総括『ツルネ ー風舞高校弓道部ー』悩み進む青春の日の美しき思い出
弓道をテーマに描く、高校生の部活モノ「ツルネ」
制作は水泳に熱い高校生達の物語『Free!』を描いた京都アニメーション。
序盤から美しい映像美に目を奪われる。
スポーツものは漫画では表現しきれない音や躍動感が補強されるからアニメ化や実写化が映える。バレーボールの『ハイキュー!』なんかもアニメでは動きがすごかった。
弓道ということで大きな動きはあまりないんだけれども、その分「静」「動」のキレが活きてくる。
弓道特有のかっこよさが全面に演出されている。
物語も、派手なこともなくどちらかといえば緩やかなアップダウンで進んでいく。
ひとつ小さな山・・というより”丘”を超えると、次の丘が待っている。
その丘は決して超えられないような大きさでもなく、人によっては軽々と乗り越えていけるくらいのものだ。
でもこの”人によっては”というのが意外とネックとなる。
自分は苦労もせずに超えていった丘。それを超えられない人をみると「なんでこんなことができないんだ」とイライラしてしまう。
周りができるのに自分だけができない。その焦りがさらに丘を砂山のようにしてしまう。いちど砂山に足を取られると、なかなか進むことができない。
丘が砂山に見えている仲間にいかにして手を差し伸べるか、自分の目の前の砂山を道として認識できるか。そうやって悩みながらも丘を乗り越えて進んでいく、そんな物語だと思った。
ひとそれぞれに悩みはある。
それが精神的なものであれば、解決策を見出すのは難しい。
立派に見える大人でも、実はすごく心にしこりを残しているのかもしれない。
心のしこりは案外時間が解決してくれない。
結局、精神的な悩み・心の引っかかりを解決するには、周りとの関係や世界の見方を変えてみることが大事なんだろうな。
多感な時期だからこそ、小さな丘が大きな山に見えてしまう。
湊も静矢も大きな山を目の前に足が進まない。でも、一緒に歩む仲間に支えられて大きな一歩を踏み出していく。そして自分なりの考え・結論を持ってひとつ大人になる。
大人になっていく高校生の成長物語としては完璧な作品だと思う。
「ツルネ」のいいところは「一見立派な大人たちも実は完璧でない」ということを描き、高校生たちも理解していく。そして立派でない大人たちが高校生に背中を押されて歩き出せる、と世界観全体で前向きな気持ちにしてくれる。
ライバル校にもきちんと確執を作り、乗り越えなきゃいけない存在として描かれる。
まだ世間を知らない子供のような双子がヒール役として物語をかき乱していく。
かき乱す、といっても悪意に満ちた卑劣で狡猾な手段を用いるわけでなく、純粋に口が悪い実力者なだけだ。しかし、精神的に大人あるいは大人になろうとしている人物が多いだけに双子の子供っぽさが対比として悪目立ちしてしまった。
原作は知らないけれども、多分この双子もこれから壁にぶつかり大人になるんだろう。
繰り返すけど決して派手な作品ではない。
古典文学のような繊細さに京アニの映像美はまさに芸術。
話数も多くないため、是非いちど観てほしい。
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感想『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』医療とゲームのベストマッチを凝縮した60分
今更ながら『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』(2017)を視聴。
あの公開当時、僕はまだ仮面ライダーをひとり劇場で観に行くことをしていなかった。
劇場にちゃんと足を運ぶようになったのは、『仮面ライダーOOO』から渡部秀・三浦涼介、『仮面ライダーフォーゼ』から福士蒼汰の出演した『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL』からである。
(尚、当時まだ『仮面ライダーOOO』を絶賛視聴中かつ、『仮面ライダーフォーゼ』未視聴状態だった笑)
『ポケモンGo』(2016)
『劇場版 ソード・アート・オンライン‐オーディナルスケール‐』(2017)
ARが注目されていた頃の、VRをテーマにした本作。
ソード・アート・オンラインはダイブ型のVRのゲームがメインなので、どちらかといえば本編のほうが劇場版エグゼイドに近い。
