ゆうがたヒーロー

日曜の朝でなくても誰だってヒーローに憧れてる

『機界戦隊ゼンカイジャー』38話。優しいステイシーが積み上げてきたジェンガ。崩壊寸前

【メーカー特典あり】スーパー戦隊シリーズ 機界戦隊ゼンカイジャー Blu-ray COLLECTION 1(Amazon.co.jp特典「全巻購入特典:全力全開! ピンバッチセット」引換シリアルコード付)

 

クリスマス前のお盆&正月回。

もはや意味わからないけどそんなことは百も承知。

 

「盆と正月が一緒に来た」をやりたいがために同時に登場させたけど、今週は盆がテーマ。

盆にはご先祖様が帰ってくる。よくいる(?)敵怪人。しかし、敵幹部が一番メンタルダメージを食らう謎仕様。

ひどい目に合うのはいつもステイシー君なんだよね…。みんな「なんでそんなひどいことをするんだ!」って言いながらも、実は心の中で「いいぞもっとやれ」と思ってますよね。すっかりみんなの嗜虐心を満たしてくれるポジションに収まってしまった。

 

ボンワルドの線香でステイシーの母親が蘇る。ステイシーが望みに望んだ母親。しっかりとステイシーを満たしてくれる。短いやりとりでボッコワウスのゲスっぷりを強調することもできて抜け目ない構成。

そしてステイシーを絶望の淵に突き落とす。母親に追われ襲われるステイシーは変身もせず逃げるに徹する。ここで「あなたは小さい頃から優しい子だった」という会話が効いてくる。優しいんですよ、ステイシーは。いつまで君は悪役側に立っているつもりなんだ。

そんな優しさを持ち合わせた彼は気づいてしまう。「肉親との戦い、介人に同じことをしている」と。あーあ、優しい彼がそれに気づいてしまったら今後どうしちゃうんだよ。

 

 

同じ香村さんが脚本しているジュウオウジャーで、ジュウオウイーグル風切大和の母親が蘇った回を思い出した。正確には記憶から取り出した母親なので蘇ったわけではないんだけども。大和は目の前の母親はすでに死んでいる事実をきちんと認識しながらもどうしても心が喜んでしまう。

それを母親を蘇らせたバングレイが、わざわざ大和の目の前で改めて殺す、という外道っぷりが衝撃だった。記憶から取り出した母親なのに「(晩期は)入院してたから歩くの久しぶり」といかにも蘇ったかのような発言をする。バングレイの襲撃に悲鳴を上げるということはやはり痛みとかもあるのだろうか。そこまで考えると鬼畜という言葉じゃ言い表せないくらいに畜生。

 

香村さんさ、生真面目常識人のキャラクター性をグラングランと揺らがせてくる。

それまで生真面目に安定して積み上げてきたジェンガを土台の部分から引き抜いてくるかのようだ。なんとか抜き取ったジェンガをまた積み上げていくけれども、抜いた時に歪み傾いてしまった部分は後々に影響してくる。ジュウオウジャーでもルパパトでもこのジェンガがいつ崩れるのか、終盤はハラハラしっぱなしだ。

 

ステイシーもこれまで順調に土台を引き抜き、積み重ねてきた。なんとか今回は崩さずに積み上げることができたが、かなりステイシーの根底にある部分を引き抜いてしまった。もはやいつ崩れてしまうかわからない段階になっている。

真の畜生・香村先生の寵愛をひとりで抱え込み、作中のシリアスをひとりで担っているステイシーがこれからどうなってしまうのか。年末に向けてひとつ注目である。

 

ugatak514.hateblo.jp