ゆうがたヒーロー

日曜の朝でなくても誰だってヒーローに憧れてる

感想『魔進戦隊キラメイジャー』最終回。エピソードFINAL「君たちがいて輝いた」。人が輝くとき、そこに奇跡が生まれる!輝き、それは未来を変える戦士の証!限界を超えないキラメイジャーが見せてくれた1年間。

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魔進戦隊キラメイジャーもついに最終回を迎えた。

新型コロナの影響もあり、撮影がストップしたり制限されたりで相当な苦労があったことだろう。キャストやスタッフの皆様の努力のおかげでこういうご時世に楽しい気持ちになれる作品を毎週みることができた。本当に感謝の言葉しかない。

 

 

戦隊恒例のマスクオフでの名乗りも見れて満足。僕らは単なる「恒例の素面名乗りだ!」と思っていた。でも、今回は「素面」で登場することに意味を持たせてくれた。明かされたヨドン皇帝の「仮面は弱者の証」という発想。皇帝は仮面をつけることで自分を隠して強くなった気がしていた。そんな皇帝に対するカウンターが「マスクをせずとも輝いている」キラメイジャーの面々だ。素面での名乗りを、ただ「かっこいいから」「恒例だから」で片付けない、キラメイジャーが積み重ねてきた視聴者への誠実さが端的に顕れている。

 

最終決戦はマブシーナがそれぞれの良いところを回想し、それに呼応するよう実戦闘でもみんなが自分の能力を活かした活躍をする。為朝の作戦指揮を執る姿は見慣れたものだけども、考えてみれば年長者が仕切るわけでないというのも珍しいのかもしれない。得意分野を任せる年長組の懐の深さがキラメイジャーらしい。ついでに為朝は「参謀」と「射撃」という2つの長所を持っている分活躍度合いが高い。最後までかっこいい男だった。

 

最後はオンライン集会でほのぼのした締めだった。

キラメイジャーは仲間内・あるいは相棒ストーンとの絡みがあるからおもしろい。寂しいから隊員服を着ちゃう時雨が愛おしい。はじめて心を開いた仲間たちなんだもんな。仲の良さがしみじみと伝わる。

ガルザも本当に退場しちゃったし、ヨドンナも生き残れなかった。とても残念だった。生き残ったクランチュラはいいキャラしてるけど、彼も大概極悪卑劣だったぞ。それはそうと多分地球の黒電話がお気に召したようで充瑠と電話する友達になった。なんで電話が通じるんだ・・・?キラメイストーンの思念通信みたいなのをカラットが応用して新システムを開発したのかな。あの企業ならありうる。

最近は「帰ってきた」シリーズのVシネもないから、本当に終わりかな、と思っていたら「VSリュウソウ」が発表されて思わず歓喜した。実現できてよかったね、絶対にないと思っていたよ。これもキラメイジャーもリュウソウジャーも愛されている証だ。

シリアスなリュウソウジャーがキラメイ世界観でめちゃくちゃやるのが今から楽しみで仕方ない。

 

キラキラするを突き通した1年

キラメイジャーはいろいろなジャンルのスペシャリストが集結している。そんなスペシャリスト集団にも関わらず、いわゆる職人気質のキャラクターがいないことが特徴的だった。それぞれが最前線で活躍しながら、「俺は俺の道をゆく」ということをせずに周りの意見にもきちんと耳を傾ける。ある意味で「できすぎている」人間たちの集まりだから戦隊活動は恐ろしくスムーズで効率的だった。それぞれが自分に課せられた役割をきっちりこなすことでキラメキを保ちつづけたから安心してみていられる。

「なにか一芸に秀でている人物は人間性に問題がある場合がある」あまりにもできすぎてるキャラクターをみてしまうと、何かしらのあら探しをしてしまうのは人間の性だろうか。キラメイジャーのメンバー達は優れた協調性をもちながら、皆マイペースで個性的な性格をしている。互いの存在を認めているからそれぞれの個性を受け入れてマイナスイメージなく関係性を構築しているのは純粋にすごい。 