特に劇中の「マザーズ・ロザリオ」編に通じるものがある。
あのシリーズは短編で密度が濃いからぜひ観てほしい
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さて、トゥルー・エンディングの感想
エグゼイド特有のゲームをうまく利用した演出やギミックがおもしろい。
ゲームを作るゲーム。僕はRPGツクールシリーズを想起したけど、今ってもっと色々な種類があるんだね。いわゆる「ツクールシリーズ」。演出はすごく楽しかったけど、これのガシャットってちょっとチート過ぎやしませんかね。
まぁ、もともとエグゼイドって無敵やポーズ・リセットに本気で向き合ってきたからこそ成り立ってるから、それに比べるとチート感は弱い。
そしてストーリーは医療の話を中心にシフトしていく。
エグゼイドってゲーム要素が強いけれども、他の医療ドラマとしての側面もうやむやにしないで頑張って描いていた。1年のシリーズで色々と玩具的・対象年齢や放送時間の制限もあって、完全な両立は難しかったと思うけれども、設定が設定なだけに医療ドラマパートはとても好きだった。
人の命がバグスターとして蘇るとしたら、それは幸福か否か。ざっくりいえばここの命題が興味深い。ゲーム特有の蘇る命との対比がとてもよかった。
今作ではVR世界で生きることについての是非が問われている。
仮想現実であれば現実の身体が自由でなくても好きなことができる。ある意味の理想郷であるのだが、その仮想の「生きている実感」が現実の「生きていくための体力」を消耗させていく。皮肉なことに仮想世界で生きるための最低条件が現実世界で生き続けることなのだ。
ソード・アート・オンラインでも仮想現実世界に閉じ込められた主人公が目覚めたとき、身体が弱っていておもうような状態でなかった。
VRの医療分野での導入はまだまだ課題が多そうだ。
60分という短い時間ながら、それぞれのキャラの良さを存分に活かした仮面ライダーエグゼイドらしい映画だった。満遍なく出番があり、キャラ同士の掛け合いも生きている。なによりストーリーもしっかりしているのに、よくまとまっている。
本編終了から1年半。おおよそ時系列も一致するこのタイミングで観たのは良かったのかもしれない。本編放送中に最終回後の話を劇場で観ていたらまた違う感想になっていたと思う。
エグゼイドが好きな人は改めて見直してみてはどうだろうか。
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Vシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』ビルド世界のその後。ビルドとしての正当続編
Vシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』観てまいりました。
『仮面ライダービルド』の最終回のその後を描く本作品。
Blu-ray・DVDの発売がメインですが、一部の劇場で公開をしてくれるとのこと。
最寄りの劇場で観れるなんて思っても見ず、その名前を見つけたときに「マジで!?!?」なんて思っちゃいました
『仮面ライダーエグゼイド』のトリロジー作品は公開してなかったので、無理なもんだと思ってましたからね笑
『仮面ライダー鎧武』からスタートした本編終了後のスピンオフ続編もすでに5年目。
「バロン」「斬月」「デューク」「ナックル」「チェイサー」「ハート」「マッハ」「スペクター」(ネクロム)「ブレイブ」「スナイプ」「パラドクス」「ポッピー」「ゲンム」「レーザー」「クローズ」(ローグ)
※()は特典等でのアラン英雄伝・プライムローグでの主役
こうして並べるとかなりの数だ。すごく多い
それぞれに主役となりうる背景や本編のその後があるっていうのが世界観の拡張らしくて素晴らしい
・・・グリスがあってもおかしくないと思うんだけど特にそういう発表もなく残念・・
そして今回の主役は仮面ライダークローズですよ!
「ビルド」世界のサブライダーでありながら、放送時から「これ主役じゃねーの」ってくらい設定盛り盛りのキーキャラクター。強化フォームも次々与えられてパワーアップしていく。
予告情報によると、またパワーアップして最強フォームをもらうらしい。
それまた諸悪の根源「エボルフォーム」ときたもんだ。
えぇ・・エボルトのいない世界でエボルトと共闘する・・??
