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『アマゾンが描く2022年の世界』Amazon Goでリアル社会参入、そして宇宙へ!?

 アマゾンが描く2022年の世界 すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」 (PHPビジネス新書)

※本ブログは2017年12月発行の本を2020年3月に読んだその感想・備忘録です。

 

『アマゾンが描く2022年の世界 すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」』

PHP研究所 2017 田中道昭

 

 

 メガテック企業ここ数年とくに熱い分野だ。名前を聞けば知らない人はいない天下のAmazon様。この会社がいままでどう成長してきたか、これからどうなっていくのか、2017年末時点での感想・まとめである。

 

僕個人としてはこの本を読んだのはほんとに最近なんです。むしろ2017年以降に書かれた書籍のほうを先に読んでいる始末

でもこのメガテック企業について考察・分析している本はいろいろ出ていて読み応えがある。すべての会社に通用するかといえば通用しないと思うけれども、そのモノの考えや戦い方は読んでいてワクワクする。

と、言うわけで今回はこの『アマゾンが描く2022年の世界』を見ていきたいと思います。

 

 

現実世界に参入してくるAmazon

 2018年、Amazon無人コンビニ「Amazon Go」をオープンしました。

 本書はまだプレスリリース後かつオープン前の時代にかかれています。

 

本書によると、Amazon Goは無人コンビニをテクノロジーや知見の集大成になると期待しているという。その仕組みを小売り・流通に横展開していく狙いもあるのではないか。

この無人コンビニがうまくいくということは、まずあらゆる機器がインターネットで繋がっているスマートシティへ向けて大きな1歩を踏み出すことになります。

クラウドやロジスティックス、音声AIに顔認証、センサーやディープラーニングが技術的により高精度になっていくことでしょう。

人件費削減と物流・在庫管理のコスト減となり、より消費者への還元が大きくなることも見込めます。

そして一番大きいのは「レジ不要」というメリットだ。 レジの待ち時間や店員の作業そのものがなくなる。今はまだ想像つかないかもしれないが、間違いなくこの時間短縮が精神的ストレスの軽減してくれる。

 

 

これは僕の感想だけども、現代人は時間に追われすぎていると思っている。

例えば「5秒後にサイトを移動します。移動しない場合はこちらをクリックしてください。」

皆さん、5秒待てますか?そこに道があるのなら、5秒と言わず0.5秒でリンクを移動しますよね?

スマホでページの切り替え時、ロードに3秒かかってたらイライラしませんか?

昔、「可処分時間を最大にする」といった内容で、1秒の切り替えを0.5秒にしてこうという新聞記事も読んだことがある。

とにかく我々は今はあらゆる待機時間を許容できなくなっているのだ。

ユニクロで採用されているRFIDタグを活用した時短レジも驚いたが、そもそもレジ不要となるとまるで格が違う。

「モノを買う」ということが完全なシームレスになるのだ。

多分これが成功して普及したら、我々はレジの存在を心から疎ましく思うだろう。

あたかも日常的にICカードでキャッシュレスをしている目の前で、小銭を数えてのんびり会計している人に出会ったときのように。

 

 

筆者はAmazonのようなインターネットで大きな力をもっている企業はおそらく小売業界に進出しても強いとだろうとみている。

それは彼らの最大の武器がAIとビックデータを活用した高速PDCAサイクルだからだ。

消費者がものを買うときの商品チェックの履歴や似た商品の購買頻度など細分化したデータをリアルタイムに分析している。より消費者へコミットした提案ができることが強みだ。

リアルの小売店ではそこまでのAiが発達していない。そのためAmazonレベルまで顧客満足度を高めるのには相当な研究が必要となる。そういう意味では確かにネット企業にはリアルに参入する勝算があるのかもしれない。

 

ベゾス、宇宙への憧れとその人物像

 AmazonのCEOであり取締役社長であるジェフ・べゾフ氏。彼は幼い頃から宇宙に夢を抱いていた。

僕は全く知らなかったのがベゾス氏は「ブルー・オリジン」という航空宇宙企業を創業

していること。ロケット開発をして2015年には初飛行をしたうえでAmazonでも収益化している。

惑星・宇宙・衛生データへのアクセス・処理・解析などを行うデータプラットフォームの地位をすでに固めているのだ。

宇宙事業には膨大なデータの処理が必要となっている。サイバー空間の解析を宇宙空間の解析に転用しやすい。そのためGoogleAppleらのメガテック企業も軒並み参入しようとしている。戦いのフィールドは地球を超えて宇宙にまで進出しているのだ。

 

そんなベゾス氏とはそもそもどんな人物なのか。

 同書で語られる彼の人物像は「優秀でビジョンを現実にする」「あらゆる点で両極端」であるという。

『ビジョンの創造と実現が第一の要件であり、人がワクワクするような、自分もそこに参画してみたくなるような将来像を描き、メンバーに提示する。』『人を惹きつけ、ビジョンの実現に向けて人を動かすことができる』

ビジョン実現のためにはこれまでと間逆な指示をすることさえもある。

例えば、それまでAmazonで書籍の販売に尽力していた人物を電子書籍の開発部門をやらせる。これまでの事業を壊すような指示をしたのだ。

ものの考え方もこれまでとは全く違う『異様な知性を創造する』ことを重要視し、まるで『異星人のよう』な人物とさえもいわれる。

 

ベゾス氏はビジョンに関わる大きなことから現場レベルの細かい部分まで口を出すという。しかし、彼一人ではすべてを把握できないくらい会社規模は大きくなっている。

そのため、Amazonではハッキリと意思決定にルールを設けている。いくつかあるけれども個人的にはこのルールが面白い。

①意思決定を後戻りできるものとできないものに分ける

②後戻りできないものは深く議論をする。

③小さな意思決定はメンバーに任せる

④納得行かないものは反対を表明しつつ、決定した場合は全力で対応をする。

⑤議論しても埋まらない部署間の利害関係は、議論で疲弊する前に上層部が判断をする。

 

加えてベゾス氏はひとチームはピザ2枚で足りるくらいの規模にとどめることを理想としている。僕はアメリカンサイズのピザ2枚に馴染みはないが、6〜10人くらいのイメージらしい。

僕らみたいに会社勤めしているとこの会社の意思決定に翻弄されることもしばしば。

きちんとルールがあればひとつ判断基準ができ、自分で意思決定をしていいのかどうか

悩む時間がなくなる。さらにチームの人数も絞ってあればある程度小回りも効く。

読んでいてなるほどなぁ。と感心してしまった。

とはいえ実際は、Amazon社にはベゾス氏の意思を受け取った、理解力も知識もある高度で優秀な人たちが集まっている。だからこそこうしたルールでも大きな成果を出し続けることができるのかもしれない。

 

 

僕は経営者でもなければ管理職ですらないし、経営コンサルタントでなければマーケティング部でもない。読んでAmazonに転職しようなんて微塵も思わないけれどもそれでもやはり特定の会社の内情や考え方をすることは刺激的で面白い。

世界をかけたメガテック戦争、世界のすべてを総取りするのはどの企業だろうか。

 

GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略

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  • 作者:田中 道昭
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)