型を知らないと型を破ることはできない。
『機界戦隊ゼンカイジャー』はそのことを教えてくれるいい教材だった。
「戦隊」ってなんなんだろう
記念作品であり、令和の王道キラメイジャーからのど変化球で毎週困惑楽しませてもらった。
戦隊ギアのちからも能力を使うというより、ピンポイントで変な部分を当てこする作風が安定してくると戦隊大喜利状態になっていた。
対してボッコワウスはゼンカイジャー達よりも正当にトジルギア(戦隊ギア)を使いこなしてたのがおもしろかった。ちゃんとエフェクト付きで武器まで使っちゃうんだ‥。ゼンカイジャーがそんな普通の感じで使ったのっていつが最後だっけ…。そしてゴレンジャーの能力で家族でぶん殴るという暴挙。シリアスなギャグを全力でこなすボッコワウスはやはりゼンカイジャー世界の住人だ。
肝は名乗り
戦隊の肝である名乗りにも毎度変化を与えて飽きさせない工夫をしていたのが印象深い。昔、パワーレンジャーとして戦隊ヒーローを輸出しようとした際、海外から「名乗りは不要だ」と言われたものの、「名乗りは歌舞伎の見得のようなものだ」という説明をしたという。戦隊の要素を分解して変化を加えていったり排除してみたりしてきたゼンカイジャーでも、名乗りはなくさなかった。つまりは「戦隊」に名乗りは必要だという判断のもとで制作をしていたといえよう。
ただし毎週同じ名乗りをするのはやめて、状況に応じてときに面白くときにヘンテコに名乗ることで変化を加えてきた。
それを戦隊最終決戦でおなじみの「素面名乗り」はドストレートに決めるのが最高過ぎた。
いや確かにジュランやガオーン達の素面って、、、というのも分かる。彼らが素面名乗りをしていること自体が今回の変化ポイントだったのかもしれない。でも、そうだとしたら素面名乗りを王道ド直球でやることの良さが一層際立ったのではないかな。
キラメイジャーでは邪面をつけることで強くなったことに対するカウンターとして素面を晒す、という変化で素面名乗りをしていた。これはこれでエモいんだけども、やはり敵の攻撃で変身解除された状態から気持ちを鼓舞して立ち向かう様がかっこいい。
駒木根くんのポーズも切れがあってとてもよかった。
バラシタラとゲゲ、そして神
ステイシーが父親との決着をつけたバラシタラ戦。ツーカイザーとのコンビネーションでついに撃破する。どっちがとどめを刺す、というわけでなくふたりで倒すという展開に落ち着いた。全体的な展開がよかったからこれも納得する結末のひとつだ。
ゲゲはちょっとかわいそうだった。ゲゲ自体はボッコワウスのためを思ってたのに、神様に憑依されて弱点を暴露させられ、一瞬で粛清された。ゲゲ、、色々あって一年間大変だっただろうけどお疲れ様でした。
そして、神。君は何してくれているんだ。神だからって自由に憑依して回るんじゃない!電王のイマジンかってくらいに色んなひとに神様人格の演技させてる。
そして、もっかいすべての世界を閉じたみたいだけど、どう決着つけるんだ。キカイトピアとニンゲントピア、カイゾクトピア、混ざってはいけないそれぞれの世界を分断させたのが狙いっぽいけど…。
ここに来てまたデッカイ風呂敷広げないでよ。どうせ来週には畳まないといけないのに笑