もう最終回後のビルド世界はどうなってるんだよ、と気になりすぎるストーリーなわけですよ。
というわけで、予告以下ネタバレ?です。
Vシネクスト「ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ」60秒予告
エボルトのいない世界で戦兎と慎ましく暮らす万丈。
新世界で旧世界でのあらすじをまとめるために、声のそっくりさんを探したり
発明品を露天販売をして生活していた。
天才物理学者といえども、戸籍等もないし有名アーティスト「ツナ義ーズ」と同じ顔では表立った活動はできない模様。
それだけの設定を聞くとこの二人は一生表舞台に立てない、裏世界の住人になっちゃうような・・・
ある日、新世界を作り上げた白いパンドラパネルから今回の敵「キルバス」が出現。
戦兔はビルドドライバーを奪われてしまう。
キルバスが狙うのは「エボルト」の細胞を持っている万丈龍我。
ブラッド族の能力で復活したパンドラボックス。万丈のピンチに細胞で眠っていたエボルト(スターク)が目を覚ます。
キルバス撃退のため、憎きエボルトと手を組むのであった。
言ってしまえば大まかなストーリーはこんな感じ。
更に言ってしまえば、ビルドのストーリーを動かす要素って大体「エボルト」と「パンドラボックス」なイメージだった。本作も例に漏れず「万能エボルト」「万能パンドラボックス」「万能ジーニアスボトル」だった。
せっかくエボルトのいない世界なのに早速エボルトを引っ張ってきちゃってよかったのかなぁ。
大森Pの方針で決まったみたいで脚本家の武藤さんも流石に首を傾げたとかなんとか 笑
やっぱり世界はエボルトを中心に回っているとは言え、最凶の敵が味方になる展開はドラゴンボールの時代からお約束。
『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013−2014)での終盤のドゴルドやキャンデリラとラッキューロ
『仮面ライダードライブ』(2014‐2015)でのチェイス・ハート・メディック
『仮面ライダーエグゼイド』(2016‐2017)でのゲンムやパラドクス
そしてビルドでもグリスやローグ・マッドローグと共闘したことを考えると、大森Pの好きな展開なのかもしれない。
いま、こうして大森Pのチーフプロデュース作品を調べるまで、第三勢力が現れて共闘する展開は「三条陸」さんの趣味だと思ってた笑
『仮面ライダーW』でも財団Xが出てきてお姉様達に助けてもらってたからね。
実際胸熱な展開だし、特撮モノの1年がかりの因縁があるだけにそこに大きな感動を与えてくれるのも事実。
特にキョウリュウジャーなんかは常に面白かったし、敵の魅力が最大限に活かされたと思う。
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脱線しちゃったけど、そんな最後の最後までエボルトにかき回された仮面ライダービルドシリーズ。
今作の主役の万丈がかわいい。マジヒロイン。でもかっこいい。
そもそもTwitterやインタビューみてると俳優の赤楚くんが万丈と真逆な可愛らしさをもってる。ムスッとした表情の多い万丈ばかりみていると砕けた笑顔の赤楚くんとのギャップにやられる笑
クローズが主役なだけに、そのかっこよさは保証されてる。
クローズにチャージにマグマと段階的に魅せてくる構成。
(でも万丈ってスクラッシュドライバー壊れなかたっけ?忘れちゃったな)
そしてなによりクローズエボルがめちゃくちゃスタイリッシュでクール。
その勇姿をみれただけでも満足。
お人好しで単純で熱い心を持った漢、万丈龍我。
その良さが詰まった仮面ライダークローズでした。
仮面ライダービルドの映像作品はこれが最後かな、と少し寂しい気持ちになる。
今回でジオウとも違う、”ビルド世界”のその後としての新世界での様子が明らかになった。その結果、更なる続編も作りやすい展開に再構築されたような気もする。
おそらくまた小説版も出てくれるであろうから、ビルドの世界はもう少しだけ新世界での続きを楽しめるかな。と、期待して。。。
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15周年『仮面ライダーブレイド』知らないという罪と知りすぎる罠
今日、1/25は『仮面ライダーブレイド』の第1話放送から15年だそうです。
トランプをモチーフにしていて、アンデットを封印しながらカードを集めていく。
カードを手にするごとに必殺技が使えるというワクワクする設定。
冒頭から組織が崩壊する超展開からスタートする。
僕がブレイドを観てからは実はまだ2年くらいなもんなんですけど、
15年の重みを感じますよね。
後半の怒涛の展開にカリスの運命とブレイドの行く末が気になって仕方がなかったです。
ブレイドといえば、「ELEMENT」ってよく言われるけど、僕は「Round ZERO〜BLADE BRAVE〜」が好きなんですよね。
知らないという罪と知りすぎる罠
動けなくなる前に動き出そう
知らないということ。それは罪になるんです。
いわゆる知らなかったでは済まされないということですよね。
その一方で知りすぎることが、むしろ不利益になることも多々あります。
知ってしまったからにはやらなければならない/やってはいけない。
そういう状況ってありません?
例えば、親友の好きな人だと知らずに、ある人と親密になり惹かれていく。
そして、親友の恋心を打ち明けられた上で「恋を応援して」と言われたら・・??
そんなこと知ってしまったら動けなくなっちゃいます
なんか、さらっとした歌詞だけど深いなぁって思ってこの部分ずっと好きなんですよね。
色々と考える余地があるし、意外と汎用性高そうだし 笑
ブレイド本編のセリフではないんだけど、ブレイドに関連する名言で間違いないと思います!
あと、ブレイドといえば職業としての仮面ライダーであることがひとつの特徴かと思います。
ただの慈善事業ではなく、ヒーローであることを自ら選び取り、ヒーローであることに責任がある。
意外とないんですよね。こういうタイプ。響鬼とドライブくらいかな?
