ゆうがたヒーロー

日曜の朝でなくても誰だってヒーローに憧れてる

総括『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』丁寧に描かれる日常とシリアス。爆発までを楽しむ時限爆弾

 

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー VOL.1 [DVD]

ついに終わってしまった『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー

 

ここ数年のトップクラスで安定した面白さだったと僕は思う。

まずテレビシリーズで1年を通じて「VSシリーズ」を放送する、というのに驚いた。

 キュウレンジャーでとにかく最多人数でのウリの次はダブル戦隊の共存をウリにしてきた。

 

そして運命の(?)第1話と2話。僕は度肝を抜かれた。

ルパンレンジャーがあまりにもスタイリッシュでかっこよかったからだ。

快盗がゆえの夜で大人な雰囲気のBGMと変身バンク。ぐるぐるとまわる撮影。ヌルヌル動くCGを活用したロボ戦。

導入として申し分ない。

 

後を追う形でパトレンジャーにもスポットが当てられ、本作の方針がぼんやりと浮かび上がってくる。

なるほど、こうやって1年間を展開するのだろう。

途中で仲良くなり、疑惑もあり、戦い、最後には共通の敵を一緒に倒す。追加戦士は2重スパイだろうか。快盗と警察のトップはつながっている?

考えれば考えるほどワクワクがとまらなかった。

 

 

ルパンレッドとパトレン1号の戦いが描かれ、疑惑が生まれては晴れを繰り返された。

そして、キャラ同士の日常がこれでもかというくらいに描かれる。

ルパパトはこの日常回というのが肝だ

 

 

持論だが日常回を描くというのは意外と難しいものではないかと思っている。

いわゆる「ちびまる子ちゃん」や「サザエさん」に言われる日常モノ。あの世界観にはストーリーというものがない。だからこそ見逃しても安心して翌週分を観ることができる。同時に1話くらい観なくても全く問題がないとも言える。

 

戦隊ヒーローや仮面ライダーに代表される特撮モノはそうはいかない。

地球を侵略する悪い奴らがいて、僕らを守るヒーローがいる。悪の組織を壊滅あるいは撤退・封印するまでがストーリーだ。

アンパンマンのように日常的にやってくる悪い奴らを毎度追い返すだけを繰り返すことは許されない。

 

 快盗と警察で話を作れば日常中心の「ルパン三世」になる。

そこに特撮モノお約束の「悪の組織」との三つ巴にすることで日常に目的をもたせることができる。

日常回ばかりであれば「1話見逃しても平気」となるが、ストーリーが加わっていることで日常の中でも話が展開していく構成となった。

 

日常回というのはキャラクターの掘り下げに有効だ。各人物がどういう行動をとるのか、どういう考えなのかが分かる。快盗と警察どちらの状況も理解できている視聴者はある意味「神の視点」で俯瞰してみることができるが、キャラ同士はそうでない。掛け合いを通じて相互理解につながっていく。理解が進めば進むほど情が生まれる。

 

快盗と警察は相容れない存在。相互理解はまるでいつかは破綻する時限爆弾みたいなものだ。

そして何気ない日常の違和感が積み重なり、やがてすべてがつながる。

すべてを知った警察側の衝撃は計り知れないものとなる。

 

ルパパトは日常回のインパクトがすごかった。シリアスの中に突き抜けたギャグをぶち込んでくる。

ここ最近の戦隊シリーズでもなかなか見ることのできない、意味の分からないギャグ回が多い。「レオタード」「強制帰宅ビーム」「キツツキ」「クリスマスは鮭」

ギャグが振り切れば振り切るほど、シリアスとの振り幅が大きくなる。

日常やギャグを丁寧に描いたことが、本筋のおもしろさを際立たせてくれた。

 

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日常を彩るキャラクターもよかった。

今風で飄々としながらも強い信念を持つルパンレッド

頑固であるけど理解もあるパトレン1号

この二人の関係性がとてもよかった。

系統の違うダブルレッドの交わり方が絶妙。ふたりともここ数年にいないタイプのレッドじゃないかな。おバカ系カリスマ・イケイケドンドンタイプでも常識ある苦労人タイプでもない。案外柔軟なパトレン1号の頼りになる感がすごい。

 

キャラに関してはパトレンサイドが安定。

警察の特殊部隊という組織柄任務遂行の仕事モードとジュレでのOFFモードで2度美味しい。パトレン3号の仕事のできるクールビューティが可愛らしいルパンイエローとの対比が美しい。

遊園地回でのルパンイエロー&パトレン3号の共闘はすごく好き。

 

クールなルパンブルーと意外と熱いパトレン2号の絡みをもうちょっと見たかったな。あの二人、ギャグの餌食にされがちだから(褒め言葉)

 

ルパンブルーとパトレン3号、ルパンイエローとパトレン2号がペアになってた感があるから仕方ないのかな

 

あと、ノエルのキャラが不安定だった気もする。どっちにも顔が利くが故にどっちつかずで省かれることも多かった。異世界人というのなら特殊能力や怪人体があってもよかったのかなと、思ったり。最終的にはコグレさんとグッドストライカーらアルセーヌ側の人間ってことで落ち着いたけどう〜ん。もう少し何かほしい。。。

なにかありそうな雰囲気が強すぎたかな 笑 

 

 

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 惜しかったのは玩具展開

 

ルパンレンジャーとパトレンジャー、どちらも互換のある共通アイテムを使わせるってのはいいアイディアだとおもったし、グッドストライカーが任意でどっちに巨大戦をさせるか選べるというのも面白いと思った。

でも、どうやら販促的にはうまくいかなかったらしい。

ルパンが人気となると玩具展開がルパンに比重を置き始めた。

見ていても消防車は絶対パトレン側のアイテムだと思ったし、後半ルパン側の強化が著しかった。これはどっちが手にするんだろう、とか思ってたのにどっちもルパンの手に渡ったら「あれ?」となった。

パトカイザーが後半ほとんど出番ないっていうのに気づいたときにはもう手遅れだった。

「君はどっちを応援する」って煽り文句がそのまま玩具展開に影響されちゃったみたい。

バランスが難しいよね

 

 

 

 

話がおもしろく、キャラが生き生きとしていて、戦闘がかっこいい。

ルパンコレクションも過去戦隊のモノという特撮好きにたまらない

強化バランスさえ良ければ本当に申し分のない1年だったと言えよう。

 

戦隊モノで何を見ればいいか、と聞かれたら自信を持ってオススメできる。

ルパパトよ。1年間ありがとう。また逢う日まで。アデュー

 

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