ゆうがたヒーロー

日曜の朝でなくても誰だってヒーローに憧れてる

ゼロワン&キラメイジャー 闇落ちはいいぞ。もっと葛藤をみせてほしい

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仮面ライダーゼロワン42話「ソコに悪意がある限り」

魔進戦隊キラメイジャー18話「闇落ち」

 

スーパーヒーロータイム1時間みっちり闇落ち回でした。

どうやらウルトラマンも闇落ちの週だったらしく、日本を代表する3大特撮ヒーローが闇落ちしたとかなんとか。

ウルトラマンはノーマークなので、正直なんともいえませんが・・・。

 

キラメイジャーについては毎週なにかしら感想を書いているので今回はあまり言及しません。宝路の闇落ちは既定路線で先週の時点で予告バレもしてるし視聴者も心の準備をしていたのではないでしょうか。せいぜい、どれくらいの期間落ちつづけるのか、前後編なのか夏休みいっぱいくらいか、というそんな感じでしょう。多分。

 

問題は仮面ライダーゼンロワンですよ!

先週の予告段階でイズが退場・・少なくとも一時退場くらいはすることがわかっていたけど、或人の闇落ちまで予想していたのはぱっと見る限りいなかったのではいでしょうか。どうやらアークワンの変身者もバレされていなかったとか。

仮面ライダージオウのときの白倉プロデューサーのサプライズ演出のような衝撃と盛り上がり。

新ヒーローの名前さえ商標登録でバレてしまう、新しい装備やメカ、敵幹部も児童紙で先取りからのネット拡散されてしまう時代。サプライズを実行するのは各方面に気を遣い細心の注意を払う、めちゃくちゃ大変ですよ。

でも、だからこそそれがハマったときの破壊力は凄まじい。視聴者の誰一人として心の準備をしていないのだから。予期せずに頭をぶん殴られるかのような衝撃。衝撃を受けたあとはSNSでの「君も殴られたよね?」という事実確認「痛かった」という共感、「これからどうする」という方向性予測と、相乗効果で話題が話題を呼ぶ。

スポンサーであるバンダイ様の顔色もあり、クウガ終盤のような自由な展開は難しいのかもしれない。そういう世の中だからこそサプライズに歓喜した。

 

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さて、ゼロワンの闇落ちの話に戻ろう。

率直位に言えば僕は「闇落ち」「ビターエンド」「バッドエンド」の類が好きだ。

絶望的な状況を無理やり辻褄を合わせてハッピーエンドにするくらいなら、それまで積み重ねてきた順路通り胸くそ悪いエンディングで締めくくられるのもひとつの手だからだ。

なんだかんだ無理やり風呂敷を畳んだハッピーエンドも嫌いじゃないけども。逆に、不意に突然のバッドエンドは僕の中ではないかなぁ 笑

あくまで積み上げてきた路線による帰結がバッドエンドであればそれを受け入れる、みたいな?

 

 

ところで闇落ちという言葉を調べてみると、ニコニコ大百科では「味方や善人がダークサイドに落ちること」と記載されている。

特に「調教や洗脳と違い自然と悪に堕落してしまう」ことが多いという。

 

今回の或人はイズの破壊により心神喪失となっているところに現れたアズによりアークワンへの変身を果たした。それまでの或人であれば「お前なんかの誘いには乗らない」と言い放ち相手にもしなかっただろう。しかし、アズはイズを失った直後の或人の心に入り込んだ。調教や洗脳ではなく、自然にダークサイド入りを果たしたのだ。

細かい部分の雑さはあるものの、この闇落ちまでの一連の流れは美しいとさえ感じた。

 

 

ぼくは闇落ちの魅力とは「己の中の葛藤」だと思っている。

誰しも自分の中には譲れないものがある、その信念やプライドを守るため、または何か大切な人を守るため。ダークサイド側につかなければならない場面が訪れる。

今まで「善」と信じてまっとうに積み上げてきた信頼を捨ててでも闇に落ちる選択をする。そのときの葛藤が闇落ちの魅力なのだ。この分岐点に出会ってしまったらそれだけで地獄。どちらを進んでも絶望しかない、いばら道であることが多い。

 

例えばアンナチュラルを例に上げると、連続殺人の凶悪犯を捕まえるために「事実をあえて記載しない」鑑定書を出すかどうかの葛藤する場面がある。

主人公の職務上、また法医学者としての誇りとしても、わかる事実は「すべて記載すべき」という気持ちがある。その一方で組織を守るため、明白な悪を打ち破るために「一文を削除する」という選択肢も一概に悪とは言い難い側面もある。こういう正解のない気持ちの葛藤はどちらを選んでも酷なものだ。偽装するのでなく、文の削除っていうのが天秤にかけるのに絶妙なバランス感がたまらない。この闇落ちは自己犠牲の精神を内包し、自分の気持ちさえ殺して「一文の削除」をしてしまえば丸く収まる。

だが一度でも罪を犯して文言の削除に手を染めてしまったらそれまでの自分の積み重ねてきた法医学者の誇りはなくなってしまう。

 

小林靖子氏の創るキャラクターは特に強い信念を持っていることが多い。

そして彼女はその信念を試すような状況を生み出すプロだ。

例えば「仮面ライダーアマゾンズ」における鷹山仁だ。彼はアマゾンを生み出した責任として自分はもちろん、息子であろうと恋人であろうと、アマゾンであれば全員殺す信念を持っている。一貫した信念があればあるほど彼を襲う現実はえげつないものとなる。彼は大切な人の屍でその信念を積み上げた。彼はすでに闇落ちしているといっても過言ではない。自分の信念を貫くため周りからなんと言われようと殺し尽くすし、もう後戻りもできない。

 

 

ゼロワン作品における或人は全体的にフワフワしているけれども基本的に「善意信仰」「ヒューマギア愛」の人物だ。

悪意に対しても話せばわかる、といった態度が多く、ヒューマギアテロリスト集団にも非情になれない。・・・非情になる気もなさそう

フワフワしすぎて僕は或人というキャラ造形自体はあまり好きではない。(演じてる高橋郁哉くんは好きだけど。)でもダジャレを言って「アルトじゃないと〜」と場を盛り上げるところと、イズとの夫婦漫才のような掛け合いは大好きだ。

「イズ」という存在が或人の心の支えているからこそ「ヒューマギア愛」という信念を積み重ねられてきた。その心の支えを壊されたとき、それまでの積み重ねなんてどうでもよくなってしまった。イズの喪失をトリガーに闇落ちして自分の信念を見失ってしまうのが切ないし、落差が大きい。

 

大切な者を失ったために悪に手を染める展開自体は物珍しくもない。

だけども長い日常パートと闇落ちとの無縁かのような明るさが恐ろしく効いてきている。或人には思う存分泣いてほしい。思う存分怒ってほしい。思う存分破壊に勤しんでほしい。思う存分にアズに救いを求めてすがってほしい。

闇落ち中のグチャグチャして言葉にならない葛藤をもっと描写してほしい。高橋くんの眼の演技がすごく好きだから。

そして誰もが傷つき痛みを伴いつつも最後には或人を迎え入れてもらいたい。

そうすることで、或人という人物がこれからも強く真っ直ぐに生きていられるように。

 

 

残り話数も少ないからこの闇落ちをどうさばくのか、制作陣の腕の見せ所だ。

例年なら公開されているはずの映画もまだ残っている。

イズ・・復活してほしいけどイズのいない世界を受け入れて歩む

或人も見たいな、でも番組的には最後に復活するのかな。どうなるんだろ。

いろいろあったけど、ゼロワンのラストランは楽しみだし期待している。

 

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