どうして守りたいのか。そもそも誰かを守ることに理由がいるのか。
いろいろと考えることはあるけれど、そういう理由付けをすべて内包する、「仮面ライダーだから人を守る」
「今は非番なんで守らないッス」「給料安いからライダーなんかやらないよ」みたいなネガティブな展開もいくらでもできたはず。でも「給料は安いし休みはないし」って愚痴りながらもちゃんとヒーローとして人を守っているのは、まさにヒーローの鏡だなって感動しますね。
そんな15年前の作品にも関わらず、ブレイド勢の仲の良さは見ていてほんとにほっこりします。
よっぽどいい現場だったんだろうなって思いますよね。
時間があればこの機会にもう一度見直してみたいです。
なかなかそこまで時間が回せないのも事実・・・・笑
情報公開『スピンオフ新作 仮面ライダー龍騎』戦わなければ生き残れない
とんでもない情報が突然舞い込んできました!
とにかくこちらのツイートをご覧ください。
ジオウスピンオフPART2『RIDER TIME 龍騎』!
— 平成仮面ライダー20作品記念公式 (@HKR20_official) 2019年1月23日
2019年3月末、ビデオパスにて独占配信決定!
主演は須賀貴匡さんで、ミラーワールドの世界が2019年に現れます。
今後のキャスト情報を含め、続報をお楽しみに!!
詳細はこちらhttps://t.co/PGUuhrraB1#龍騎 #仮面ライダージオウ #RIDERTIME pic.twitter.com/8hAfFNkDEe
あの、『仮面ライダー龍騎』が時を超えて蘇る。
もうこの興奮を誰かと共有したい。その気持ちでいっぱいです。
すでに須賀貴匡さんが主役することが決定しています。
今後のキャスト情報を含めて、続報を期待させる書き方・・
ナイトの松田さんもジオウに興味をもってたみたいだし、ここ最近、エグゼイドとのコラボで王蛇の萩野さんとゾルダの小野田さんも出てたし期待が高まります。
でももしかして小野田さんは今「純烈」の活動で忙しいかな?
なんとか時間を作って出演してくれないかなぁ
脚本家はあの井上敏樹さん。
ライダー脚本に携わってくれるのは随分とお久しぶりですね。
最近は漫画版のクウガのイメージが強いです。
井上俊樹といえばアクの強いキャラとむちゃくちゃなライブ感という印象。
そして555やキバのような濃厚な人間ドラマが熱い作品をつくりあげる職人肌。
時を超えた今の彼が描く仮面ライダー龍騎はどのようなものになるのか本当に楽しみでしかない。
今思えば、小林靖子×井上敏樹 のコラボってものすごく贅沢な作品だよね。龍騎って。
子どもたちに「正義とは何か」を伝えるために 殺し合いをする仮面ライダー達。
単純な悪役ではない、癖のあるライダー達。
子供ながらにワクワクする展開の連続。大人になって見返してもおもしろい。
いやむしろ、大人が観たほうが楽しめるんでないかってくらい作り込まれた話なんじゃないでしょうか。
そんな好きな作品。それが『仮面ライダー龍騎』
ジオウの龍騎編楽しみだなーとか思っていた矢先のこの吉報
続報が楽しみです。
感想『映画刀剣乱舞』
2019年1月公開の『映画刀剣乱舞』を観てみた!
刀剣乱舞、いわゆる「とうらぶ」はその名前や「刀が擬人化している」といった超基本的な情報しか知らないで観てきた。もともとゲームで、アニメや舞台に展開されていて待望(?)の実写化だったとのこと。
あまり刀剣乱舞の情報を熱心に仕入れていなかった僕はひょんなことから実写化を”ほぼ”リアルタイムで知った。
ある日の夕方、Twitterのトレンドが大荒れだったことが発端だ。
「仮面ライダー電王」「仮面ライダーOOO」「仮面ライダーアマゾンズ」といった特撮ワードがトレンド入りしている。
なんだなんだ、なんの祭りだこれは。そして調べてみると
「小林靖子ファンの特撮好きが、刀剣乱舞ファンに小林作品を布教」
こうして刀剣乱舞の実写化の発表によって特撮界隈が盛り上がるといった不思議な現象が起きたのであった。
・・・風吹けば桶屋が儲かるっていう諺はこういうときに使うんだろうなぁ
ちなみに特撮界隈はほぼ一貫して刀剣乱舞ファンに対して
「絶対にクソな映画にはならない」
「ただし、推しの刀が折られない保証は全くない」
「むしろ折られたほうがマシな展開すら覚悟が必要」
といった旨のアドバイスをしているのがすごくおもしろかった笑
逆に言えばそれくらい評価・スタンスが安定しているということにつながると、しみじみと。
と、いうことで刀剣乱舞を全然知らない僕も、あの小林靖子さんが脚本をなされるということで俄然興味が湧いてきたってもんだ。
さらに超ざっくりと「刀剣乱舞」の世界観について学んでみる。
どうやら歴史修正主義者から歴史を守るものが刀剣男子刀剣男士らしい。
歴史系の時代改変SFとか靖子様の大好物なのではないでしょうか・・・・・!!!???
