総括『わたし、定時で帰ります。』ベタなのにトリッキー!構成に脱帽。種田さん最高って話。
吉高由里子主演の火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』
先程無事に最終回を迎えました。
『ハケンの品格』『家を売るオンナ』のようなバリバリのキャリアウーマンが様々な問題を颯爽と解決して「わたし、定時で帰ります。」と帰っていくドラマだと思って視聴しました。
ところが、そんな予想に反して「仕事はやるし、効率はいいけど熱意はない」ごく普通のOLが主役だった。
今どきの若いものや仕事人間、育休等の様々なことに対する偏見・・というか誇張はあるものの、オーソドックスなテーマをうまく解釈・構成した面白いドラマだった。
僕がこのドラマの肝だと思うのは「定番テーマ×変化球構成」である。
◆定番テーマ
働き方改革や育休、過労死、セクハラ・・仕事にまつわるテーマは山ほどある。
その中でも特にオーソドックスなテーマに焦点を当ててひとつひとつ解釈を加えていく。
その上で各話の主役に当たる人物の悩みやあり方に向き合っていく。そうして信頼できる仲間を増やしていき、最終回に向けた総力戦を演出していく。
いわば、ラストにピークを持っていくため、ドラクエの仲間集めをしているような感じだ。
おおよその社内問題も一段落したところで、終盤に要注意人物の福永部長が動き出す。
明るく和やかな職場で露骨なまでにアップで映される「地獄」饅頭の文字。
そして、採算度外視の仕事が振られ社員が地獄のように苦しみ総力戦で片付ける。
このオーソドックスな構成がたまらない。
なんだかんだ、人ってのは「ベタ」に弱いのだ。
◆変化球構成
なんだかんだで「ベタ」が好き。しかしかといってあるあるネタをぶち込んだだけではどこかで観たことあるドラマの焼き直しにしかならない。
そこでこのドラマの塩梅を左右した隠し味の登場である。
このドラマは主人公の東山の会社に元カレの種田が入ってくることから始まる。
東山と種田の付き合いはほとんど語られない。
それぞれが少しずつ回想をし、当時の思いを語るのみといっても過言ではない。
分かるのは、東山は昔働き過ぎで倒れたこと、二人は結婚まで話が進んだ仲であること。両家の挨拶のときに種田が倒れたこと。
だいたいそんなものだ。
二人の関係はそこで途切れ、今は東山にも結婚を前提とした彼氏までいる。
過去から時間が相当経っている。
そう、このドラマの肝はまるでシーズン2であるかのように、すでにできた人間関係と過去出来事を前提に話が進んでいくのだ。
なにがあったんだろう。と、まるでミステリードラマのように謎は深まる。
なのにあまり語らずあくまでも現在に主軸をおいてストーリーが展開する。
普通、彼氏のいない主人公の前に、いい感じになる人が現れて、仲を深めている中盤で元彼が登場して揺れた末にいい感じの人とくっつくでしょ?(偏見)
何?結婚を前提に交際している彼氏がいる状態で、元彼が転職してくるって
トリッキーというか意地が悪い・・。
定番テーマの味付けには最適な構成で、ほんとに楽しい3ヶ月でした。
ただ、最後にきちんと主張をしたい。
学生の延長線上から憧れや目標をもって働くようになった来栖くんはめちゃくちゃかわいい。
そして、テンプレなツンデレ属性を持った仕事人間の種田さんはめちゃくちゃカッコいい。特に最終回の終盤は終始非常によかった。
量産ラブコメの主役をやってた時代も終わり落ち着いて幅広い役をもらえるようになった向井理さん。くたびれたエンジニアも腹黒策士も様になってきてかっこいい。
また種田さんみたいなはまり役でお目にかかりたいものです。
SPかなんかで過去編やらねぇかなぁ・・・。いちゃいちゃする二人を眺めたいし、あの頃のすれ違い気味の過去も見たいし、どういう出会いで、どうして惚れたのかとかもっと掘り下げてほしい。
種田はなんであんなにベタぼれなんだよ!!!
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