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書評『NO RULES(ノー・ルールズ)世界一「自由」な会社、NETFLIX』

 

NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX (日本経済新聞出版)

『NO RULES(ノー・ルールズ)世界一「自由」な会社、NETFLIX』(日本経済新聞出版)

 

本は色々読んでるんだけどなかなか感想を文章化して保存するまでの癖がつかない・・。

読んでる間は「なるほどなぁ〜」って感心するんだけどね。

まぁ、頭の片隅に考え方がインプットされてばわざわざ書くこともないといえばそうなんだけども。

 

というわけでネットフリックスについての本。GAFAと同格クラスにまで勢いを伸ばしているこの会社はどんな会社なのか。

とにかく目につくのは「休日から経費まで完全自由裁量」の「成果主義」。

究極のアメとムチなような印象だけど、これが運用できるのはほんとにさすがNetflixって感想。少なくとも弊社じゃ難しいね笑

超特殊な企業体質だから生半可な会社では安易には真似できない、それだけにほとんど異文化理解みたいな感じでおもしろかった。

 

 

社員を信じぬきコントロールを排除する風土

ネットフリックスは社員を徹底的に信じることができる会社だ。

採用する人間は「超優秀」であることを前提にしている。超優秀な人間は自己裁量で仕事をすると恐ろしく効率的にしかも積極的に働いてくれる。責任感があり自分の仕事をきちんとこなす。だからこそ予算や休暇や面倒な決裁プロセスはすべて省いて一般社員に任せられる。

『社員に・・・自由を与えれば、質の高い判断ができるようになり、説明責任を果たすようになる。』そのために「能力密度を高め」つつ「素直さを認める」必要がある。

優秀な社員は互いに「あのやり方はどうなの」とフィードバックをしあって互いのパフォーマンスを引き上げていく。

 

「ネットフリックスに利益をもたらす」ことが社内精神として浸透している。

経費の使い方、例えば「出張予算は5000円まで」など細かいルールがあるとする。すると自分の手出しにならないように個人がコントロールしながら過ごすようになる。突然決まった出張で、5000円以内のホテルが空いていなければ3000円のカプセルホテルや2000円の漫画喫茶に泊まったりする。結果として疲れが取れずに翌日万全な状態で仕事に挑めなくなる。出張が大口の取引のプレゼン発表だとしたら?もし仮に自己裁量で7000円のホテルを取り、安眠していればプレゼン発表の質が向上していたかもしれない。会社の予算である5000円は守られたのと引き換えにより大きな利益を失う可能性があるわけだ。

 

より利益をだせるように経費を使う。どのような選択をするのが会社として利があるかを判断するのは個人にまかせている。個人が無駄遣いをしないということを大前提としているのが非常に象徴的だ。しかも、経費を自由に使えると承認プロセスがなくなり個人の仕事のスピードがぐんと向上するし、事業にプラスになるかどうかの判断スピードも迅速になる。

 

 

優秀な人間に淘汰される凡人

色々書かれていて印象的なエピソードが多いが、読めば読むほど「優秀な人間」を集めた結果であることがわかる。優秀な人間は怠けない。働き蟻は全体の2割しか働いていない、みたいなことをよく言われているが、実は交代で全員がめちゃくちゃに働いている理論だ。働くときは全力で働き、全力で休暇を作る。自らを律して動ける人間ばかりだから成立する働き方だ。

 

辞められては困る社員には他社より高い報酬を払う。プロジェクトで成果が出せず、今後も「会社に利益をあげられそうもない」と判断されれば辞めてもらう。ただし突然の解雇にならないように改善通告をきちんとするし、解雇となっても充分な退職金を払う。このあたりの仕組みづくりが絶妙だ。

しかも、ネットフリックスは前身の会社での大規模リストラで社員を減らしたときの経験から「頭数のためだけの社員はいなくなっても仕事は回る」という残酷な事実を知っている。元々優秀な人は仕事のスピードも早くて1人前以上の処理をする。その能力を、手戻りやミスのフォローなどに回さなくなる分効率的になるんだとか。

 

 

あ〜、この事実は非常に残酷だ。わかる、すごくよくわかるよ。いわゆる極端にミスの多い人間や仕事の遅い人間であればいないほがマシってやつだよね。能力重視の資本主義社会だからまったく否定できないけど、世の中がすべて実力社会になってしまったら、「本物の無能」の居場所が社会になくなっちゃうのが問題だよね。そういう無能だけ集めて仕事を斡旋するのが国の役割になるんだけども、、、

 

機械化、そしてコンピューター化によって世の中の仕事はどんどん複雑になる。そして使いこなせば使いこなすほど簡単な仕事は消えてなくなる。たかだか数年前だが、引き継いだ仕事に「社用メールの転送」があった。イレギュラーなアドレスからの問い合わせ系はともかく、毎日来るような通達メールも「A社からのメールはXさん」「B社からのメールはXさんとYさん」に転送という風に決まっていた。自動転送設定をしたらこの仕事はなくなった。

引き継がれて代々誰も疑問に思わなかったのかと思うけど、新人向けの日課としてはちょうどよかった節もある。簡単な仕事は消えていくので新人が取り組む仕事の難易度はぐんぐんあがっていく。

 

ネットフリックスってのは新卒採用することはあるのかな。他社で能力を開花させた実力者を集めたとしたら、その教育コストさえもカットしていることになる。まぁ、ネットフリックスで新卒採用されるような人間はそもそも教育コストがかからない人材の可能性もたかいけども。

 

興味深いし、もう少し関連書籍を読んでみようとは思うけども全く真似ができる気がしない唯一無二の会社だなぁ、という印象。この本自体は勉強になったしおもしろかった。

 

最後に本書のすきな言葉を。

『柔軟性よりミス防止を優先するやつがあるか。そんなのは完全な時間の無駄だ。正確な計画を立てることなど不可能だ。』

『長期計画によってミスを防止したり経費を節約したりすることが、私たちの最大の目標ではない』

(第9章:コントロールではなくコンテキストを〜ともに北極星を目指す〜より) 

※当然だけど、ミスをしてもいいという文脈ではない

 

ミスをしないように時間を割きすぎるのはバカバカしい。

何事も柔軟に対応できるようにありたいものだ。

 

ugatak514.hateblo.jp