『僕の名前で君を呼んで』『Call me your name』
真剣に映像購入しようか考えているほど好きな映画。
劇中音楽の良さ、映像美、あまりに繊細で消え入りそうなティモシー・シャラメ
ゴタゴタしていないムズキュンな感じ、なにから語ればいいのか。
ストーリーはこうだ。
イタリア北部の別荘で主人公エリオは毎年夏を過ごしている。考古学教授の父のもとにはひと夏の間学生がアシスタントに訪れる。この年アシスタントとしてやってきたのはアメリカの学生オリバーだった。ともに過ごす生活でふたりの気持ちは大きくなり、思いはやがて融けてひとつになる。
見てない人にも見てほしいけど、見た人と感想を共有したい〜。
Twitterよりまとまった気持ちをかけるけど、ネタバレ部分どうしようかなといつも思う。
ミステリー系じゃないからいいよね。たぶんこの記事読んでくれた人はこの映画を観た上で読んでるよね(?)。まぁ、映像とか音楽がいいから未見の人もストーリー理解したうえでも楽しめるよ。きっと!笑
まず全体的な空気感がたまらなくいい。
自然の中で過ごすアカデミックな富裕層の生活。読書をしたり音楽を聴いたり弾いたり水浴びしたりバレーボールをしたり。緩やかに流れる時間を楽しみ夏の終わりを待つのが毎年の生活。家族親族の仲もよく、お手伝いさんもいる。成金主義じゃないのが見ていて気持ちがいい。教養もあり本当の「裕福」な生活をしている。
一人息子のエリオも高校生だけども、控えめながら頭もよく音楽をたしなみ友達にも恵まれ反抗期こそあれどグレることない、将来有望なよく育っている。
知性的で落ち着いた雰囲気がゆったりした世界観とよくマッチしている。(そういう環境で育ったから落ち着いているとも言える)
そんな世界にこの夏投入された学生オリバーは知的でありながらも自信家で明るく快活。あっという間に馴染みの店をつくり、居場所を確保するコミュニュケーション強者だ。
そんな自信家なオリバーに馴染める気がしなかったエリオも少しずつ心を開いていく。
日本のゴタゴタした恋愛系映画でも目にする「ファーストインプレッションは最悪」なパターンだ。
厳密にはわかりやすい「嫌いになるようなイベント」があったわけではない。控えめなエリオは多分距離を詰めていくのに少し時間を要するタイプだ。オリバーは一気に距離を縮めるタイプであるから序盤で仲良くしようと思ったとしても「心の中に土足で踏み込んでくる」者として突き放される。
結果として溝が生まれてしまった。しかし、エリオは時間経過でオリバーへの警戒心が薄れ惹かれていった。
そこからのエリオはひたすらにかわいい。
たぶん初恋だ。
目で追い、友達(?)として接しつつ意地悪な態度を取り気を引く。自分を見てほしくて他の女性と仲良くしてみたりだけど寂しくて寂しくて話をするために何度も手紙を書き直す。ほんとにピュアでかわいいんだ。
オリバーは序盤のアプローチの失敗から一定距離を保とうとしていた。けれども時間差でエリオが甘える気まぐれネコみたいに寄ってくる。エリオの気持ちにどこかのタイミングで気づいているんだよね。
ひとつ印象的なのが「王女に恋した騎士」についての文学を読み聞かせてもらう場面と、その後だ。
仕える身分の騎士はその思いを口にすることはなかったそうだ。エリオは「そんなの耐えられない」と口にする。一方その結末をオリバーに話すと「賢明だ」という。
クローゼットで過ごしてきたと思われるオリバーは気持ちを口にすることに対して慎重だ。
しかし、この会話をした直後にエリオは告白をする。この告白の仕方、ちょっとズルいのが「君と同じことを思っている」と少し曖昧にオリバーに察してもらう方式で話した。めちゃくちゃ照れて勇気を振り絞った告白だったから好きなシーンではあるけど、エリオこれはずるいよ笑
その後はエリオの感情ダム決壊ですよ。感情だだ漏れでオリバーを求め一喜一憂。話をするために「夜に会おう」と約束をする。その日は1日中時間を気にしっぱなしのエリオ可愛すぎるでしょw そして一度は突き放したオリバーも覚悟を決めてその夜にエリオに応える。
もうここからは両想いいちゃいちゃタイム。このシーン以前もいちゃいちゃ仲いいシーンいっぱいあるんだけど、告白以降はもう幸せオーラ満載、迫る別れへのエリオの情緒不安定さとかもうただただ愛おしい。
罪悪感で汚れてしまった桃を見せつけられるシーンとか考えた原作者天才だと思うよ。
細かいけど「何をしていた」と尋ねるオリバー、エリオの身体が桃フレーバーだった違和感からの言葉だったんだね。はじめ見たときは「今日は何をして(過ごして)た?」っていう日常雑談をしているのかと思ったよ。
いやはや脱帽しました。
ティモシーは『Beautiful boy』『Hot Summer Night』なんかもそうだけど不安定で危うくて儚い青少年がほんとに似合う。
この映画も大衆映画じゃないから見たことある人すくないけど、ホントに素晴らしいと思う。鑑賞会して小一時間語りたい。