東映さんの総集編テクニックはすごい。総集編すらも手を変え品を変え、ノウハウが蓄積されている。過去に戻ってみたり、昔を振り返ってみたり、さまざまなパターンがある。去年のキラメイジャーも10話分しかない中で総集編を何度もこなした。単なる総集編にならないよう、楽しめる工夫を凝らすのはほんとうにすごい。
今回の敵は偏差値が高い。トジテンドにも賢いワルドがいたもんだ。
過去にさかのぼってゼンカイジャー結成前につぶしてしまおう、とかいうまるで主人公のような過去改変を提案する。いま流行りですからね、タイムリープ。やっぱり小悪党ヤンキー集団が本物の極悪集団になる前に潰すが勝利の鍵ですわ。(ゼンカイジャーはヤンキーではない)
しかし、残念ながらヒドケイワルドは主人公ではなかった。
タイムリープものが成功する最大の要因を持ち合わせていなかったのだ。
そして、真に主人公側であるせっちゃんがタイムリープを逆に活かす。
セッチャンを誘拐して寝食をともにしながらもういちど半年間を繰り返すヒドケイワルドはとても健気だ。しかし、いわゆるストックホルム症候群になることもなく、ゼンカイジャーに情報を流し続けるせっちゃん。おかげでゼンカイジャーは先の展開を知っている超有能サポートを得ることができたのだ。でも、基本的な展開は変わらないのか、たぶん先週は懲りずにバカンスしていたに違いない。これまでの勝利は実質ヒドケイワルドのおかげといってもいいだろう。
ヒドケイワルドとせっちゃん、このふたりの明暗を分けた要因はなんだろうか。
それは、「俺は未来からこの時代にやってきたんだ!」という戯言を信じてくれる仲間がいるかどうかである。
ボッコワスにもイジルデにもステイシーにも「誰だお前」という態度でせっかくの未来からの耳寄り情報に聞く耳を持たなかった。
対するゼンカイジャーたちはせっちゃんの通信に耳を傾け、信じてくれた。
まぁ、アプローチにも差がある。いきなり現れて本題をつたえようとするヒドケイワルド、細かくアプローチを続けて信憑性を高めていくせっちゃん。そういう地道な努力は大事である。
・・・・介人はそんな回りくどいことせずともすぐに信じるか。ある意味ではこれもトジテンドとの差だな。
振り返ってみると、タイムリープものは「未来から来たんだ」という言葉に対して大体「俺はお前を信じるよ」というキャラがいるものである。介人のようなイケイケドンドン型「めっちゃおもしれーじゃん。」「わくわくする」タイプにしろ、「にわかには信じられないけれども、これまでの状況からして信じるしかない」という冷静分析型にしても、誰かに信じてもらわなければ仕方がない。でなければ協力者が得られず結局は強力な運命に引っ張られて、元と同じルートをたどってしまう。
ひとは過去に戻れるというだけで過去を変えることはできない。真に過去を変え、未来をつかみとるためには地道な信頼関係の構築が必要となるのだ。
せっかく偏差値の高い戦略を提案したものの頭がいいだけでは世の中はうまく行かない。自分の理念や行動を理解してくれて協力してくれる味方が必要だ。そういう意味ではプレゼン能力も大事だね。世知辛い・・。ヒドケイワルド…無念