1年ものの物語がおよそ45作品あるので個人の好みにハマるものもあれば、あまりはまらないものもある。それでいえば、キラメイジャーは何かしら僕のツボにハマっていた。ゼンカイジャーはまだ僕のツボを押してくれない…。おもしろくないとは言わないんだけど、まだ何が足りないんだ…
さて、マジーヌが仲間入りしたことで巨大戦の幅が広がった。今日の放送ではその合体ギミックを見せる演出が印象的だった。ゼンカイジャーに限らずここ最近の戦隊ものの特徴のひとつとして「巨大戦」へ力を入れているように思える。
もともと戦隊の売上主力玩具は変身アイテムではなく合体ロボットである。変身アイテウムが売上主力玩具である仮面ライダーの変身ベルトに比べるとを売上感をイメージできないのではないか。だからこそ戦隊はできるだけ巨大戦の魅力をアピールして、もっとロボットが欲しくなるようになっていかなければならない。
巨大ロボとゼンカイジャー
まず『機界戦隊ゼンカイジャー』は過去戦隊のロボットをモチーフにしている。個人的にはマジキングをモチーフにしたゼンカイマジーヌの造形デザインが好みだ。
戦隊シリーズでは過去に30作品目の『轟々戦隊ボウケンジャー』で敵怪人のモチーフを過去のヒーローロボで造形していた実績がある。見た目で「あのロボだ」とわかるものもあれば、しらべて「なるほどなぁ」と感心するものもある。仮面ライダージオウでは過去のライダーをアナザーライダーとして怪人化させたデザインもつくっている。そう考えると、45種類ちかく出るかもしれないゼンカイジャーのロボ(や換装武器)にも期待ができる。直近ヒーローだから記憶が新しいうちにキラメイジンモチーフのヒーローがGW前後には登場するに違いない。(願望)
コロナの影響か、あの白倉氏の仕掛けか、ゼンカイジャーでは生身キャストはひとりだけだ。4人はキカイノイドとかいう、電王イマジン方式を戦隊に採用したのは正直相当思い切った。おそらく通年でロボ戦に力をかけてくるだろう。これが成功するかどうかが45作品つづいたスーパー戦隊シリーズの分岐点だ。先日放送されていたの「しくじり先生」のように暗黒期・迷走などといわれないような展開であってほしい。
とはいえまぁ、イマジンの実績もあるしバディノイドもいたし、ニンジャマンやシグナルマン、ズバーンみたいな番外戦士たちも活躍していたし大丈夫でしょ。
巨大戦のロマン
まずは僕個人の昔の戦隊のイメージだ。
等身大戦を終えると何らかの方法で敵が巨大化する。戦隊側も当然巨大ロボで応戦する。
しかし、ロボが合体するとすぐさま必殺技を繰り出す。巨大戦そのものが消化試合のような扱いだ。
これについてはキラメイジャーのプロデューサーで過去にはデカレンジャーやマジレンジャーを担当した塚田プロデューサーも「昔の僕なら」「等身戦が終わったらアクション部におまかせ」してたという。
ロボットをPRするのにロボ戦が消化試合のような扱いになってしまう本末転倒な構成になりがちだったということだ。
なんとなく潮目が変わり始めたのは感覚としてはシンケンジャーだ。
それまでは等身怪人の巨大化だけだったのが、雑魚兵の巨大化を果たし、巨大戦のあり方に一石を投じる形になった。純粋に魅せるバリエーションが増えた。
そして、巨大戦に力をかけたのはゴーバスターズ。等身戦を行いながら並行で巨大メカが転送されてくるギミック。
1話なんか顕著だけどもメガゾードが転送される前にメタロイドをシャットダウンしたい、けども間に合わず等身戦と巨大戦を同時平行で処理しなくてはいけなくなる。
ポイントは等身怪人の巨大化ではなく、別個体が転送されてくるということだ。
だからこそふたつの戦いを同時に展開させることができる。この流れはまさにキラメイジャーでも同じ方式をとっている。
ゴーバスターズはロボットの拡販に力を入れることを目標としていた。そのためシリーズを通して合体ギミックのおもしろさはもちろん、ストーリーでのバディとしてロボットの魅力を高め、ロボ戦の価値を上げるための工夫がみられる。メカメカしい基地があるのも整備士にスポットが当たる話があるのもたまらない。
各組織巨大化のメカニズム
次に最近の巨大化メカニズムを考えてみよう。
トジテンド:巨大戦用戦闘員が存在。等身戦で敗北したワルドのトジルギアの能力で強化される。等身&巨大戦もありえる。
ヨドン軍:邪面師と邪面獣は別個体。邪面師が集めた闇エネルギーによって転送される。うまく集めれば等身&巨大戦となるし、集めきれなくても闇の保険でカバーされる。
マイナソー:等身獣が自身で巨大化。そのためにマイナス感情で成長しないといけない。等身と巨大戦は同時には起こらない。
ギャングラー:ゴーシュによって巨大化。金庫が本体(?)。等身と巨大戦は同時には起こらない。
ギャングラー以前の多くは誰かによって巨大化アシストをしてもらうパターンが一般的だ。ジュウオウのナリアだったり、ニンニンの九衛門だったり、キョウリュウのラッキューロだったり。戦隊シリーズ昔からのお約束のひとつだ。しかしある意味ではマンネリの理由ともいえる。苦労して等身獣を撃破しても必ず巨大化して復活してしまう。等身戦はあんなに苦労したのにロボットで戦うとあっという間にやっつけてしまう。これでは完全に消化試合だ。
キラメイジャーではゴーバスターズの時のように、巨大と等身ふたつの戦いを上手く見せることで消化試合のようなイメージにならないような工夫も見て取れる。
いかにロボ戦を魅力的にできるか、制作陣の腕の見せ所だ。それなのにこれまではアクション部に丸投げをした、ストーリーのおまけのような扱いだった。アクションとストーリー、バラバラに構成されていたふたつをうまく物語に組み込み、ロボに焦点を当てた話と等身ストーリーに焦点を当てた話ができれば、世界観にメリハリがつくだろう。
キカイノイドが全力で等身戦をしてくれるゼンカイジャーは、ロボットをより魅力的に映してくれるはずだ。
ちなみに巨大化にサポートが必要となる場合、たいていラスボスの女性型秘書や雑用係やベビーシッターなど身分が低いものに任せられることが多い。巨大化は仕事内容としては相当重要案件である上に、頻度も多い。実は巨大化の役割を担うことはラスボスの信頼を得ている花形なのかもしれない。復活する怪人側も失敗を挽回するチャンスをもらえたとして、怪人サイドも「サンキューナリア」と礼を言っている印象が強い。巨大化はうれしいようだ。たまには1クールでやられそうな武人型幹部がブラック精神で「死して働け」と無理やり巨大化させるような展開があってもいいのになぁ。
機界戦隊ゼンカイジャー。その響きの通り機械モチーフである。次回にはブルーンが仲間入りを果たして2台ロボが並び立つ。ようやくゼンカイジャーがスタートするのだ。これからの展開を期待して見ていこう。