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感想『ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance』タイBLの世界レベルのラブコメだった。

ラブ・バイ・チャンス / Love By Chance  DVD-BOX

なんか気づいたら結構長文を書きなぐっていた・・。なんだこの熱量・・笑 

ラブ・バイ・チャンス、Love By Chance、LBC。ぜひ見てほしい1作

 

もともと海外ドラマや海外映画はあまり見ない。

でもなんとなく目に止まったのがこれだった。

人生で初めて見るタイドラマ。そもそもドラマの制作がタイって認知もなかったし、タイって何語喋ってるんだろ、なんて思ってたくらい(タイ語

 

試しに流してみると、なんだこれすげぇおもしろい!

自転車に乗った主人公エーがピートとぶつかる出会いで物語がスタートする。

 

初っ端からラブコメの波動が・・・!

 

やっぱりこういう自転車衝突事故みたいな出会いは王道だよね。

 

でも日本のドラマの作りとなんとなく違うのは出会いこそ王道なんだけども、1話にも関わらず登場人物それぞれ今までの積み重ねてきた人生やコミュニティがあるっていう当たり前を下地にストーリーが展開されてるなって思う。日本のドラマだと大学1年生設定なんだからそれぞれの登場人物同士の出会いを描きたくなっちゃう。

分かりやすいのはキャンやノー先輩初登場の部活のシーン。ドラマとして顔見せをするなら新入生を初招集ってしても違和感自体はないのにね。そうしないことでそれまでの関係性の積み重ねを感じることができる。

 

さてドラマの中盤まではエーとピートの思いが通じていくまでの過程を丁寧に描く。「お前らもう両想いだろ」とじれったい感じを楽しむ構図。そのじれったさが解消されて後半は爆発的に完全にバカップルになるのが面白い。周りも「あーハイハイ」ってな感じでニタニタと微笑ましく見てる優しい世界。

エーとピートの物語が一段落つく中盤から終盤にかけては実質的に主人公が交代する。

序盤から種まきしていたティンとキャンの物語に芽が出てくるのだ。1話からひたすらにかわいいキャンが戸惑いつつも、実はキャンが金持ちティンを振り回していく様が楽しい。

「も〜」ってジタバタしたりノー先輩にたかったり、イケメンでかわいいから許されるんだぞと言ってやりたい。その素直さ・素朴さがティンに刺さったんだろう。意味不明な口を塞ぐためのキス以降、ふたりの関係は急速に近づいていった。

愛を知らないティンにとって、キスが愛情の象徴なのかもしれない。最初のキスからいつも求めるのはティンのほうだった。精神的に未熟なキャンからのキスは投げキッスのような間接キスだった。

なのに、それなのに。ホームシアターにつられてお菓子で買収されたキス。ここで「もう一回」のおかわりするキャンがたまらなく愛おしい。

 

後半は安定バカップルエー&ピートよりも割かれる尺も多く、ティン&キャンをもっと見せてくれ!って感想になる。エー達に切り替わると(分かったから。お前らはもういいんだよ・・・)なんて思っちゃうけど、見てると不思議と互いにデレデレしてる安定っぷりにホッとしたりもする。

 

 

いや〜、しかしだね。エーとピートの話に戻るけど、車の中で後部座席の荷物を取ろうとしてうっかりキスしちゃうのは笑った。いやいやいや!そうはならんやろって。

で、その後のエーの言葉よ。初恋なのはわかるんだけど、「毎日会いたい」「キスしたい」「友達以上に思っている」とまでいうのに、その先自分の気持ちをはっきり言わない。挙げ句に「俺のことが好きだろ」とピートに問うのはずるいよ。

まぁ、その後恐る恐るもう一度キスをする演技がよかったからいいけど。

全体を通して決定的で大事なことは自分から動かないで相手からのアクションを促す性格なのがちょっとなぁって思った。

あとエーって不器用で優しいけど割と俺様系なんだよね。(翻訳の問題か?)

