーリーを知り、タイムファイヤーの顛末をおぼろげに思い出した。
ゴーカイジャー以来、特撮知識が蓄積されていくたびにずっと見返したいと思っていた。
そして!ついに!この度!タイムレンジャー本編との再会を果たしたのです!!!
20年以上前の特撮の感想だし、ネタバレとかそういうのないよね!笑
年末から最終回までの怒涛の展開。なんだこれ・・・・
え、つらい。つらいよ。
圧倒的な絶望感
メインのストーリーラインはすでに知っている。
大方の流れは把握していた。
なのにこうも見入るものなのか。
なぜなのか。何がこんなにタイムレンジャーの完成度を高めたのだろうか。
狡猾で義理堅いドルネロ
まずはドルネロらロンダーズファミリー関連。
見返して思ったのが、こいつらうまく生きてるなーという感想
特にドルネロの資金繰りセンスの高さ。ありとあらゆる手段を尽くすとはいえ、きちんと会社を経営し大きくしてきた。金勘定を自分でやるというスタンスはおもしろいし、物事を合理的に判断する能力も高い。世界征服や破壊を求めず、あくまで「金儲け」になるかどうかだけに焦点を絞っているから目的の達成率は相当高い。「ゴーバスターズ」のエンターの上司であれば最高なんじゃないかな。まさに最凶タッグだ。
それとも愛人枠リラ&エスケイプにいいように遣われて胃をやられるか・・・?笑
まぁ、特撮敵組織って世界征服を狙う輩が多いからどうしても失敗率が高く出ちゃうんだよね。
合理的でありながら義理堅いドルネロはリラとギエンを大切に思ってるし、感情に流されながら甘やかす。今のファミリーと昔なじみ、どっちが自分にとって大切かを天秤にかける話は、一見合理的で容赦ないように思わせて実は感情的な判断だったというのはおもしろい。
そして、それがドルネロの最期という形で締めくくられてしまうのだ。
それほど多くは語られないロンダーズファミリー関連の話。ギエンの最期以外はタイムレンジャーの本筋には絡まないが、その分他の敵組織ではできない独自路線を謳歌した天晴な幕引きだった。
滝沢直人という男
「タイムレンジャー」という物語には欠かせないのは6人目の戦士タイムファイヤー・滝沢直人の存在だ。
タイムレッドの竜也の大学の同級生でクールで野心家な仕事人。改めて観ると「あぁ、靖子さんが好きそうなキャラクターだなぁ」としみじみする。彼女は強い意志・信念を持った男には逆境の試練を与える。紛れもなく彼女の寵愛を一心に受けたキャラクターである。
恵まれた環境の竜也への対応はともかく、他のタイムレンジャーには案外フラットに接する。多くは語らないが相手の気持ちを汲み取ってそっと手を貸す優しい心の持ち主だ。力を追い求めていながらも市民の安全を守る姿はシティガーディアンズは天職なんじゃないかなとも思える。
鳥かごから逃げだした文鳥を捕まえようとしたところでゼニットに撃たれて死亡した。
鳥かごから飛び出して自由になった文鳥。自由に飛び回っていたと思ったら運命という鳥かごの中だった直人。力をつけて鳥かごから飛び出したと思ったら、そこは一回り大きい鳥かごだったわけだ。その最期はあまりにも虚しくて衝撃的だ。
絶望の最終戦
クライマックスの絶望感と未来人の扱い。ぼんやりとした記憶では彼女らが最終回でどうしたかは全く覚えていなかった。
こういうのって未来に帰らないパターンだってありえるからだ。あるいは最後にラスボスを倒した後に未来に帰る結末だってあった。
しかしだ。最終戦の数話前に竜也によって未来へ強制送還されてしまうことは全く想定していなかった。
さらにギエン操る巨大ロボが暴れまわっているのにタイムロボは出動許可が下りない、雑魚兵であるゼニットが街に大量発生して市民を襲い破壊を尽くしている。
タイムファイヤーには「死の宣告」が告げられVレックスの使用は大消滅を促進する。シティガーディアンズの立場も追われVコマンダーも取り上げられそうになる。
おいおいおい。これをどうやってハッピーエンドに持っていくつもりなんだ。絶望をてんこ盛りしすぎたがんじがらめな運命とハードな演出が悲壮感を際立たせる。
全編を観るとタイムレンジャーって縦糸に絡むようなエピソードは少ない。苦戦することはあれど全体的にはコミカルで楽しい話が多い。だからこそ絶望との落差が大きい。
なんでこの最終戦が子供心に残ってなかったんだろうか。怖いとか強い敵という印象がもっと刻み込まれてもおかしくないくらいに、あまりにも絶望がすぎる。
黒幕を知っていたからリュウヤ隊長の思惑には衝撃はなかったなぁ。むしろネタバラシは思ったよりもあっさりしていたなと感じるほどだ。
変えられなかった運命と変えることのできた運命、変わってしまった運命。
過去と未来という難しい題材をこうもロジカルに扱えるのは率直にしびれた。
また僕の「好き」が偏ってしまった笑
ところで作中の「20世紀最後」というワードが個人的にすごくつき刺さった。
当時の社会の流れなんてまるっきり覚えていないが、やはりこのときも令和になる直前の「平成最後」の大安売りのように「20世紀最後」が世間を賑わせたのだろうか。。。
そして僕は20世紀最後の瞬間に立ち会ったという事実があることに気づいてしまった。
マジか・・・。昭和平成令和はよく目にするけど20世紀という文字は長らく見ていないからすっかり忘れてた・・・。時の流れは怖いし残酷だ。笑