そりゃあ、つまらないわけないじゃないですか。
絶対に「そうきたか!」って展開になるに決まってる。
結局、それくらいの事前情報で劇場へ足を運んだ。
そしてその感想は「ほぼ特撮ヒーローものといっても過言じゃないな」です。
名前もない多数の雑兵を刀剣男士たちがバッサバッサと切り捨てるシーンは非常に美しい。演出というか魅せ方に気合が入ってる。そして、そういうシーンが戦隊モノっぽく感じて胸が熱くなった笑
隊列?編成?が6人だったためこれまた戦隊モノっぽい。ゲームでのパーティの編成とかそんなんのイメージなのかな。人物数をそれくらいに絞ったからすごくスッキリした話だったと思う。
歴史改変モノではあるけれど、複雑なタイムパラドクスが用意されているわけでもなく、スッと落ちるようなストーリー構成だ。
ちょうど仮面ライダージオウも時間や歴史改変がテーマだが、ジオウのほうが断然ストーリー把握が難しい。
ストーリーがシンプルな分、セリフや掛け合いが大事にある。
信長と三日月の会話で「誰にとっての”正しい”歴史なのか」「歴史とは人だ。だから守る」というセリフが印象的。
世間で広く知られている歴史は常に勝者の視点から描かれている。
勝者が都合よく自らをヒーローとして祭り上げるのだ。信長の死、それ自体は揺るぎない真実である。その”死”を誰がどのように伝え、歴史に残すのかということが重要なのだ。
また、「歴史とは人」っていう考えも靖子さんっぽい解釈だなとニヤニヤしてしまった。
仮面ライダー電王では「時間は記憶の積み重なりで集合体」とし、
時間についてそんなひとつの独自解釈なようなものが見て取れた。
これについてもしっかり噛み砕いておく考え方なのかもしれない。
小林さんについて、 いつかちゃんとした考察書きたいなぁ・・・
キャラがぴったりすぎた。各場面のムードメーカーでありながらある程度察しがいい、理想の兄貴。半分は靖子さん、もう半分は伊達さんのために見に行ったけど、キャラが被りすぎてダメだった笑
とにかくすばらしいコンビだなぁと安定感がすごかった笑
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個人的に作中で残念だったのは、靖子さんお得意の「もうひとりの自分系」と、「死んだほうがマシなくらいのメンタルフルボッコ」がなかったことだ。
尺的に時間がなかったのかもしれないが、主人公の三日月は常に飄々としており、自分の使命をまっとうする素晴らしい役回り。個人的にもっと信念を貫いている信念を折りたくなるような現実に直面してほしかったなってとこはある
たしかに、自分だけで背負っている過去というのは重いんだけど、もっと精神的に追い詰めてほしいという、どSな一視聴者でした笑
美しく儚い、刀剣男士たちの物語り、とくとご覧あれ。
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感想『人のセックスを笑うな』 翻弄される年齢差恋愛
Amazon primeで『人のセックスを笑うな』(2008)があったので観てみた!
