ゆうがたヒーロー

日曜の朝でなくても誰だってヒーローに憧れてる

SNSってなんなんだろう。感覚としてのSNS変遷史

GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 (日本経済新聞出版)

 

SNSって何が目的なの」「なんで食ったものアピールするの」

ある日、SNSをやっていない一回り以上うえの人から率直な疑問をぶつけられた。

InstagramTwitterFacebook、それぞれ得意なツールはあるけれども、「なんで」と聞かれると意外と困る。

 

「みんな『いいね』がほしいんですよ」

バズった経験もない僕が言える精一杯大衆寄りの回答をした。

「『いいね』がもらえるとどうかなるの」

まったくそのとおりだ。1いいね=0.0001円くらいの金銭報酬があるわけじゃない。全く金にならない数字を僕らはどうしてこんなにもありがたがるのか。

「みんな会社で叱られて凹んだことをSNSに書いて、『いいね』とコメントで慰めてもらうんですよ」

そんなくらいしか言えない。『いいね』の幸福感はSNSをやっていないと絶対に理解ができないからだ。

僕はSNSというかインターネットの成長と合わせて大人になった世代だと自負している。このあたりの歴史を記憶の中から整理してみると、この「いいね」がなんなのか、なにか手がかりがつかめるかもしれない。

 

 

インターネット創世記、ネット界はいまとは全く違うものだった。

よくわからない個人HPにアクセス数でのキリバンシステム(?)。ゴロがいい数字の来訪者は掲示板で報告するのがマナー?だったらしい。

各HPには掲示板やチャットが設置してあり、常連客のたむろする喫茶店のような安心感のある世界だった。

個人ブログも最盛期だったような気もする。よくわからないけど中学生でも自分のブログをつくって友達同士でリンクさせていた。

携帯電話サービスが発達すると、クラスのHPやプロフィールページなどができあがった。特に前略プロフィールというサイトは欠かせない!それぞれに裏リンクやパスワード付きページなどを用意して、もともと内々で楽しむようなサイトなのにさらに細分化された身内向けになっていたのが趣深い。

 

 

個人向けサイトの増加に対して勢いがあったのがグリーやモバゲーだ。

携帯電話の通信環境がよくなるにつれてサービスは多種多様にになっていった。各自が夢物語のような小説を投稿できる「ケータイ小説」が話題になったし、恋空や王様ゲームのような映画化やコミカライズ化など手伝い、多くの作品が幅広く世に知れ渡った。

アバターを着せ替えながらゲームもあり、ブログもあり、コミュニティサークルもある。今思えばあの時代のプラットフォーマーとして絶対的な地位を確立していた。

メッセージのやりとりや足跡機能の活用によってコミュニュケーションをとる。

この多種多様なニーズは、いうなれば活気のある商店街のような楽しさがあった。商店街の中で本を読み、ゲームをし、メッセージを送りあう。この商店街ですべてが完結していし、すべて商店街での運営だった。

 

携帯電話産業、特にガラケーの時代は日本がまだ力をもっていた。

しかし、知っての通り黒船スマートフォンの襲来によって日本の携帯電話産業は大きく姿を変え、競争に破れ多くの企業が撤退を強いられた。

AppleによるiPhoneの上陸、検索エンジンGoogleと通販サイトAmazonの巨大化、FacebookTwitter、LINEによるSNSの再構成。

感覚としては2011年以後、加速度的に世界が創り変えられたと感じている。

 

 

AppleGoogleにプラットフォームを奪われた各社はコンテンツを提供するしか生き残るすべがなくなった。日本でスマーフォンにいち早く対応したのはゲーム業界。ガラケー時代のゲームノウハウから、ガンホーの「パズドラ」、ミクシィの「モンスト」、コロプラの「白猫」が幅を利かせていた。

コミュニュケーションはメールに代わり無料通話ができるLINEが一般的になった。過去に散々「通話料」を売りにしのぎを削っていた携帯電話各社は価格破壊によってさらに厳しい状況だ。各社今なお利益確保のためにあの手この手を模索している。

FacebookTwitterによるSNSの登場で各々でコミュニティをつくらなくとも簡単に同じ趣味を共有できるようになった。

活気のあった商店街は、大型商業施設によって駆逐された。

「ゲームをやるならあちらへどうぞ」「おしゃべりはこちら」と施設内でテナント別に細分化され、ごちゃごちゃしてないスマートな社会が実現した。商店街のようなあたたかな運営ではやっていけず、各社は競争の激しい巨大なテナントに入るしか生き残れない。

 

この頃には世界は完全に変わってしまった。

このテナントのなかで「いいね」という画期的な仕組みを生み出してしまったことでさらにもう1段階変化が訪れる。

 

長いので一旦つづく

 

 

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