ゆうがたヒーロー

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『機界戦隊ゼンカイジャー』オタクの専門知識を開放せよ、ゼンリョクゼンカイキャノン

スーパー戦隊シリーズ 機界戦隊ゼンカイジャー VOL.3 [DVD]

 

柿ワルドかと思いきやホシガキワルドであり、巨大化すれば「カキワルド」(柿牡蠣花器火気。夏季がないのがせめてもの救い)

遊び心の塊。これぞゼンカイジャーである。

 

シリアスを握るのはハカイザーかステイシーか

10月になったということで、そんな遊び心に一石を投じる形で参戦した新怪人・ハカイザー。介人の父親が関係していることだけは確実であるが、ストレートにハカイザーの正体なのか記憶抽出してつくったコピーなのか、細かいところは謎のままだ。

どういう系譜で生み出されたのかは別にしろ、行方不明になっている介人の母親が再登場する場面で謎が明らかになるものだと思っている。つまり、物語が動き出すタイミングだ。10月からのワンクール引っ張って年末商戦のボスになるってのは気が長すぎるかなぁ。

 

それにしても、父親絡みで介人と因縁があり、いくらでもシリアス展開に転換できる布石を打っておきながら、妙に陽気なキャラなのが異質さを際立たせる。陽気な敵キャラってこえーんだよな。打ち解けて和解直後に退場したり、陽気の裏の残虐性が発現したり、陽気なキャラを殺されて無感情な兵器に改造されたり、めちゃくちゃ偏見だけど陽キャラ怪人にはそんなイメージがある。

とりあえず、当分はゼンカイ脳サイドのキャラクターとして盛り上げてくれるに違いない。そして同時に当面のシリアス要素はまだステイシー君に頼り切る番組編成で進めるようだ。なんならステイシーからしたら味方サイドにあたるハカイザー君のほうがステイシーの頭痛の種になる可能性すらある。先週みんなと混ざってテニスなんかをエンジョイしちゃうから「もっとシリアス頑張れ」というドS制作陣の愛のムチに違いない。泣くなステイシー、頑張れステイシー。

 

 

君も手軽にオタクになれる「ゼンリョクゼンカイキャノン」

さて、新しい武器「ゼンリョクゼンカイキャノン」

元々別世界のスーパー戦隊をモチーフにゼンカイジャーが生まれている。

五色田夫婦は生粋のスーパー戦隊オタクであることは間違いない。(リバイスの某博士と一緒にオタトーークしてほしい)

そんな夫婦はゼンカイジャー自身には召喚機能を取り付けていなかったのかと思いきや、武器として後付けできるように開発をしていた。セッチャンよ、そこまで詳細データを調べられるのならばフリントに頼めば開発できたんじゃないか笑

と、そんなこんなで登場したゼンリョクゼンカイキャノン。

なんと言ってもモチーフ縛りで過去戦隊を召喚できるという未来のオタクを育成してくれる機能が目玉だ。

 

基本的にゼンカイジャーの世界の登場人物は過去のスーパー戦隊を把握していない。

みんな「別世界のヒーロー」であり、「自分たちのモチーフ」であることは理解しているが、あくまで別世界のことなのでゼンカイジャー達も明確な知識や理解があるわけではない。スーパー戦隊ギアの効果が妙にずれているのはそうした「理解・解釈が曖昧のまま何となく使っているからではないか」という意見を見て納得した記憶すらある。

トジテンド側、ステイシーもそうだ。登場時にゴレンジャーを召喚したり、ジュランやガオーンらにジュウレンやガオレン、ゴールドツイカーにオーレン・シンケンをぶつけたのも知識があって当てつけるために選んだのではない。あくまでも「たまたま」元ネタだっただけだ。

ゼンカイジャー世界で他のスーパー戦隊を把握しているのはおそらく五色田夫婦と、そのデータベースから知識を得ているセッチャンだけであろう。

そんな知識が曖昧な面々が、「科学縛りの戦隊を見たい」「和風で揃えた召喚してくれないかなぁ」なんていう視聴者の夢を叶えることは難しい。そして当然、ゼンカイジャーで過去の戦隊を知った子どもたちがそうした分類遊びをするのもハードルが高い。こうした分類分けができるのは45の戦隊に関する知識を有している、オタクや「スーパー戦隊図鑑を読み込んで」のめり込んでいる子供だけなのだ。ゴーカイジャーでは伊狩鎧が戦隊オタクのスーパーヒーローという離れ業をやってのけた奇跡。

いくらスーパーヒーロー戦記で戦隊とライダーのモチーフ揃えで戦闘をさせても一部の人にしか理解してもらえなければその労力は無駄になる、あるいは制作陣の自己満足に終わってしまう。(かといって適当にバラバラの組み合わせだと面倒でうるさいノイジーマイノリティ的なオタクがボロクソ言ってくるから難しい)

制作として、一般人の「名前を知っている」程度の知識からもう一歩踏み込んだ知識を持ってもらいたいのだと思う。それが過去のコンテンツを殺さずに長く生きながらえさせるための戦略なのだ。

 

テクノロジーとは、一般人の心理的ハードルを下げるものだと思っている。一部の専門家だけができていたことを大衆にもわかりやすく使いやすくしてくれる。こうして世界はより高度に発達してきた。

この「ゼンリョクゼンカイキャノン」、なんとゼンカイジャー達や一般人には難しい戦隊の分類分けを自動でやってくれる優れモノ。

「科学」を選べばデンジマンタイムレンジャーを自動で選んで呼び出してくれる。専門知識不要の誰でも使える夢のアイテムである。

おそらく五色田博士がそれぞれの戦隊に分類タグ付けしてデータベースに登録してくれていて、武器では分類タグを読み取る形で戦隊を召喚してくれるのだろう。

「タイムブルーは科学よりも脳筋側では」なんて感想も見受けられたし、僕自身も「タイムブルー??」と思ったけれども、多分個人までフォーカスせずに戦隊としての括りで登録しているのだろう。タイムレンジャーは紛れもなく未来の「科学」技術で生まれた戦隊なのだから。

 

しかし、ディエンドライバーの形状のケータッチっぽいこのキャノン、こうも戦隊の顔が並んでると圧巻だな。ジオウの平成ライダー曼荼羅ドライバーの倍以上の顔が並んでいるんだもんな。ずっと途切れなかったのが戦隊の強みであるのと同時に、昭和と平成という明確な切れ目がないからアニバーサリー作品でのヒーローをまとめたアイテムデザインは難しいね。

 

ugatak514.hateblo.jp