刺激的なタイトルとは裏腹に想像以上にピュアな恋愛映画だった。
というか、ほとんど濡れ場がない笑
その分キスシーンは濃厚で、印象に残る場面が多くあった。「キス、うまくなったよね」ってセリフから二人の関係性を察せられるのがいい。
いちゃいちゃしたり話の弾む掛け合いをしている恋人感がたまらない。
心の底から愛しているってのがビンビン伝わってきたし、いいなぁってほっこりした笑
大学生と美術講師の年の差恋愛。
大学生のみるめ(松山ケンイチ)はユリ(永作博美)と出会い、興味をもつ。
自由奔放なユリに振り回されつつも惹かれていくみるめ。
惹かれ、関わっていく過程で少しずつユリという女性が分かってくる。
ユリの年齢を知ったみるめは戸惑い驚くが、それ以上にユリにハマっていく。。。
前編通して大学生が年上の女性に翻弄されるような関係が多かった。
年上なのにあんな無邪気にされたら守ってあげたくなるよね。
だけど何かあるたびに悩む大学生。
この「会いたいのに会っちゃいけない」と自ら気持ちに蓋をしてしまうシーンは切ない。
そしてみるめを理解して支えてくれる蒼井優演じるえんちゃんが切ない。
恋愛系の映画やドラマには必ず裏で報われない恋をする人がる。
世界はこんなにも愛で満たされているものなのだろうか(モテない系男子の戯言)
この映画を観ていて気持ちが良かったのは、恋路を邪魔する人がいないこと。
高校が舞台だったら取り巻きがいて、妬みや嫉妬で嫌がらせを受けたりする展開が多いけど、
大学が舞台だからスクールカースト的なものはなくゆる〜く恋愛していく。
登場人物もぎゅっと絞られていて、映画としても見やすかった。
とはいえ、あんまり良くないなぁ、と思うところも。
シンプルな分ストーリーが散らかっているというか締まりがない印象を受けた。
明確な敵はいないけど、映画的に障害は必要。その障害はっていうと年齢だったり彼女の秘密だったり(本人が秘密にしてないのがなんとも。。)
障害に悩むのは大学生側がまだ若く、青いからみたいな感じだし、気持ちに整理がついたらまたくっつくを繰り返してた。
今ってなんで悩んでたんだっけ。ってこっちが忘れちゃうくらいよく悩む。
まぁ、無邪気な人ってどうしようもなく惹かれちゃうし振り回されるし悩む気持ちも分かるんだけどね。
映画でやっちゃうとダラダラとしちゃうのが良くないなぁって思った。
過激なタイトルだから避けてた、って人がいればぜひ観てみてください。
全くそういう映画じゃないんで安心して見れますよ笑
感想『小説 仮面ライダーディケイド 門矢士の世界~レンズの中の箱庭~』ヒーローとしての門矢士が確立するまでの物語
小説 『仮面ライダーディケイド 門矢士の世界~レンズの中の箱庭~』を読了!
先日、『仮面ライダージオウ』にも客演を果たして相変わらずの破壊者ぶりを発揮してくれたディケイドの小説版。
テレビシリーズもおさらいした上での小説版はまた違う味のある物語となっていた。
テレビシリーズ本編ではあまり描かれなかった「門矢士」にスポットを当てている。
テレビでは、記憶喪失のいまいち士が何者なのかぼやけていた印象がある。
(劇場版等を観てショッカー大首領だったことなどを順を追って理解を深めればある程度分かるんだけれども、いかんせん難しい)
そういえば士は各世界のライダーたちにも不遜な態度で接し続けていた。
常に横柄な態度なため、嫌われ役となりがちで「世界の破壊者」として忌み嫌われることに説得力をもたせていた。
心理描写はほとんどなく、視聴者ですら何を考えているのか分からないキャラクターであった。だからこそ視聴者は「本当に破壊者なのか」「世界の破壊者とはどういうことなのだろうか」と謎を推測する楽しさを残していた。
士の出自や過去という大きな謎を残しておきながらも「ディケイドに物語はありません」と断言されてしまう。
最終回も衝撃的で、テレビ放送当時「え、終わり!?!?」とぽかんとしてしまった記憶がある。
最近また全話見直してみたけれど、やっぱり最終回の消化不良感は拭いきれなかった。
そして、待望の小説版。サブタイトルからして士に焦点が当てられている。
過去ライダーを改めて表舞台に立たせるための装置としてのディケイドが、ついに自身の物語を与えられたのだ。
テレビ版と地続きでなく再構成されたディケイドではあるが、ついに士の本当の考えが明らかになる。
門矢士はまさに世界の破壊を望んでいるような男だった。
孤独を恐れ、他者を拒絶し、世界がひとつに溶け合うことを願っている。
「個」という存在に疑問を持ち、「個」の集合体である世界から逃げ出したい。
そんな後ろ向きで鬱屈とした考えの人物だったのだ。
さらになんと各世界を巡るときには、自分の世界とは違う夢の世界として自信家でポジティブな人格をつくりあげていたということが発覚。
そんな士は野上良太郎や五代雄介、天道総司らと出会い、少しずつ気持ちが変わっていく。
クウガの世界では謎の美女のグロンギに出会う。士は魔性の魅力に取り憑かれていく。
士は彼女に服を贈り、名前を与えた。グロンギ社会にない「特別な存在」としての価値を見出していった。特別になることで彼女もまた士に惹かれていく。