ピートが誰かと話してると飛んでくるし、他の男の話をするとすぐにヤキモチをやく。

はじめてを踏み出す勇気はないくせに、一線を越えたあとは盛りのついた猿みたいにところ構わずいちゃつく。わかりやすいけど、熱しやすくあまりに真っ直ぐで恋人としてはちょっと怖いタイプに感じちゃうのは僕だけでしょうか。。

 

ピートは本当に育ちのいいお坊っちゃまな雰囲気がいいよね。ものを知らずに控えめでなぜか自信がなくて自己肯定感が低いけど、多くの人に愛されて優しく育ってきた感じがとても伝わってくる。その危うさをみて「守りたい」って気持ちが生じるのも理解ができるし、うまく金づるにしてやろうと付け入るやつがいるものわかる。そう思うと、案外エー&ピートってバランスがいいんだな。下手したら共依存関係に発展しそうなくらいには上手にお互いを補完しあっているね。

あと1話からひとりシリアス世界からやってきてる。出会いの時点から絶体絶命なピンチだし容赦なく母へのアウティングされるし、ハードモード。そんな悪意当てられちゃうとエーの真っ直ぐな善意に惚れちゃうわ。

あの上品でまっすぐな透明感を醸し出せる役者さんすごい。

 

おバカなキャンはただただ可愛い。

語彙力・理解力が足りなくて自由奔放で支離滅裂なことを言っているけど、あの態度は先輩に可愛がられるタイプで羨ましい。頭の中を整理するってのじゃなくて、言いたいことをバーって言っちゃう感じ。すごく早口で表情もコロコロ変わって見ていて面白い。映画館を出たところでエーとピートに出くわした時に道を間違えて「あ、こっちじゃなかった。バイバーイ」って笑顔で立ち去るのめっちゃ好き。。。常に前向きで明るくニコニコしてるのが似合うし癒やされる。主要キャラのうち闇がなく安心できるキャラ個人的第1位(ちなみに2位はノー先輩、3位はポンド)。

 

ティンは正直ちょっとわからんかった。エーとの壁役として配置されつつ、キャンの因縁を丁寧に育て上げた。気づいたらエーの壁を自ら放棄しちゃった感じ。素直で仲間思いなキャンに惹かれる過程が若干弱い気もする。でも心に闇を抱えた俺様系イケメン御曹司ってのはみんな好きでしょ?笑

だからこそラストの展開がすごくよかったし、Season2のメインに抜擢されるのも納得。

 

 

世界共通のラブコメフォーマット

自転車事故からの出会いから始まり、壁ドン顎クイ、嫉妬にライバル

日本じゃ使い古されているくらいにオーソドックスな胸キュン展開に自然と共感する。

世界をあまり知らない僕はこうしたフォーマットが日本独自のお決まりではないことを知った。ロッカールームに連れ込んでからの壁ドンの破壊力はすごい。胸キュンさせるなら壁ドン、これ世界共通ね。メモメモ

 

片思いや幼馴染の女性の存在が男同士の恋路の障害になるのは鉄板。片方がノンケ(バイ)であり恋愛の選択肢としてありえるのが難しいところ。勝手に身を引いてすれ違うのも恋愛ドラマあるあるで(あ〜もっとちゃんとコミュニュケーションとろうよ〜)とヤキモキさせる作りがたまらない。

加えてあまりに唐突だった車内で事故的に発生する不意なキスや嫌がらせのつもりだった口封じのキス。(お、くるか・・)と視聴者に期待をもたせてお預けしたり、とにかくこっちの感情を揺さぶってくる。

ティンキャン組の「感じ悪いアイツ」の共通認識から異常に相手のことが気になっていく丁寧な作りもいいし、義兄弟LOVEの禁断愛と腹黒年下×天然先輩まで1作で幅広い愛模様を描いている。本筋じゃないからどうしても尺が足りなくなって物足りなさがあるけれども海外でも恋愛ドラマの作り方っておおよそ同じなんだね。

キャンとノー先輩が食事しているのをティンとケンクラが目撃して突撃してくる場面とか見たかった。

とにかくラブコメ全部盛りすぎて中毒性が高い。 

 

ところでキャンの妹なんですけど、「腐女子」って概念はタイにもあるんだね。BLってジャンルが存在している以上、世界中にあるのかな。「親に言わないで」とかティン&ピートの美形妄想するあたりとか考え方がまるっきり日本のソレと同じでびっくりした。あー、そうそう。妹も妄想を尻目に「ティンが好きなのは俺なんだけど」って思うキャンがかわいかった。