 

 

令和におけるヒーローのあり方の模索

印象的なのは2つ。

・熱田充瑠というクリエイターレッド

・限界は超えないためにある

 

どちらも以前に記事にしてみたけれども、やはりキラメイジャーが今どき戦隊ヒーローとして特徴的なのはこの2つだと思う。

充瑠は近年のレッド達同様、戦隊の方向性を定める象徴的レッド像を持っている。

この象徴的レッドは、方向性を定めるときには「いいじゃん、やろうよ」と周囲と協調しがらもポジティブな発想で前に進んでいく。充瑠は為朝のように適切な判断を下しながら効果的に問題点を整理して作戦を立案するタイプではない。けれども充瑠は要所要所で前向き発想をしながらキラメイジャーを引っ張っていった。方向性を定める能力を有していたのだ。

もし充瑠がレッドではない色、例えば為朝とカラーリングが違っていれば、キラメイジャーはまるで違う作品になったはずだ。黄色版充瑠は「時々」ピンチを逆転させる発想をするし、「時々」彼の発する前向きな言葉で戦隊のやるべき方向性が定まっていたはずだ。基本的には赤版為朝が司令塔となり良い意味で組織的な戦隊活動をしていたと思う。

この為朝ではなく、充瑠がレッドとなっていることに「令和における戦隊像」が見えてくる。誰もがキラキラと輝いていることを主題としているキラメイジャーだからこそ、従来のレッドのイメージと合わないような人材でも主役になれることを証明してくれた。シンケンジャーの姫レッドも当時世間をざわつかせたようだが、これまでの色や性別と性格をリンクさせた戦隊像はこれから通用しなくなっていく。おそらく制作の東映側も強く感じているはずだ。だからこそ、ヒロインカラーでなかった緑にもヒロインが生まれたり、女性だけど腕っぷしが強かったり、無骨で男前な警察官だったり試行錯誤が見られる。一見おどおどしたような頼りのない最年少でもキラメキを活かしながら主役になれるのは令和らしい戦隊構成だと思った。

 

「限界は超えない」。キラメイジャーらしいキャッチフレーズなのに、一度だけしか話題にならなかったのは非常に惜しい。現代の歪な社会構造では誰かが限界以上に働くことで、維持しているような気がする。キラメイジャーのようなどんなに優秀な人物の集まりでも、その能力以上を求められれば潰れてしまう。往々にして優秀な人物というのは常識レベル・あるいはそれ以上の責任感を有していると僕は思っている。その責任感から自発的に能力を超えた限界以上を目指してしまうのではないか。地球を守るという究極的なミッションを与えられている彼らは、当然のごとく限界以上の力を手にしようとした。このときに「限界は超えちゃいけない」とブレーキをかける発想はマネジメントとして絶対に必要だ。自分も含めたみんなでドツボにハマっていく選択は決してしてはいけない。放送当時も話題になったこの「限界を超えない」選択は、キラメイジャーの象徴だと思う。

「本当に限界を超える必要がある場合はどう向き合うのか」が気になっていた。部分的にキラフルゴーアローの能力を強化したり、何かしらの裏技を使って強化時間を伸ばしたりするのかとおもったが、そもそもそんな事態に陥ることはなかった。良く言えば「限界を超えなくても課題は解決できる」だし、欲を言えば「限界を超えるような場面の向き合い方」を見たかった。強化100秒ルールがあったから、初手強化形態で臨むことがなく、とどめを刺すようなところでしかパワーアップをしていなかった印象がある。100秒ルールは最後まで生きていたのだろうか。

 

 

本当に楽しい1年だった。毎年ロスしてんな、って思うくらいには単純だけど、キラメイジャーの面白さは本物だ。面白いがゆえにこうして毎週なにかしらの感想・備忘録を誰かと共有したいと思えた作品だ。心から感謝と労いの言葉を伝えたい。

 

最終回、充瑠が髪あげててイケメン度高すぎ。おしゃれしちゃって、絶対これから柿原さんとデートだろ笑

 

ugatak514.hateblo.jp