その一方でナツミカンこと光夏海は彼女に嫉妬し、自分を認めてくれない士のもとを去る。「わたしはもっとわたしを必要としてくれる人のところへ行きます」
自分の居場所がほしい。自分を認めてほしい。誰もがそんな承認欲求を抱えている。
規律に厳しいグロンギ社会の歯車でしかなった彼女にはじめて価値を見出した士。
555やキバの世界のように怪人と人間の交流をも描いている。守りたい相手が怪人だった。そのことに苦悩をする。
彼女に魅せられた士は心の闇が漏れ出てしまい、自信家のメッキが剥がれ自分の弱みを隠しきれなくなっていった。
そして、カブトの世界で自分の弱さと向き合うこととなる。
自分の記憶をもった擬態、ワームが存在するカブトの世界。
ここで士は自分のワームと対峙することになる。そして自分(に擬態したワーム)の口から自分の思いをぶちまけられてしまう。
その事件をきっかけに、自分の気持ちを改めて理解した士は自分の過去と決別する。自分のワームを倒した士は自分の世界と向き合い、自分の世界の仲間を愛するようになっていく。
この士が世界を巡ることで拡散しているアイデンティティを確立していくまでの流れやロジックが非常に美しい。士が各世界の問題解決ための役割を担っていた構図と真逆で、各世界が門矢士という人物をつくりあげるための舞台装置となっている。イマジンやグロンギ、ワームという怪人や世界観とのベストマッチっぷりが憎い!そして未熟で鬱屈した性格は、出会うライダーの先輩レジェンド達から良い影響を受けていく。
士が成長していく物語はまさに「門矢士の世界」を描いたものとなっている。
そういえばテレビ版では心情が描かれなかったから、メンタルやられる士って珍しいかも。いや、士自身が強キャラだからそもそも負けシーンってあんまり記憶ないっけ笑
作中謎のキャラクターだった鳴滝は自分の世界と向き合えない人物として、士と対をなして存在している。こうした対比も含めてうまく構成されているなと感心した。
ディケイドそのもののパラレルワールドとも言えるのかもしれないが、
この再構築版ディケイドをぜひ読んでほしい。
感想『SCOOP』手に汗握る痛快エンターテイメント作品
正月休みにAmazon primeで公開されていた『SCOOP』を視聴
福山雅治演じる都城 静(みやこのじょうしずか)と、二階堂ふみが演じる行川 野火(なめかわ のび)のバディものだ。
安定の福山雅治。いい具合の色気とエロさとおっさんさ。
劇場でCMやってて興味を持ってたけど、結局時間がなくて見に行かなかったなーとか思いながら再生ボタンをポチ
映画はまさに王道!
破天荒な都城とイマドキな行川。バディもの必須な凸凹コンビ
はじめは反発する行川だったけれども、次第に仕事に対する思いを理解し仕事そのもののおもしろさに気づいていく。
最近、お仕事系のドラマや映画好きなんだよねー。
自分が働きだしてからかな。世の中には他にどんな仕事があるんだろうって気になっちゃう。
『SCOOP』はカメラマンとライターがペアでやっているけど、正直作中でライター要素はあまりピックアップされない。
ストーリーはふたりで(劇中架空の)若手アイドルや大物政治家のスキャンダルを写真を撮っていく。
一番はじめのアイドルのスキャンダル写真を撮るシーンは見ていてドキドキした。
行川にとってはじめての現場の上に、自分もファンのひとりである憧れのアイドルの秘密を暴く側になる罪悪感。そして「車回しておくから撮ったら走って逃げろ」とだけ伝え立ち去る都城。
このときの都城がベテランでクールにフォローする様子が最高!
撮られて焦るアイドルたちとのギャップがたまらない。
大物政治家のスキャンダルの撮影に成功した後、政治家の側近から逃げるシーンもすごかった。
結構長めなカーチェイス。ど派手にいくぜ!って感じの激しいアクションが映える。
このシーンは劇場でみたかったかも・・笑
危ない橋を渡りながらも支えてくれる仲間たちもいる。
吉田羊演じる横川定子(よこかわさだこ)はただひたすらにカッコイイ。
吉田さんってどうしてこんなにできる女性が似合うんだろ。それでもってちょっと母性がある感じがたまらなくいいよね。
グラビア班の馬場ちゃんは滝藤賢一、情報屋(?)のチャラ源役はリリー・フランキーと脇を固める人たちも実力派揃い
熱いシーンやホロリとするシーン、手に汗握る緊迫するシーン、どのシーンも誰かしらがそばにいて画を支えてくれる。(そして都城らを支えてくれる)
横川も馬場ちゃんも都城とのバディだっただけあって息ピッタリ。
考えていることまでまるわかりで、見ていて「あぁ、いい仕事仲間だったんだな」としみじみ。
チャラ源も怪しい風貌ながらできっちり情報を掴んでくる。
都城の親友としての描写が憎い。一晩中遊んで日も完全に昇った朝に帰って眠る。
そんな学生みたいな遊び方ができる友人ってなかなかいないんだよね。
ピンチのときには互いに助け合う。遊ぶときは遊ぶし、仕事もやる。
できそうでできない関係を築けるチャラ源って実はすごいんじゃ・・?