 

 

タイBLで学ぶ文化の違い

SNS事情

世界で人気の機種iPhoneは当然タイでも使われている。ピートの1代目やティンのスマホだった。Appleのブランド戦略通りなのだが、やはり高級感があるからお金持ちのお坊っちゃまを際立たせる。まぁ、庶民のエーもiPhoneユーザーなんだけど笑

サムスンのギャラクシーも登場。これも世界的に人気の機種だけど、こうして海外で象徴的にお目にかかれるとやっぱりすごいなぁと実感する。

使っているメッセージアプリがLINEっていうのも興味深い。どうやらタイでメジャーのSNSFacebookなようで、普及率は90%越えともいう。実際、作中でもエーやピートが近況報告に使っていた。(エーってSNSやらなそうなのに意外だな)

Facebook圏内ならMessengerやWhatsApp、中国進出圏内ならテンセントのWeChat、このあたりのほうが世界シェアが高い。日本ではメジャーなLINEも世界ではマイナーアプリの認識が強かったから、素直に「タイってLINE使うんだ!」って新たな発見だった。

 

大学生活

調べるとタイの大学進学率は50%を超える東南アジア屈指の学歴社会らしい。

ドラマ概要で「大学生」ってあって作中にも「工学部」「国際学部」って言ってるのになにか違和感があった。そしてふと、学内では皆シャツスタイルのまるで制服だったのに気づいた。日本ではシャツスタイルは高校までなので、頭が混乱して大学生の物語を見ているのに脳が高校生と誤認している違和感が新鮮だ。タイでは大学生のドレスコードとして白シャツ&スラックスでないといけないようだ。

とはいえ登場人物全員の白シャツは眩しく、映像全体がきれいに見える。たぶん日本の学園モノで高校が舞台になることが多いのは大学生では制服フェチの需要を満たせないからだと思う(?)

そして、ひとつの肝といえるのが「大学生」そのものの違いだ。

一般に日本の大学生は勉強をしないと言われている。そして僕も実際そうだと思っている。

Love By Chanceは大学が舞台のラブコメだけれども殆どのシーンが大学内で完結している。講義の前後や学食、放課後の部活中でのシーンがほとんどだ。空き時間に勉強していることも多く、勉強量の多さが伺える。調べてみるとタイの講義は1コマ180分、3時間だ。1コマ3時間ってめちゃくちゃ大変だよ。。。1回サボったり分からなくて遅れていくとどんどん講義内容についていけなくなりそう・・・。

日本では高校を舞台にすることが多いから「大学生」そのものを扱う映画やドラマは少ない印象がある。そんななかいま偶然日本テレビ系で大学生たちを描くコメディドラマ「親バカ青春白書」が放送中だ。コメディという特性もあるがサークル活動や学園祭やアルバイトの話題が中心である。講義のシーンやテストは描写されるが、空き時間で勉強する場面は見受けられない。日本の大学だからある意味当たり前なんだけども、勉強なんかよりも楽しい大学生活ってのが強調されたドラマになっている。

自分が言うのもってあるけど、日本の大学生ももっと勉強したほうがいいと思う。。最近あまりにも大学生間での差が大きすぎると思うんだ。

楽しい大学生、ってのも大事だけど、もっと厳しく落第の仕組みなんかも整えて勉強するようにしていくべきなんじゃないかなぁ・・・。

 

ただ、ひとつだけ調べてもよく分からなかったタイの文化?

「応援の練習」ってなんだ・・・?どうやら学部ごとにやっているようで、サボると結構怒られるタイプのイベントらしい。応援の練習ってなんなんだよ。

 

なんか後半はLove By Chanceじゃなくて別の視点から思うところ書いちゃったけど、いろいろな視点からも魅力的なドラマだから、少しでも多くの人に見てほしいな。

インターネットって便利だよね。リアルだとタイBL見た感想を共有できる相手なんて限られてるのに、ここなら好きなだけ語っていいんだから。

 

 

ugatak514.hateblo.jp

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  • 発売日: 2020/02/04
  • メディア: DVD