そんな個性豊かな仲間たちとあの手この手でスキャンダルを報じていく様は痛快そのもの
そして王道映画。やっぱり単なる痛快だけじゃ終われない。
手に汗握るラストシーン。最後まで興奮が収まらない。
緩急も程よくテンポもよく、全般的に飽きないつくりのエンターテイメント作品。
映像・演出もきれいだし、なかなかよい楽しい映画でした!
興味があればぜひ見てください!
感想 映画『何者』実力派俳優たちが紡ぐ暴力的なリアル
昨年末、Amazon primeで映画『何者』(2016)を視聴!
実はこれ僕、劇場で直接みているんですよね。佐藤健と山田孝之、菅田将暉と有村架純、岡田将生に二階堂ふみ クレジットキャスト数こそ多くないが主演レベルの若手が集まっている作品。
好きなキャストばかりだし、佐藤健と菅田将暉の推しが二人も揃っている映画ということで劇場に足を運んだ。
なんといっても佐藤健の演技がすごい。何がすごいって目で演技をしていること。
「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるわけだけども「冷ややかな目」「観察する目」「片思いの目」なんでもござれってくらいに目で感情を表現している。
さすがは『仮面ライダー電王』(2007〜2008)で野上良太郎を演じただけある。
若手ながらひとりで気弱な青年とチンピラ・女たらし・無骨・無邪気なラッパー・貴公子・おかんを演じきったのがすごい。
本作『何者』でも主役として佐藤健の視点で物語が進行していく。
ストーリーをざっと紹介すると、就職活動を通じて仲良くなった大学生達。「就職活動対策本部」と称して互いにアドバイスをし合ったり励まし合ったりしながら切磋琢磨していく。
概要だけを書いてしまうとすごくあっさりしているんだけれども、中身がすごく濃い。
基本的に誰が何を考えているのかがわかりづらく、大学生特有の「表層的な付き合い」が妙にリアルに表現されている。会話と会話のちょっとした”間”だとか誰かが話している最中の表情だとか、それぞれ細かい部分の演技が繊細で丁寧。
そのくせどいつもこいつも虚栄心や承認欲求だけはご立派。互いにそうした側面だけは分かっている。分かっているのにそれぞれ何も言わない。
あー、現代っ子ってこういう感じ。わかるわかる。いたたたたた…
演技はさすがは主演クラスを集めているだけある。とただただ感心するばかりだった。
それだけに、見る人の誰もが誰かに感情を入れ込んで、そのリアルすぎる描写に心を大きく揺さぶられる。
もしかしたら人はフィクションを求めて映画やドラマをみるのではないのか。そうだとすれば、あまりにもリアルすぎる映画は心がついていかないのかもしれない。
あえて過激な表現をするならば「二度と見たくない映画」
自分の触れてほしくない部分を容赦なく つついてくる。ある種では暴力的でグロテスクと言ってもいいだろう。僕にとってはそれくらい、重く衝撃的な映画だった。
「二度と見たくない映画」
劇場で見た感想をそれくらい強い言葉で表現していたにも関わらず、Amazon primeで見つけたときは迷わず見直した。
理由はふたつある。
まず、前述の通り役者の演技がすごいこと。もう一度あのシーン、あのセリフをみたい聞きたい。二度と見たくないはずなのに何度でも見たくなる、いわゆる魅せる演技が非常に贅沢な映画なのである。
好きな言い回しやセリフもたくさんある。僕が好きなのはTwitterに関する人の見方に関する考え方だ。
「140字の積み重ねじゃ実は何もわからない」
僕もTwitterの内容での人物像をイメージしがちなのでグサッとに心に刺さった。
あるよなぁ。ついついレッテル貼っちゃうこと。と反省しつつもそのインパクトから心に響いた。この映画にはそんな僕の好きな表現や考え方が随所に散りばめられているのだ。
そしてもう一度見たくなる理由、それはクライマックスの展開だ。
人の一番つかれたくない部分を容赦なく露わにしていくそのシーン。
そして最後の大どんでん返しでゾッとさせるその演出。
もはや怖いもの見たさともいえる。こればかりは見た人でないと分からない。
とにかくすごい!(語彙力)
・・とはいえ好き嫌いが別れるだろうなーってのも事実。
興味があればぜひ覚悟して見てみてください!
そんなこんなでついつい、劇場に続いて二度目の『何者』の視聴でした!